こんにちは。(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
昨今、将来への備えや資産形成の一環として「中古戸建て賃貸投資」に興味を持つ方が増えています。新築アパートやマンション投資と比べて、少ない資金で始められる可能性を秘めていることから、特に投資初心者の方にとって魅力的な選択肢となっているようです。
しかし、どんな投資にも光と影があるように、中古戸建て投資にも特有のリスクや注意点が存在します。情報を十分に得ないまま始めてしまい、「思ったような収益が上がらない」「想定外の修繕費に頭を抱えている」といったご相談を受けることも少なくありません。
そこでこの記事では、これまで数多くの中古戸建て再生を手がけてきた専門家の視点から、中古戸建て賃貸投資の基本知識から、具体的なメリット・デメリット、成功するための物件選びのポイント、そして避けては通れないリスクとその対策まで、網羅的に解説していきます。
この記事を最後までお読みいただければ、中古戸建て賃貸投資の世界が明確に理解でき、あなたが成功への第一歩を踏み出すための確かな羅針盤となるはずです。リスクを正しく理解し、大きなチャンスを掴むための知識を身につけていきましょう。
中古戸建て賃貸投資の基本知識
まずは、中古戸建て賃貸投資の基本について理解を深めましょう。「中古戸建て賃貸とは何か?」という定義から、そのメリット・デメリットまで、投資を始める前に必ず押さえておくべき基礎知識を解説します。
中古戸建て賃貸とは、具体的にどのようなものですか?
「中古戸建て賃貸」とは、その名の通り、一度誰かが住んだことのある、あるいは建築後一定期間が経過した「中古」の戸建て住宅を取得し、リフォームなどを施して賃貸物件として貸し出す投資手法を指します。
中古戸建ての定義
法的に明確な定義はありませんが、一般的には「建築後1年以上経過した、または居住実績のある住宅」を中古住宅と呼びます。特に私たちが扱う「古家」は、築20年、30年を超えるような、いわゆる古い住宅を指すことが多いです。こうした物件は、資産価値が低いと見なされがちですが、そこにこそ大きな投資チャンスが眠っています。400万円以下、場合によっては100万円を切るような価格で取得できるケースも少なくありません。
賃貸としての活用方法
活用方法は多岐にわたります。最も一般的なのは、ファミリー層向けの賃貸住宅です。アパートやマンションといった集合住宅では得られない、プライバシーの確保や騒音問題からの解放、庭付きの暮らしなどを求める入居者層に強くアピールできます。
また、ペット可物件としての需要も非常に高いです。古い住宅であれば、多少の傷や汚れを気にせず貸し出せるため、他の物件との差別化が図りやすいのも特徴です。入居者が自分でDIYできる「DIY可物件」として貸し出すことで、クリエイティブな層からの需要を掘り起こすことも可能です。
市場の現状
現在、日本全国で空き家が増加し、社会問題となっています。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家は約849万戸にものぼります。この数字は、今後さらに増加すると予測されています。
一見ネガティブなこの状況は、投資家にとっては「安く物件を取得できるチャンス」と捉えることができます。特に地方ではこの傾向が顕著です。例えば、中国地方の広島県や島根県、あるいは北陸の富山県、東北の秋田県、四国の高知県など、人口減少が進む地域では、優良な中古住宅が驚くほど安価で市場に出ています。兵庫県のような大都市近郊でも、少し中心部から離れれば狙い目の物件は数多く存在します。
これらの古い住宅は、もはやビルなどの大規模な再開発には向きませんが、個別の物件として再生させることで、新たな価値を持つ賃貸住宅として蘇らせることが可能なのです。
賃貸投資におけるメリットとデメリットは何ですか?
中古戸建て賃貸投資を検討する上で、そのメリットとデメリットを天秤にかけることは非常に重要です。ここでは、オーナーの視点から双方を正直にお伝えします。
中古戸建て賃貸投資のメリット
1. 低コストで始められる
新築物件や都心のマンション投資が数千万円から数億円規模になるのに対し、中古戸建ては数百万円からという少ない自己資金で始められるケースが多いです。
2. 高利回りが期待できる
物件取得価格が安いため、賃料収入に対する利回り(収益率)が高くなる傾向にあります。適切なリフォームを施すことで、さらに収益性を高めることが可能です。
3. 土地という資産が手に入る
建物は経年で価値が下がりますが、土地の価値は残ります。これは、建物部分の価値がほとんどない集合住宅の一部(区分所有権)を購入するマンション投資との大きな違いです。
4. 入居者が長期で住む傾向
ファミリー層がメインターゲットとなるため、一度入居が決まると、子どもの進学などを機に長期間住み続けてくれるケースが多く、安定した家賃収入が見込めます。
5. 出口戦略(売却)の多様性
賃貸として運用した後、実需(自分で住みたい人)向けに売却したり、更地にして土地として売却したりと、様々な出口戦略を検討できます。
中古戸建て賃貸投資のデメリット
1. 修繕リスクが高い
古い住宅であるため、購入後に雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、想定外の修繕が必要になるリスクがあります。事前の物件チェックが極めて重要です。
2. 金融機関のローンが利用しにくい
物件の担保価値が低いと評価されることが多く、特に築年数が古い物件では住宅ローンやアパートローンの利用が難しい場合があります。ノンバンク系のローンや自己資金での購入を検討する必要が出てきます。
3. 流動性が低い
都心のマンションなどと比較すると、売却したいときにすぐに買い手が見つかりにくい可能性があります。特に地方物件ではこの傾向が強まります。
4. 管理の手間がかかる
建物の維持管理、入居者トラブル対応など、オーナー自身が行うべき業務が多くなります。管理会社に委託することも可能ですが、その分の費用が発生します。
5. 供給過剰エリアの存在
全国的に空き家は増えていますが、地域によっては賃貸需要そのものが少なく、競合する物件も増えているため、入居者付けが困難なエリアも存在します。東海地方の中でも、例えば三重県や滋賀県、九州の宮崎県や鹿児島県など、地域によって需要は大きく異なります。
これらのメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身の投資スタイルやリスク許容度と照らし合わせて検討することが、成功への第一歩となります。こうした知識を体系的に学びたい方には、私たちが提供する「古家再生投資プランナー®︎」の資格取得をおすすめします。物件の権利関係からリスク管理まで、実践的な知識を習得できます。
中古戸建て投資の魅力
中古戸建て投資には、他の不動産投資にはない独自の魅力があります。なぜ多くの投資家がこの分野に注目するのか、その具体的な理由を3つの側面から掘り下げていきましょう。
なぜ低コストで始められる投資なのですか?
中古戸建て投資の最大の魅力は、何と言ってもその「始めやすさ」にあります。少ない資金で不動産オーナーへの道を開くことができるのは、主に以下の理由によります。
1. 新築よりも圧倒的に価格が安い
当然のことながら、中古戸建ては新築に比べて物件の取得価格が格段に安いです。特に、私たちが得意とする「古家」と呼ばれる築古物件は、建物自体の評価額がほぼゼロに近く、「土地値」に近い価格で購入できるケースも少なくありません。
地域によっては、300万円や250万円といった、乗用車一台分程度の価格で一戸建てが手に入ります。これは、数千万円単位の資金が必要となる新築戸建て投資や都心のマンション投資とは比較にならないほどの低さです。この初期投資の低さが、投資全体の利回りを押し上げる大きな要因となります。現在、多くのセミナーでもこの点が注目されており、新たな投資手法として関心を集める大きなワードとなっています。
2. リフォーム費用をコントロールしやすい
「古い家はリフォームにお金がかかるのでは?」という懸念は当然です。しかし、中古戸建て投資では、リフォーム費用を戦略的に抑えることが可能です。
新築のように完璧な状態を目指す必要はありません。賃貸物件として「安全で快適に住める」レベルをクリアすれば良いのです。例えば、費用がかさむ水回りはクリーニングや部分的な部品交換で済ませ、内装は入居者受けの良い壁紙の張り替えに留めるなど、予算に応じてメリハリをつけたリフォーム計画を立てることができます。最近では、費用を安く抑えるために大家さん自身がDIYを行うケースも多いです。費用を抑えるポイントを考慮することで、総投資額を低く保つことができます。
3. 資金調達の方法が多様にある
前述の通り、築古物件は金融機関のローンがつきにくいというデメリットがありますが、これを逆手にとることもできます。物件価格が安い分、自己資金で購入する、あるいは親族から借り入れるといった選択肢が現実的になります。
また、すべての金融機関が融資に消極的なわけではありません。日本政策金融公庫や一部の地方銀行、信用金庫などは、事業計画の妥当性を評価してくれれば、築古物件に対しても融資を行うケースがあります。競合が少ないため、こうした金融機関と良好な関係を築ければ、有利な条件で資金を調達することも可能です。
このように、少ない資金でスタートできる中古戸建て投資は、投資経験の少なく、大きなリスクを取りたくない初心者の方にとって、まさにうってつけの投資手法と言えるでしょう。
なぜ高利回りが期待できるのでしょうか?
中古戸建て投資が「高利回り」と言われるのには、明確な理由があります。表面的な数字だけでなく、その背景にある構造を理解することが重要です。
1. 取得価格の低さが利回りを押し上げる
利回りの計算式は「年間家賃収入 ÷ 物件取得価格 × 100」です。この計算式からも分かる通り、分母である「物件取得価格」が低ければ低いほど、利回りは高くなります。
例えば、500万円で取得した中古戸建てをリフォームし、月7万円(年間84万円)で貸し出せたとします。この場合の表面利回りは16.8%にもなります。これがもし2,000万円の物件であれば、利回りは4.2%に留まります。いかに取得価格のインパクトが大きいかがお分かりいただけるでしょう。私たちは、この「安く買って高く貸す」という基本原則を徹底することで、高利回りを実現しています。
2. リフォームによる価値向上が賃料に反映される
古い物件をただそのまま貸すだけでは、高い賃料は期待できません。しかし、適切なリフォームを施すことで、物件の価値は劇的に向上します。
例えば、暗い印象だった和室を明るい洋室に変更する、古いキッチンを現代的なシステムキッチンに入れ替える、といった工夫で、入居者の人気は格段に上がります。こうした付加価値を家賃に反映させることで、周辺の同じような築年数の物件よりも高く貸し出すことが可能になります。この「価値創造」こそが、中古戸建て投資の醍醐味であり、高利回りを生み出す源泉なのです。リフォームという「ひと手間」をかけることに興味がある方には、非常にやりがいのある投資と言えます。
3. 賃貸需要が高いエリアを狙える
一般的に、戸建ての賃貸物件はアパートやマンションに比べて供給数が多くありません。特に、地方都市や郊外の住宅地では、ファミリー層からの戸建て賃貸への需要が高いにもかかわらず、物件が不足している傾向があります。
以前、あるセミナーで聞いた話ですが、福島県会津市で賃貸の戸建て住宅を探したところ、1軒も見つからなかったそうです。そこで、空き家となっていた古家を再生し、賃貸に出したところ、想定以上の賃料ですぐに入居者が決まったという事例があります。これは、甲信越地方などでも見られる傾向です。
このように、供給に対して需要が上回っているエリアを見極めて物件を仕入れることで、安定した入居と高めの家賃設定が期待でき、結果として高利回りを見込めるというわけです。この「需要と供給のミスマッチ」を見つけ出すことが、成功への大きな理由となります。
長期的な安定収入を得ることは可能ですか?
投資である以上、短期的な利益だけでなく、長期的かつ安定的なキャッシュフローを構築したいと考えるのは当然です。中古戸建て投資は、その可能性を十分に秘めています。
1. ファミリー層の長期入居による安定性
中古戸建てのメインターゲットは、お子様のいるファミリー層です。彼らは、子どもの学校区を変えたくない、地域コミュニティに馴染んでいるといった理由から、一度住み始めると簡単には引っ越しをしません。入居期間が5年、10年、中には20年近くに及ぶことも珍しくありません。
入居者の入れ替わりが少ないということは、空室期間の発生リスクや、退去のたびに必要となる原状回復費用、新たな入居者募集のための広告費などを大幅に削減できることを意味します。これにより、収益の安定性が格段に高まります。年間を通じて安定した収入が見込めるため、長期的な生活設計や次の投資計画も立てやすくなります。
2. 適切な物件管理が安定経営の鍵
もちろん、長期的な安定収入は、ただ物件を所有しているだけでは得られません。適切な物件管理が不可欠です。定期的な建物のメンテナンスを行い、入居者からの修繕依頼に迅速に対応するなど、住環境を良好に保つ努力が求められます。
入居者の満足度が高ければ、長期入居に繋がるだけでなく、物件を大切に使ってくれる可能性も高まります。こうした日々の地道な管理が、結果として長期にわたる安定した収益性をもたらすのです。長野県や長崎県など、地域に根差した丁寧な管理を行うことで、地元での評判も高まり、次の入居者探しにも有利に働くでしょう。
3. インフレに強い資産としての側面
長期的な視点で見ると、インフレのリスクも考慮しなければなりません。物価が上昇すると、現金の価値は実質的に目減りしてしまいます。しかし、不動産という「現物資産」は、インフレに合わせて家賃を緩やかに上昇させることが可能です。
例えば、300万円で購入した物件が、20年後も安定したキャッシュフローを生み出し続けてくれるとしたら、それは非常に心強い資産となります。長期にわたる安定した収益の可能性こそが、中古戸建て投資を単なる投機ではなく、堅実な「事業」として捉えるべき理由なのです。
中古戸建て投資のリスクと注意点
中古戸建て投資の魅力をお伝えしてきましたが、成功のためにはリスクを正しく理解し、備えることが不可欠です。ここでは、初心者が特に注意すべき3つの大きなリスクについて、具体的な対策とともに解説します。
修繕費用はどのくらい負担になりますか?
中古戸建て投資で最も警戒すべきリスクが、この「想定外の修繕費用」です。物件価格が安いからと安易に飛びつくと、購入後に高額な修繕費が発生し、収支計画が大きく狂ってしまう可能性があります。
1. 物件購入前の徹底的な状態確認
修繕リスクを回避する第一歩は、購入前に物件の状態を隅々まで確認することです。特に以下の点は重点的にチェックしましょう。
雨漏り: 天井や壁のシミ、カビの臭いがないか確認します。屋根裏や床下を点検できると理想的です。
シロアリ被害: 基礎や柱、土台などの木部に食害の跡がないか、床がフカフカしていないかを確認します。
建物の傾き:ビー玉を転がしてみる、ドアや窓の開閉がスムーズか確認するなど、簡易的な方法でも傾きをチェックできます。
給排水設備:水道から赤水が出ないか、排水の流れはスムーズか、異臭はないかなど、実際に水を出して確認します。
これらのチェックは、専門家であるホームインスペクター(住宅診断士)に依頼するのが最も確実です。数万円の費用はかかりますが、後で数百万円の修繕費用が発生するリスクを考えれば、必要な投資と言えるでしょう。
2. 修繕予算の確保と計画
どんなに тщательноに確認しても、古い住宅である以上、ある程度の修繕は避けられません。そのため、物件購入費用とは別に、リフォーム・修繕のための予算を必ず確保しておく必要があります。
一般的に、中古戸建てのリフォーム費用は、物件の状態や工事の規模によりますが、150万円から500万円程度を見込むケースが多いです。例えば、キッチン・風呂・トイレ・洗面台の水回り4点セットの交換で150万円~、外壁・屋根の塗装で50万円~100万円程度が目安となります。もちろん、DIYをうまく活用すれば費用を抑えることも可能です。
重要なのは、これらの費用をあらかじめ収支計画に組み込んでおくことです。「物件価格+リフォーム費用=総投資額」として利回りを計算し、それでも十分な収益が見込めるかを判断します。融資を利用する場合も、リフォーム費用を含めた「リノベーションローン」などを検討すると良いでしょう。
3. 長期的なメンテナンス計画の作成
投資は、物件を取得し、最初の入居者が決まったら終わりではありません。長期的な視点でメンテナンス計画を立てることが、安定経営に繋がります。
例えば、「10年後には給湯器の交換が必要になるかもしれない」「15年後には外壁の再塗装を検討しよう」といったように、設備の耐用年数を考慮し、大規模修繕のための資金を家賃収入の中から少しずつ積み立てておくのです。こうすることで、沖縄県のような塩害が懸念される地域や、岩手県のような寒冷地で凍結による配管破裂リスクがある地域など、それぞれの環境に応じた計画的な修繕が可能になり、突発的な高額出費に慌てることがなくなります。リフォーム済みの物件であっても、いつ、どのような工事が行われたかを確認しておくことが大切です。
空室リスクをどのように管理すればよいですか?
家賃収入がなければ、不動産投資は成り立ちません。「空室」は、オーナーにとって最大かつ継続的なリスクです。このリスクをいかにコントロールするかが、経営の手腕の見せ所となります。
1. 賃貸市場の徹底的な動向調査
空室対策の基本は、そもそも「借り手が見つかりやすい物件」を選ぶことです。そのためには、地域の賃貸市場を深く理解する必要があります。
需要の調査:その地域ではどのような層(ファミリー、単身者、学生など)が賃貸住宅を探しているのか。戸建ての需要はどの程度あるのか。インターネットの不動産情報サイトで物件の掲載状況を調べたり、地元の不動産会社にヒアリングしたりして、生きた情報を集めましょう。
適正賃料の把握:周辺にある競合物件(同じような間取り、築年数の戸建てやアパート)がいくらの家賃で募集されているかを調査します。高すぎれば借り手はつきませんし、安すぎれば収益性が損なわれます。適正な賃料設定が空室対策の鍵となります。
地域の将来性:人口が増えているか減っているか、新しい商業施設や工場の建設計画はないかなど、自治体の公表データなども確認し、長期的な視点で賃貸需要が維持されるかを見極めます。
2. 効果的な空室対策の実践
万が一、空室が発生してしまった場合、あるいは空室期間を短くするためには、積極的な対策を講じる必要があります。
物件の魅力を高める:競合物件にはない「売り」を作りましょう。例えば、高速インターネット無料、エアコン全室設置、ペット飼育可、DIY可能など、ターゲットとする入居者層に響く付加価値を提供します。
広告戦略の見直し:入居者募集を依頼している不動産会社の活動状況を確認します。物件情報サイトへの掲載内容(写真の質、アピールポイントの書き方など)は適切か、他の広告手法は考えられないかなどを相談し、改善を促します。
柔軟な条件設定:長期間空室が続く場合は、家賃の値下げや、敷金・礼金なし(ゼロゼロ物件)といった条件緩和も検討します。ただし、安易な値下げは収益性を悪化させるため、最終手段と考えるべきです。
大阪府のような大都市圏ではワンルームマンションなど競合が多い一方、沖縄や石川県のような観光地や地方都市では、独自の暮らしを求める層へのアピールが効果的な場合もあります。保有する物件がどのような強みを持つか、どうすれば安心な暮らしを提供できるかを考え、対策を打つことが重要です。倉庫や事務所としての利用など、住居以外の用途に転換することも一つの選択肢です。
地域の需要をどう見極めれば成功しますか?
中古戸建て投資の成否は、物件そのものの良し悪しだけでなく、「どの地域で投資を行うか」に大きく左右されます。地域の賃貸需要を正確に見極めることが、成功へのカギとなります。
1. 人口動態と将来性の分析
まず見るべきは、マクロな視点での人口動態です。国勢調査などの公的データを利用して、投資を検討している市区町村の人口が、過去から現在にかけて増加傾向にあるか、減少傾向にあるかを確認します。特に、生産年齢人口(15~64歳)や年少人口(0~14歳)の動向は、将来のファミリー層の賃貸需要を予測する上で重要な指標となります。
全国的に人口減少が進む中でも、特定の地域、例えば地方中核都市や、大都市のベッドタウンなどでは人口が増加している場所もあります。北海道から東北、北陸、そして九州の佐賀県や大分県に至るまで、全国各地のデータを比較検討し、将来性のある地域を選ぶことが大切です。
2. 周辺施設の充実度と生活利便性の確認
次に、ミクロな視点で物件の周辺環境をチェックします。ファミリー層が住まいを選ぶ際に重視するのは、日々の生活の利便性です。
教育施設:小学校や中学校の学区はどこか、学校までの距離は安全か。
商業施設:スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニなどが徒歩圏内にあるか。
医療機関:内科や小児科などのクリニック、総合病院へのアクセスはどうか。
公共交通機関:最寄り駅やバス停までの距離、運行本数は十分か。
たとえ駅から遠くても、これらの生活関連施設が充実している住宅街は、根強い賃貸需要があります。実際に現地を歩き、自分の目で住みやすさを確認することが何よりも重要です。
3. 競合物件の状況調査
最後に、同じエリアにある競合物件の状況を調査します。どのような物件が、いくらの家賃で、どのくらいの期間で入居者が決まっているのかを探るのです。地元の不動産会社に「大家として物件を探している」と伝え、話を聞くのが最も効果的です。
競合が少なければ、多少条件が悪くても入居者を見つけやすいかもしれません。逆に、似たような賃貸戸建てが多い地域では、リフォームで差別化を図ったり、家賃を戦略的に設定したりする必要があります。大阪のような大都市と、鳥取県や群馬県のような地方都市では、競合の状況は全く異なります。その地域で「選ばれる物件」になるためにはどうすれば良いか、常に競合を意識して物件を選ぶ視点が求められます。
このように、土地の価格だけで判断するのではなく、そこに「住みたい」と思う人がどれだけいるかという「需要」の視点から地域を見極めることが、中古戸建て賃貸投資で失敗しないための鉄則です。
成功するための物件選び
中古戸建て投資の成功は、9割が「物件選び」で決まると言っても過言ではありません。ここでは、数ある物件の中から「お宝物件」を見つけ出すための具体的な選定基準について、3つの重要な視点から解説します。
エリア選定の具体的な基準は何ですか?
良い物件は良いエリアにあります。どのようなエリアが中古戸建て賃貸投資に適しているのか、その見極め方と選定基準を具体的に見ていきましょう。
1. 賃貸需要の高さを見極める
最も重要な基準は、安定した賃貸需要があることです。以下のポイントから多角的に判断します。
人口流入エリア:市区町村の人口が微増、あるいは減少率が緩やかなエリアを選びます。特に、生産年齢人口(15~64歳)が多い地域は、働く世代やファミリー層の需要が期待できます。
ファミリー層の多い住宅街:都市計画図などで「第一種低層住居専用地域」に指定されているようなエリアは、良好な住環境が保たれており、ファミリー層に人気があります。
供給<需要のバランス:不動産情報サイトで、そのエリアの賃貸戸建ての掲載物件数をチェックします。物件数が少なく、需要が見込めるエリアは狙い目です。関東の茨城県や、関西の奈良県、東北の青森県など、都心から少し離れたベッドタウンにもチャンスはあります。
2. 交通アクセスの良さを確認する
入居者の利便性を考えたとき、交通アクセスは無視できない条件です。
最寄り駅からの距離:都市部では「駅徒歩15分圏内」が一つの目安になりますが、地方では車社会が基本のため、駅からの距離以上に駐車場の有無が重視される傾向があります。
主要駅・都心へのアクセス:通勤・通学を考慮し、主要な駅やビジネス街まで30分~1時間程度でアクセスできる立地は魅力的です。愛知県名古屋市近郊や、東京都心へアクセスしやすいエリアなどが該当します。
道路網の利便性:車での移動がメインの地域では、幹線道路や高速道路のインターチェンジへのアクセスの良さも重要なポイントになります。
3. 周辺施設の充実度を考慮する
日々の生活を支える周辺環境は、入居者が長く住み続けるかどうかを決定づける重要な要素です。
買い物施設:スーパー、ドラッグストア、コンビニが徒歩や自転車で行ける範囲にあるか。
教育・医療機関:評判の良い小学校・中学校の学区内か。近くに小児科や内科クリニックがあるか。
公園・公共施設:子どもが遊べる公園や、図書館、市役所の支所などが近くにあると、子育て世代にとっての魅力が高まります。
四国地方の愛媛県など、地域ごとに生活スタイルや重視される条件は異なります。物件の面積や種別といったハード面の条件だけでなく、こうした立地や周辺環境というソフト面のこだわりを持ってエリアを選定することが、長期的に成功する秘訣です。
物件の状態と耐震性はどこをチェックすべき?
エリアを決めたら、次はいよいよ個別の物件チェックです。特に古い建物を扱う上で、物件の状態と耐震性の確認は、将来の大きなリスクを回避するために不可欠です。
1. 築年数とリフォーム履歴の確認
まず、物件の登記簿謄本や建築確認済証で正確な建築年月日を確認します。そして、過去にどのようなリフォームや修繕が行われたかの履歴(リフォーム履歴)を、売主や仲介の不動産会社に問合せましょう。
いつ、どこをリフォームしたか: 例えば「5年前に外壁塗装済み」「10年前にキッチン交換済み」といった情報があれば、当面の間、その部分の大きな修繕は不要だと判断できます。
修繕が必要な箇所はどこか:逆に、長年手入れがされていない箇所があれば、それが将来の修繕費用となります。購入前に修繕費用の見積もりを取得し、購入価格と合わせて投資計画に織り込む必要があります。
2. 耐震基準を満たしているか調べる
地震大国である日本において、建物の耐震性は非常に重要なチェックポイントです。特に注目すべきは「1981年(昭和56年)6月1日」という日付です。
新耐震基準(1981年6月1日以降の建築確認): 震度6強~7程度の大地震でも倒壊・崩壊しないレベルの耐震性が求められています。この基準を満たしている物件は、一つの安心材料となります。
旧耐震基準(1981年5月31日以前の建築確認):震度5強程度の地震で倒壊しないことが基準となっており、現在の基準と比べると耐震性が劣ります。旧耐震の物件を取得する場合は、耐震診断を行い、必要であれば耐震補強工事を行うことを強く推奨します。補強工事には150万円以上の費用がかかることもありますが、入居者の安全と自身の資産を守るためには必須の投資です。
福島県や静岡県、和歌山県など、東海・東南海・南海地震のリスクが指摘されている地域の物件を検討する際は、特に慎重な確認が求められます。
3. 設備の状態を詳細にチェックする
内見時には、以下のリストを参考に、五感をフル活用して建物と設備の状態をくまなくチェックしましょう。
構造躯体:基礎に大きなひび割れはないか。柱や壁は傾いていないか。床を歩いてみて、きしみや沈みはないか。
屋根・外壁:屋根材の割れやズレ、外壁のひび割れや塗装の剥がれはないか。
水回り設備:キッチン、浴室、トイレ、洗面台の給排水はスムーズか。給湯器は正常に作動するか(製造年月日もチェック)。
その他:雨漏りのシミやカビの跡はないか。建具(ドア、窓)の開閉はスムーズか。シロアリ被害の痕跡はないか。
これらのチェックを個人で行うには限界があります。そこで役立つのが、私たち(一社)全国古家再生推進協議会が認定する「古家再生投資プランナー®」の知識です。古家再生投資プランナー認定オンライン講座では、このような物件状況の見極め方を体系的に学ぶことができます。資格を取得し、協議会が開催する物件見学ツアーに参加すれば、専門家と一緒に実際の物件を見ながらチェックポイントを学ぶことができ、より確実な物件査定が可能になります。
駐車場や周辺環境の重要性とは?
物件本体だけでなく、駐車場や周辺環境といった「付帯要素」も、入居者付けや賃貸経営の安定性に大きな影響を与えます。見落としがちですが、非常に大切なポイントです。
1. 駐車場の有無と台数の確認
特に地方都市や郊外では、車は一人一台が当たり前の生活必需品です。そのため、駐車場の有無は入居の決め手となる最重要項目の一つと言えます。
必要台数の確保:最低でも1台分、ファミリー層をターゲットにするなら「駐車場2台付き」が大きなアピールポイントになります。物件に駐車場がない場合は、近隣で月極駐車場を確保できるか、その費用はいくらかを必ず確認しましょう。
駐車のしやすさ:駐車スペースが狭かったり、前面道路が狭くて車の出し入れが困難だったりすると、敬遠される原因になります。実際に車を停めてみて、ストレスなく利用できるかを確認することが大切です。
埼玉県、京都府、山口県など、都市部と郊外が混在する地域では、エリアによって駐車場の重要性が大きく変わります。ターゲットとする入居者のライフスタイルを想像し、駐車場が必要かどうかを判断しましょう。
2. 周辺環境の治安と快適性の調査
入居者が安心して快適な生活を送れるかどうかは、長期入居に直結します。
治安の確認:日中だけでなく、必ず夜間にも現地を訪れましょう。街灯の明るさ、人通りの多さ、周辺の店舗(例えば深夜営業の飲食店など)の雰囲気を確認し、女性や子どもが安心して歩ける環境かどうかを判断します。自治体のハザードマップで犯罪発生状況を確認するのも有効です.
騒音・臭気のチェック:近くに工場や幹線道路、鉄道などはないか。時間帯によって騒音レベルが変わることもあるため、平日と休日、朝と夜など、複数回訪れて確認するのが理想です。また、近隣に飲食店や畜産施設などがある場合、臭気の問題がないかもチェックすべきポイントです。
3. 近隣の住民層とコミュニティの考慮
どのような人々が周りに住んでいるかという点も、住みやすさに影響します。
住民層の把握:周辺の家々の様子(庭の手入れ具合、洗濯物など)から、子育て世帯が多いのか、高齢者が多いのかなど、おおよその住民層を把握します。
地域コミュニティ:古くからの住宅街では、町内会活動が活発な場合があります。入居者が地域にスムーズに溶け込めるか、あるいはそうした付き合いを負担に感じないか、といった視点も必要です。
山梨県や和歌山(市)の郊外など、自然豊かな環境は魅力ですが、地域独自のルールや人間関係が存在することもあります。物件という「点」だけでなく、その周辺環境という「面」で捉えることで、より失敗の少ない、入居者に喜ばれる物件選びが可能になります。
古戸建て投資と他の投資手法の比較
中古戸建て投資の理解をさらに深めるために、他の代表的な不動産投資である「マンション投資」と「新築戸建て投資」との違いを比較してみましょう。それぞれの特徴を知ることで、ご自身の投資スタイルに最も合った手法を見つけることができます。
マンション投資との主な違いは何ですか?
同じ不動産投資でも、中古戸建てとマンションでは、その性質は大きく異なります。ここでは、5つのポイントで両者を比較・解説します。
ポイント | 中古戸建て投資 | マンション投資(区分所有) |
初期投資 | 比較的安い(数百万円~) | 比較的高い(数千万円~) |
利回り | 高い傾向 | 低い傾向 |
管理の手間 | 多い(自己責任) | 少ない(管理組合・管理会社) |
土地の資産価値 | 土地の所有権が手に入る | 土地の権利は敷地権割合のみ |
入居者層 | ファミリー層中心(長期) | 単身者・DINKS中心(短期) |
1. 賃貸需要と入居者層の違い
中古戸建て:主なターゲットはファミリー層です。庭付き、駐車場付き、ペット可といった条件で探している層に強く響き、一度入居すると長期間住んでくれる傾向があります。
マンション:主に駅近の利便性を求める単身者やDINKS(子供のいない共働き夫婦)がターゲットです。ライフステージの変化(結婚、転勤など)による入れ替わりが比較的早いのが特徴です。
2. 維持管理コストと手間の差
中古戸建て:建物の修繕や管理はすべてオーナーの自己責任です。外壁塗装や屋根の修理など、大規模な修繕が一度に発生するリスクがあります。一方、自分の裁量で自由にリフォームできるメリットもあります。
マンション:毎月、管理費や修繕積立金を支払う必要があります。これにより、日常の清掃や将来の大規模修繕は管理組合が計画的に行ってくれるため、オーナーの手間は少ないです。しかし、自分の意思だけで共用部分の変更などはできません。
3. 資産価値の変動と土地の権利
これは両者の最も大きな違いと言えます。
中古戸建て:建物は経年劣化しますが、「土地」は資産として残ります。極端な話、建物が朽ち果てても土地の価値は残るため、資産価値がゼロになりにくいです。
マンション:購入するのは「専有部分の所有権」と「土地の共有持分(敷地権)」です。建物全体の土地に対する自分の権利はごくわずかであり、資産価値の大部分は建物に依存します。そのため、築年数が経つと資産価値は大きく下落する傾向があります。
1億円といった高額なマンション投資もありますが、500万円程度から始められる中古戸建て投資は、同じ不動産投資でも全く異なるアプローチと言えるでしょう。どちらが良い・悪いではなく、どちらが自分の目指す投資スタイルに合っているかを、これらのポイントを基に検討することが重要です。宮城県などの地方都市では、マンションよりも戸建ての需要が高いケースも多く、地域性も考慮に入れる必要があります。
新築戸建て投資と比較した際のポイントは?
次に、同じ戸建てでも「新築」と「中古」ではどのような違いがあるのかを比較してみましょう。
ポイント | 中古戸建て投資 | 新築戸建て投資 |
初期投資 | 安い | 高い |
利回り | 高い傾向 | 低い傾向 |
修繕リスク | 高い(購入当初から) | 低い(当面は不要) |
入居者付け | リフォーム次第 | 比較的しやすい |
減価償却 | 期間が短く、節税効果大 | 期間が長く、毎年の効果は小 |
1. 初期投資と収益性の違い
中古戸建て:既述の通り、取得価格が安いため、少ない自己資金で始めることができ、高い利回りを狙えます。購入価格300万円、リフォーム200万円の合計500万円の投資で、高い収益性を実現することも夢ではありません。
新築戸建て:当然ながら購入価格は高額になります。最新の設備やデザインで入居者付けはしやすいですが、投資額が大きいため、利回りは比較的低くなる傾向があります。
2. リスクとリターンのバランス
中古戸建て:「ハイリスク・ハイリターン」の側面があります。想定外の修繕リスクや、入居者が見つからないリスクがありますが、それらを乗り越え、物件を再生させることで大きなリターンを得られる可能性があります。売買の知識やリフォームのノウハウが求められます。
新築戸建て:「ローリスク・ローリターン」と言えます。当面は修繕の心配がなく、保証も付いているため安心感は高いです。しかし、購入した瞬間に「中古」となり価格が下がるため、大きなキャピタルゲイン(売却益)は期待しにくいです。
3. 税務面(減価償却)での比較
減価償却は、不動産投資における重要な節税策です。
中古戸建て:法定耐用年数(木造住宅は22年)を超えた物件の場合、簡便法を用いて最短4年で建物の購入費用を償却できます。これにより、毎年の所得を大きく圧縮し、所得税や住民税を軽減する効果が期待できます。
新築戸建て:22年という長い期間をかけて少しずつ償却していくため、年間の経費計上額は少なくなります。
どちらの投資手法を選ぶかは、投資家の資金力、リスク許容度、そして「不動産投資にどう関わりたいか」によります。ゼロから物件を建ててみたいという方には新築がおすすめですし、新潟県や山形県などで見られるような古い物件に新たな価値を見出し、再生させるプロセスに魅力を感じる方には、中古戸建て投資が最適と言えるでしょう。
中古戸建て賃貸投資を成功させるためのポイント
これまでの章で、中古戸建て投資の魅力とリスク、物件選びの重要性について解説してきました。ここでは、実際に投資を成功へと導くための、より実践的な3つのポイントをご紹介します。
なぜプロの賃貸管理を活用すべきなのですか?
物件を購入し、リフォームを終え、いよいよ賃貸経営のスタートです。ここで多くのオーナーが直面するのが「物件管理をどうするか」という問題です。特に副業で取り組む方にとって、プロの賃貸管理会社の活用は、成功のための重要な選択肢となります。
1. 専門知識でリスクを軽減し、手間を省く
賃貸経営には、入居者募集(客付け)から家賃の集金、クレーム対応、退去時の精算、建物のメンテナンスまで、多岐にわたる業務が発生します。これらをすべて自分一人で行うのは、時間的にも精神的にも大きな負担です。
プロの管理会社に委託すれば、これらの煩雑な業務を代行してもらえます。
入居者トラブル対応:家賃滞納や近隣からの騒音クレームなど、対応が難しい問題も専門的なノウ-ハウで解決に導いてくれます。
法律・条例の遵守: 賃貸借契約に関する法律は年々改正されます。専門家でなければ見落としがちな法律上のリスクを回避できます。
時間と労力の節約: 本業に集中しながら、安定した家賃収入を得ることが可能になります。
2. 適正な家賃設定と強力な入居者募集
空室は最大のリスクですが、プロの管理会社は強力な味方になります。
適正な家賃査定:地域の膨大な賃貸データに基づき、空室になりにくく、かつ収益性を最大化できる絶妙な家賃を設定してくれます。
幅広い募集ネットワーク:自社のウェブサイトだけでなく、大手不動産ポータルサイトや、他の不動産会社への情報提供(業者間流通システム)など、多様なチャネルで入居者を募集してくれます。
魅力的な広告作成:入居者の心に響く写真の撮り方や物件紹介コメントの書き方など、募集広告の質を高めるノウハウを持っています。
3. 管理会社の選び方
ただし、どの管理会社でも良いというわけではありません。以下のポイントを参考に、信頼できるパートナーを選びましょう。
地域への精通度:物件のあるエリアに強く、地域の賃貸事情を熟知しているか。
管理実績:どのくらいの戸数を管理しているか、入居率はどのくらいか。
担当者の対応:レスポンスが早く、親身に相談に乗ってくれるか。
管理委託費用は一般的に家賃の5%程度が相場ですが、その費用を払ってでも余りあるメリットを享受できるケースがほとんどです。特に初心者の方や、遠隔地の物件を所有する方にとっては、プロの賃貸管理の活用は成功への近道と言えるでしょう。
資産の分散投資はどのように考えれば良い?
「すべての卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言は、中古戸建て賃貸投資にも当てはまります。一つの物件、一つの地域にすべての資金を集中させるのは、リスク管理の観点から得策ではありません。
1. リスクヘッジとしての分散の重要性
仮に、ある一つの物件だけに投資していた場合、もしその物件が災害で大きな被害を受けたり、周辺環境の悪化で賃貸需要が急激に落ち込んだりすると、あなたの資産は深刻なダメージを受けます。
しかし、複数の物件に資産を分散させていれば、一つの物件で問題が生じても、他の物件からの家賃収入でカバーすることができます。これがリスクヘッジとしての分散投資の基本的な考え方です。
2. 分散投資の具体的な方法
分散投資には、いくつかの方法があります。
エリア(地域)の分散:例えば、1棟目は地元の物件、2棟目は将来性が見込める別の県の物件、というように、異なるエリアに物件を所有します。これにより、特定の地域を襲う災害リスクや、経済状況の悪化リスクを軽減できます。
物件タイプの分散:中古戸建てだけでなく、アパートや区分マンションなど、異なるタイプの物件を組み合わせて保有する方法です。ターゲットとなる入居者層が異なるため、社会情勢の変化による需要の変動リスクに対応しやすくなります。
購入時期の分散:一度に複数の物件を購入するのではなく、数年おきに買い増していく方法です。これにより、不動産市場の価格変動リスクを平準化できます。
3. 長期的な投資戦略の構築
分散投資は、やみくもに行うものではありません。まず1棟目の中古戸建て投資を成功させ、その経験とキャッシュフローを基に、2棟目、3棟目へとステップアップしていくのが王道です。
長期的な視点で「どのような物件ポートフォリオを構築したいか」という戦略を立てることが重要です。最終的な出口戦略(売却)までを考慮に入れ、安定した資産形成を目指しましょう。まずは一つの物件の運営に集中し、成功体験を積んでから、徐々に分散を検討していくのが堅実な進め方です。
税制優遇をうまく活用する方法はありますか?
不動産投資の魅力の一つに、様々な税制優遇を活用できる点が挙げられます。特に中古戸建て投資は、その恩恵を受けやすい特徴があります。税金の知識は、手元に残るキャッシュフローを最大化するために不可欠です。
1. 「減価償却」の仕組みを理解する
減価償却とは、建物の取得費用を、法律で定められた耐用年数にわたって分割し、毎年経費として計上できる仕組みです。
中古戸建てのメリット: 木造住宅の法定耐用年数は22年です。築22年を超えた中古戸建ての場合、簡便法という計算方法を用いて、取得費用をわずか4年で償却できます。
節税効果:例えば、建物価格400万円の築古物件を購入した場合、毎年100万円を減価償却費として経費計上できます。これにより課税所得が圧縮され、所得税や住民税が大幅に軽減されるのです。これは、新築物件にはない、中古戸建てならではの大きなメリットです。
2. 経費計上できる項目を最大限に利用する
減価償却費以外にも、賃貸経営にかかった様々な費用を経費として計上できます。
主な経費項目:
・ 固定資産税・都市計画税
・ 損害保険料(火災保険、地震保険など)
・ 管理委託費
・ 修繕費
・ ローン金利(建物部分)
・ 税理士など専門家への報酬
・ 交通費、通信費など
これらの経費を漏れなく計上することで、課税対象となる所得をさらに減らすことができます。日頃から領収書をきちんと保管しておくことが重要です。
3. 専門家のアドバイスを受ける
税金の計算は非常に複雑です。特に減価償却の計算や、修繕費と資本的支出(資産価値を高める支出)の区分など、専門的な判断が必要な場面も多くあります。
そのため、確定申告は税理士などの専門家に依頼することを強くお勧めします。専門家に相談することで、自分では気づかなかった節税方法が見つかることもありますし、何より正確な申告で税務調査のリスクを避けることができます。
こうした税務の基礎知識は、成功する大家さんになるための必須科目です。私たち(一社)全国古家再生推進協議会が提供する「古家再生投資プランナー認定オンライン講座」では、不動産投資に関わる税金の基礎から、効率的な運用方法までを体系的に学ぶことができます。税制優遇を最大限に活用し、賢く資産を増やすための知識を、あなたも身につけてみませんか。
まとめと今後の展望
さて、ここまで中古戸建て賃貸投資の全貌について、多角的に解説してきました。最後に、この投資の将来性と、これから始めるための具体的なステップについてまとめていきましょう。
中古戸建て投資の将来性はどうですか?
中古戸建て投資を取り巻く環境は、大きな変化の渦中にありますが、私はその将来性に非常に明るい展望を持っています。
1. 空き家問題がもたらすチャンス
社会問題化している空き家の増加は、見方を変えれば、投資家にとっては「優良な物件を安価で仕入れるチャンスの拡大」を意味します。今後、2025年問題(団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる)を迎え、相続による空き家がさらに市場に供給されることが予測されます。これらの物件の中には、少し手を入れるだけで素晴らしい賃貸物件に生まれ変わる「お宝」が数多く眠っています。
2. ライフスタイルの多様化による需要の変化
コロナ禍を経て、リモートワークが普及し、人々の暮らし方や住まいに対する価値観は大きく変わりました。都心に縛られない働き方が可能になったことで、自然豊かな郊外や地方への移住に関心を持つ人が増えています。
こうした人々が求めるのは、画一的なマンションではなく、庭いじりやDIYを楽しめる、広々とした戸建て住宅です。神奈川県の郊外、福岡県や岡山県といった地方中核都市周辺など、これまで注目されてこなかったエリアの戸建て賃貸需要が高まる可能性を秘めています。
3. 「再生」という社会貢献
中古戸建て投資は、単なる資産形成の手段ではありません。放置すれば地域の景観を損ない、防犯・防災上のリスクにもなる空き家を再生し、新たな住まいとして蘇らせることは、地域社会の活性化に繋がる非常に意義のある活動です。入居者に喜ばれ、地域に貢献しながら、自身の資産も築いていく。この三方よしの精神こそが、中古戸建て投資の最大の魅力であり、将来性だと私は考えています。
もちろん、再建築不可物件のように専門知識が必要なケースや、木造住宅の相場を正しく見極める目も必要です。しかし、正しい知識を身につければ、これらの課題は乗り越えられます。
投資を始めるための具体的なステップとは?
この記事を読んで、「自分も始めてみたい」と思われた方もいらっしゃるでしょう。最後に、投資初心者の方が失敗しないための具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:情報収集と学習
まずは、正しい知識を身につけることから始めましょう。書籍やインターネットの記事、信頼できる専門家が開催するセミナーなどを活用し、不動産投資の基礎を学びます。本記事も、ぜひ何度も読み返してください。
ステップ2:目標設定と資金計画
「なぜ投資をするのか」「いつまでに、どのくらいの資産を築きたいのか」という目標を明確にします。その上で、自己資金はいくら用意できるのか、融資は利用するのかといった資金計画を具体的に立て、投資シミュレーションを行います。
ステップ3:専門知識の習得(資格取得の検討)
より実践的で体系的な知識を効率よく身につけるために、資格取得を検討するのも非常に有効な手段です。私たちが提供する「古家再生投資プランナー®」は、まさにこのために作られた資格です。物件の見極め方からリフォーム、賃貸経営、出口戦略まで、成功に必要なノウハウを網羅的に学ぶことができます。
ステップ4:専門家とのネットワーク構築
信頼できる不動産会社、リフォーム会社、税理士、そして投資仲間。これらの専門家や仲間とのネットワークは、あなたの投資活動を支える何よりの資産となります。
ステップ5:実践(物件探しと購入)十分な知識と計画、そしてネットワークを構築したら、いよいよ実践です。学んだ知識を総動員して物件を探し、納得のいく物件が見つかったら、勇気を持って第一歩を踏み出しましょう。
中古戸建て賃貸投資は、決して楽な道ではありません。しかし、正しい知識を身につけ、一つ一つのステップを堅実に踏んでいけば、誰にでも成功のチャンスがある、夢のある投資です。
最後に…
ここまで長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
中古戸建て賃貸投資の世界は、奥深く、そして非常にエキサイティングです。それは単にお金を増やすだけの行為ではありません。忘れ去られていた古い家に新たな命を吹き込み、そこに住む人の笑顔を創り出し、ひいては日本の社会が抱える空き家という大きな課題の解決に貢献する、社会的意義の大きな「事業」です。
もちろん、本記事で解説したように、様々なリスクも存在します。しかし、リスクとは「知らないこと」から生まれる恐怖心に他なりません。正しく学び、理解し、備えることで、リスクはコントロール可能な課題へと変わります。
もしあなたが、この記事を読んで少しでも心を動かされ、「自分もこの価値ある事業に挑戦してみたい」と感じていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。その挑戦への第一歩として、そして成功への最短ルートを歩むための羅針盤として、ぜひ「古家再生投資プランナー®」の資格取得をご検討ください。
私たちが長年培ってきた知識とノウハウのすべてを、そこにご用意しています。あなたの挑戦を、心からお待ちしております。
(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之
POST: 2025.08.17