(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
近年、不動産投資の中でも「戸建て投資」が注目を集めています。マンションやアパートとは異なる投資手法として、戸建て特有の魅力や利回りの高さに注目が集まっており、「マンションよりも管理が楽」「利回りが高い」といった声が多く聞かれます。実際に、戸建て投資はうまく運営すれば高い収益を得やすい反面、物件選びやリフォームなどにある程度の知識や戦略が必要になります。したがって、実際に儲かるかどうかは投資のやり方や購入物件の特性によって大きく左右されるのです。
本記事では、戸建て投資のメリット・デメリットをはじめ、投資に向いている人の特徴、そして成功に近づくためのポイントや注意点を詳しく解説します。さらに、当協議会が認定している「古家再生投資プランナー」という資格についても取り上げますので、これから戸建て投資を始めたい方や、戸建て投資で成功したい方にとって役立つ内容になっています。
投資にはさまざまなリスクが伴いますが、正しい知識を得て堅実に運営していけば、長期的に安定した収益を期待できるのが不動産投資の大きな魅力です。初めての方でも戸建て投資の本質を理解し、ぜひ成功につなげてください。
目次
戸建て投資とは?基本を押さえよう
戸建て投資とは、一戸建て住宅を購入し、賃貸運用または売却によって利益を得る不動産投資の手法です。マンション投資やアパート投資など、集合住宅を対象とした投資と比較すると、物件数が少ない分だけ物件の管理がシンプルになりやすいという特徴があります。
また、一戸建て住宅はファミリー層や広めの居住スペースを求める入居希望者に人気があるため、長期間の賃貸借契約が期待できることも利点の一つです。
さらに、物件のタイプとして特に注目されているのが「築古(ちくふる)戸建て」です。築年数が経過していて価格が安くなった物件を購入し、適切なリフォームやリノベーションを施したうえで賃貸に出すことで、高い利回りを実現できる可能性があります。地方の空き家や古家を活用する方法も広がりつつあり、「古家再生投資」という用語がメディアやセミナーで取り上げられる機会も増えました。
戸建て投資の大まかな流れを整理すると、以下のようになります。
- 購入物件の探し方を決める(不動産仲介会社、インターネットの不動産ポータルサイト、競売物件リストなど)
- エリアの需要や物件の状態をチェックし、価格交渉を行った上で物件を取得
- 必要に応じてリフォーム・リノベーションや修繕を実施
- 入居者募集(仲介会社に委託したり、自分で募集する場合もある)
- 賃貸管理を行い、家賃収入を得る
- 売却する場合は売却のタイミングを検討し、市場価格に応じて利益を確定する
戸建て投資を成功させるには、エリア選び、リフォーム費用の把握、空室リスクの対策など、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
とくにエリア選びは、長期的に安定した入居需要を得るために最も重視すべき要素です。地方では都市部ほどの人口密度はありませんが、逆に物件価格が安く利回りが高くなる可能性もあります。エリアの特性を見極め、自分の投資戦略に合った物件を選びましょう。
戸建て投資のメリット・デメリット
戸建て投資を検討するうえで重要なのは、そのメリットとデメリットを正しく理解しておくことです。どんな投資でも良い面と悪い面があるため、両方を踏まえたうえで自分に合った投資手法かどうかを見極める必要があります。
メリット
高利回りを狙いやすい
戸建てはマンションやアパートと比べ、価格が安いケースが多いことから、購入費用に対する家賃収入の比率である利回りが高くなりやすい傾向があります。特に、地方や築古物件を安く買ってしっかりリフォームすることで、家賃をある程度高めに設定でき、結果として高利回りを得られる可能性が高まります。管理が比較的楽
アパートやマンションの場合、共用部分の維持管理(エレベーターや廊下、エントランス等)が必要となり、管理組合や管理費の支払い、修繕積立金などの手間が発生します。一方、戸建ては共用部分がありませんので、管理の煩雑さが大幅に減り、自主管理でも比較的対応しやすい面があります。入居期間が長い傾向
一戸建ての賃貸物件はファミリー層に人気があります。ファミリー層は子どもの学区や通勤・通学の環境を考慮して引っ越しを少なくする傾向があるため、一度入居してもらえれば長期間にわたって家賃収入を得られるケースも珍しくありません。マンションのワンルームなどに比べて住み替えリスクが低いことは大きなメリットです。比較的少額で始められる可能性
地方の築古物件であれば数百万円程度から購入できるケースもあり、大きな自己資金がない場合でも現実的に始められる可能性があります。投資用マンションの新築や、都心の物件となると数千万円単位の費用が必要になることが多いのに対して、ハードルがやや低い点は魅力です。
デメリット
流動性が低い
戸建ては、マンションに比べて売却が難しいケースがあります。マンションでは立地条件が整っていれば比較的すぐに買い手が見つかる可能性がありますが、戸建てはエリアや築年数、間取り、建物の状態などの条件が幅広く、買い手が限られる場合があります。よって売却までに時間がかかる可能性があるため、短期的な売却益を狙うよりは長期的に運用するつもりで取り組むのが望ましいでしょう。リフォーム費用がかさむ可能性
とくに築古物件を購入する場合、想定していなかった修繕やリフォームが必要になることがあります。外壁・屋根の修繕、設備の交換、耐震補強などの大掛かりな工事が必要になると、当初の想定より費用が大幅に増えるリスクがあります。購入前にしっかりと建物の状態を調査し、概算の費用を把握しておきましょう。エリア選定が難しい
戸建て需要がある地域とそうでない地域の差は大きいです。地方でも交通アクセスが良いところや、学区が人気の地域であれば賃貸需要が高い反面、過疎化が進むエリアでは入居者が見つからず、空室リスクが非常に高くなる場合もあります。エリアの将来性や需要動向をよく調べる必要があります。融資が受けにくい場合がある
築年数が古い物件は金融機関の融資審査が厳しくなることがあります。融資期間も短く設定されがちなので、自己資金をある程度用意しておくか、場合によってはフルローンではなく部分的に自己資金を投入する必要があるかもしれません。融資条件が合わないと、複数戸建てを一気に増やすのが難しくなる点も考慮しておきましょう。
どんな人におすすめ?戸建て投資が向いている人の特徴
戸建て投資は、どんな人でも成功するというわけではありません。不動産投資は自己資金やリスク許容度、あるいは物件選びの知識によって向き不向きがあります。
下記に挙げるような特徴を持つ人には、特に戸建て投資が向いていると考えられます。
比較的少額で不動産投資を始めたい人
戸建て投資、とくに地方の築古物件の投資であれば、数百万円から始められる可能性があります。最初から都心の高額物件に投資するのが不安という方、または自己資金が少ない方にとっては、比較的ハードルが低いです。リフォームやDIYが好きで、自分で手を動かしたい人
古い一戸建てを購入した場合には、リフォームやDIYによるバリューアップで家賃を上げることが可能になります。自分でDIYを行うことでリフォーム費用を抑えつつ、独自の魅力を演出できるのが戸建て投資の面白いところです。DIY好きの方や、工事関係の知識がある人にはうってつけといえます。ファミリー層をメインターゲットに長期安定収入を得たい人
ファミリー層は単身者に比べて居住期間が長くなる傾向があり、退去が少ない点が魅力です。ファミリー層向けの物件は、立地(学校やスーパー、公共施設が近いか)や間取り(3LDKなど)も重要ですが、戸建てはまさにファミリー層に最適な賃貸物件の一つです。地方の不動産市場に興味がある人
地方には空き家が多く、比較的安価で物件を購入できる反面、しっかりとしたリフォームやエリア選定が必要になります。地方の不動産市場に関する情報収集を怠らず、高い利回りを狙う戦略を立てたい方には戸建て投資がフィットしやすいでしょう。長期的に資産形成を考えている人
戸建て投資は売却益を狙うよりも、長期の賃貸収入や将来的な地価上昇を期待して運営するケースが多いです。すぐに大きなキャッシュを得るというより、コツコツと家賃収入を積み重ねることで資産を形成したいと考えている人に向いています。
逆に、短期的に大きな利益を狙いたい方や、物件管理に時間をかけたくない方、融資をフルに使ってスピード重視で資産を増やしたい方などは、戸建て投資よりもマンション投資やアパート一棟買いなどのほうが向いている可能性があります。
あくまでも、自分の投資スタイルやリスク許容度、ライフスタイルと照らし合わせながら検討することが大切です。
成功するためのポイントと注意点
戸建て投資には大きな魅力がありますが、成功するためにはいくつか押さえておきたいポイントがあります。また、注意すべきことを事前に理解しておくことで、想定外の損失を回避しやすくなります。
以下に代表的なポイントと注意点をまとめました。
成功するためのポイント
エリア選びが最重要
どの不動産投資でもエリア選びが肝心ですが、戸建て投資では特に需要のあるエリアを見極めることが大切です。人口が減少していないか、交通アクセスは良好か、近隣にスーパーや学校、病院などが充実しているかといった要素をチェックし、ターゲット層(ファミリー層など)の需要を把握しましょう。リフォーム費用の徹底的な見積もり
戸建て投資の場合、リフォームで室内外を整備して家賃を上げる戦略が有効ですが、思わぬ修繕箇所が見つかることは珍しくありません。シロアリ被害や耐震補強、給排水設備の老朽化など、見えにくい部分の修繕も含めて、事前にしっかり見積もりを取りましょう。購入前のホームインスペクション(住宅診断)を活用するのもおすすめです。出口戦略を考える
戸建て投資は流動性が低いという特徴があるため、売却する場合は計画的にタイミングを見計らう必要があります。早期に売却するのか、長期間保有して家賃収入を得続けるのか、あるいは相続対策として持ち続けるのかといった出口戦略を明確にしておくことで、無計画なキャッシュフロー不足に陥るリスクを下げられます。信頼できるパートナーの活用
リフォーム会社や不動産仲介会社など、信頼できるパートナーを見つけることが成功の近道です。とくに築古戸建てのリフォームは業者によって得意分野が異なるため、費用対効果の高いリフォームを提案してくれる専門家を見極める必要があります。また、入居者の募集や物件管理を委託する管理会社選びも重要です。小まめなメンテナンスで資産価値を維持
一度リフォームを施して賃貸に出しても、定期的にメンテナンスを行わなければ建物の老朽化は進みます。外壁や屋根の塗装、給湯器やエアコンなどの設備点検、シロアリ対策などを計画的に行うことで、家賃の下落や空室リスクを低減でき、長期的な安定運用が望めます。
注意点
空室リスクへの備え
需要の乏しいエリアの物件を購入してしまうと、入居者がなかなか決まらないまま空室期間が長引き、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。家賃を下げる、募集方法を変える、設備をリニューアルするなどの対策を講じても解消しない場合は、賃貸事業自体が成り立たなくなることもあるため、物件選びの段階で十分に需要リサーチを行いましょう。築古物件の耐震性や設備への不安
古い物件の場合、昭和56年(1981年)以前に建築された旧耐震基準の住宅である可能性が高いです。この場合、地震への備えとして耐震補強が必要になることがあります。また、給排水設備や電気設備なども老朽化している可能性があるため、安全性・快適性を確保するには大規模なリフォームが前提となる場合があります。融資利用のハードル
古い戸建ては評価額が低く、金融機関からの融資審査が厳しくなることが多いです。頭金をしっかり準備できる方や、すでにほかの不動産投資で実績がある方なら融資を受けやすくなりますが、初心者の場合はより慎重に物件と金銭計画を練る必要があります。管理コストと手間
戸建ては共用部分がない分管理が楽ともいわれますが、入居者が退去した後のリフォームや庭・敷地の整備が必要になることがあります。自主管理をする場合は、これらの手間と費用を考慮に入れておかないと思わぬコストがかかる場合があります。管理会社に委託するなら、その費用も加味しながら収支計画を立てましょう。税金や法規制への理解
固定資産税や都市計画税の負担、建物の増改築に際しての建築基準法や消防法など、物件取得後にもさまざまな手続きが発生する場合があります。戸建てならではの法的規制もあるため、あらかじめ行政に確認したり、専門家に相談したりしておくと安心です。
「古家再生投資プランナー」という選択肢
築古戸建て投資に興味を持ち、「もっと専門的な知識を得たい」「投資を体系的に学びたい」と考えている方には、「古家再生投資プランナー」という資格取得の検討をおすすめします。これは当協議会が認定する資格であり、築古物件の投資ノウハウやリフォームのポイント、管理や運営に関する実践的な知識を学べる講座・研修が用意されています。
「古家再生投資プランナー」の学習内容は、以下のような点をカバーしているのが特徴です。
空き家や古家の活用方法
地域活性化や空き家問題の解消にもつながる「古家再生」の社会的意義やメリットを理解できます。単に投資としてだけでなく、地域課題の解決に貢献しながら利益を得るという点で、やりがいや達成感を得やすいのも特徴の一つです。法令・リフォームの基礎知識
建築基準法や耐震基準の知識、リフォーム・リノベーションの施工ポイントなど、不動産や建築関連の幅広い知識を得られます。素人が一から学ぶと難解な内容もありますが、体系的に整理されたカリキュラムで学ぶことで、実践に直結したスキルが身につきます。金融機関との交渉や物件選定のノウハウ
「古家再生投資プランナー」の講座では、融資を得るための事業計画の作り方や、利回り計算、実際の物件選定の基準などが細かく解説されるケースがあります。初心者が陥りやすいミスや落とし穴を回避するためにも、投資理論に基づいた知識は非常に有益です。協議会による優良物件の情報提供
資格取得者には、全国古家再生推進協議会が推薦する優良物件の情報が提供される場合もあります。自分で探すと見落としてしまうような利回りの高い物件や、今後エリアの需要が高まると予想される物件などに出会うチャンスが広がります。
こうした学習を通じて、戸建て投資の専門家としての信用力を高めることができます。また、「古家再生投資プランナー」を取得しておくと、リフォーム会社や金融機関との交渉においても自分の知識や見識を示しやすくなるため、投資をスムーズに進めやすいというメリットもあるでしょう。
資格を取得するかどうかは個人の判断ですが、「戸建て投資を真剣に学びたい」「空き家再生を通じて社会貢献しながら投資をしたい」という方には、かなり有力な選択肢といえます。
まとめ:戸建て投資を始めるなら今がチャンス!
戸建て投資は、正しい知識と戦略を身につければ高利回りを狙いやすく、かつファミリー層を中心とした長期安定の家賃収入が期待できる魅力的な投資手法です。特に地方に点在する築古物件や空き家を活用する「古家再生投資」は、投資家として収益を得ながら社会問題の解決にも貢献できる側面を持ち、多くの人々から注目を集めています。
しかし、戸建て投資には流動性の低さやリフォーム費用のリスク、融資のハードルなど、克服すべき課題もあります。成功するためには物件選び(エリア選定)、費用計画、リフォームの質、管理体制など、複数の要素をバランスよく考え、対策を講じることが大切です。
もし「戸建て投資を始めてみたいけれど不安がある」「空き家を再生する社会的意義にも興味がある」という方は、「古家再生投資プランナー」の取得を検討してみるのも良い方法です。体系立てた知識を習得することで、失敗を最小限に抑えながら投資の成功確率を高めることができます。
不動産投資では、長期的な視点と綿密な計画が不可欠です。焦らずに情報収集を行い、専門家のアドバイスや実績者の事例などを参考にしながら、自分に合った方法で戸建て投資にチャレンジしてください。短期的な利益だけでなく、将来的な資産形成や地域活性化など、多面的なメリットを見据えて行動を起こすなら、今がまさにチャンスといえるでしょう。
以上が戸建て投資に関する総合的な解説となります。投資を始める際には、必ず物件の調査やリスクの把握に十分な時間をかけ、慎重に判断するよう心がけてください。しっかりとした準備と知識を備えたうえでスタートすれば、戸建て投資はあなたの将来の大きな財産と安定収入をもたらしてくれる可能性を秘めています。ぜひ、前向きに検討してみてください。
POST: 2025.03.10