
(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
これから空き家・古家不動産投資を始めようとしている方、あるいはすでに物件を購入したものの、リフォーム費用の見積もりが予想以上に高くて驚いている方も多いのではないでしょうか。実は、古家再生投資において「リフォーム費用」をいかにコントロールするかは、投資の成否を分ける最も重要な要素といっても過言ではありません。
私たち(一社)全国古家再生推進協議会(全古協)では、これまで累計2,467棟(2025年10月20日時点)もの空き家を再生してきました。その膨大なデータと経験から導き出した、リフォーム費用を劇的に抑えつつ、入居者が一目惚れする物件に仕上げるための「5つのコツ」をこの記事で詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、無駄な出費を抑え、高利回りを実現するための具体的な実践術がすべて分かります。机上の空論ではない、現場から生まれた本物のノウハウをぜひあなたの投資に活かしてください。
目次
1. なぜリフォーム費用を抑えることが空き家投資の「命」なのか
不動産投資、特に空き家・古家再生投資において、リフォーム費用は単なる「経費」ではなく「投資判断の軸」です。なぜなら、リフォーム費用の増減は、そのまま「利回り」という投資の成績表に直結するからです。
投資効率(利回り)を左右する最大の変動要因
一般的な区分マンション投資や新築アパート経営では、家賃設定や物件価格にある程度の相場があり、大きな変動は少ないものです。しかし、古家再生投資は違います。ボロボロの状態の家をいくらで買い、いくらで直すか。この「直す費用」に正解がないため、初心者の方はリフォーム会社の言いなりになってしまい、数百万円もの過剰なリフォームをしてしまうケースが後を絶ちません。
例えば、物件を200万円で購入し、家賃5万円(年間60万円)が見込めるとしましょう。リフォームを150万円に抑えれば、投資総額は350万円となり、利回りは約17%です。しかし、言われるがままに350万円のリフォームをしてしまうと、投資総額は550万円となり、利回りは約10.9%まで低下します。この差は、投資回収期間を数年も遅らせることになります。
「安かろう悪かろう」は命取り。4方よしの精神で考える再生
費用を抑えるといっても、ただ単に手を抜いて安く仕上げればいいというわけではありません。私たちの理念である「4方よし(入居者よし、大家よし、地域よし、国よし)」を忘れてはいけません。
入居者様が安全・快適に暮らせないような手抜き工事は論外です。雨漏りがしたり、床が抜けていたりするような家では、たとえ家賃が安くても入居者は付きませんし、入居してもすぐに退去してしまいます。長期的に安定した家賃収入を得るためには、抑えるべきところは抑え、かけるべきところにはしっかりかけるという「メリハリ」が不可欠です。
2,467棟のデータが証明する、リフォーム費用と入居率の相関関係
全古協での2,467棟の実績を分析すると、面白いことが分かります。実は、リフォーム費用をかければかけるほど入居率が上がるわけではありません。一定の基準を超えると、費用対効果は急激に悪化します。
入居者が求めているのは「新築のような豪華さ」ではなく「清潔感」と「安心感」です。この本質を見抜き、最小限の費用で最大限の印象を与えるリフォーム術こそが、プロの大家に求められるスキルなのです。
2. 【コツ1】「家賃」から逆算してリフォーム予算を決定する
リフォーム費用を抑えるための最大の秘訣は、リフォーム会社に見積もりを取る前に、自分の中で「上限予算」を決めておくことです。この予算の決め方を、私たちは「逆算の思考法」と呼んでいます。
表面利回り15%〜20%を確保するための計算式
古家再生投資では、最低でも利回り15%以上、できれば20%前後を目指すのが理想的です。そのための計算式は非常にシンプルです。
(見込み家賃 × 12ヶ月)÷ 0.15(利回り15%)= 投資総額の上限
ここから「物件購入価格」と「諸経費」を引いた残りが、あなたが使える「リフォーム予算」の正体です。
例えば、家賃が月5万円取れる地域であれば、年間の家賃収入は60万円。利回り15%を確保するための投資総額の上限は400万円です。物件を150万円、諸経費に50万円かかるとすれば、リフォーム予算は200万円以内にする必要があります。この「200万円」という枠を絶対に超えないという強い意志が、リフォーム費用を抑える第一歩となります。
地域の家賃相場を「古家再生投資プランナー®️」の視点で調査
逆算の基点となる「見込み家賃」を正確に把握することが重要です。ネット上の情報だけでなく、地元の賃貸仲介業者にヒアリングを行いましょう。「このエリアで、このスペックの戸建てなら、いくらで貸せますか?」と聞くのです。
私たち全古協の「古家再生投資プランナー®️認定オンライン講座」では、この家賃査定の精度を上げるためのトレーニングも行っています。家賃を高く見積もりすぎると、リフォーム予算も膨らんでしまい、結果的に空室リスクを高めてしまうからです。保守的な家賃設定から逆算することが、安全な投資の鉄則です。
予算オーバーを防ぐための「優先順位」の付け方
リフォームの打ち合わせをしていると、あれもこれも直したくなるものです。「せっかくだからキッチンも新品に」「お風呂もユニットバスに」といった要望をすべて叶えていては、予算はあっという間に尽きてしまいます。
そこで、全ての要望に優先順位をつけます。
安全に関わること(構造、雨漏り、電気等)
清潔感に関わること(壁紙、床、トイレ、洗面等)
利便性に関わること(エアコン、ネット環境等)
装飾に関わること(照明、外構等)
予算が厳しい場合は、3と4を削る、あるいは中古品や安価な代替品を検討します。この優先順位が明確であれば、リフォーム会社との交渉でも迷うことはありません。
3. 【コツ2】「直すべきところ」と「直さないところ」を明確に分ける
古家再生において、最も費用がかかるのは「解体」と「やり直し」です。リフォーム費用を抑える達人は、既存の状態をいかに活かすかを考えます。
構造(雨漏り・シロアリ・傾き)はプロの判断が必須
ここだけは、絶対に費用を惜しんではいけないポイントです。雨漏りの放置やシロアリ被害は、建物の寿命を縮めるだけでなく、入居者の生活を脅かします。また、大きな傾きがある物件も注意が必要です。
ただし、シロアリ被害があっても、構造に影響がない範囲であれば部分的な補強と防蟻処理で済むこともあります。これを見極めるには、古家再生に特化した「古家再生士」のようなプロの目が必要です。一般のリフォーム会社はリスクを避けるために「全交換」を提案しがちですが、私たちは「直して使えるものは使う」という姿勢でコストを抑えます。
設備(キッチン・風呂・トイレ)は清潔感重視でコストを抑える
「古いキッチンは新品に交換しなければならない」という固定観念を捨ててください。ステンレス部分を磨き、扉にダイノックシート(化粧フィルム)を貼るだけで、見違えるほど綺麗になります。水栓だけを新品に交換するのも効果的です。
お風呂も、在来工法のタイル張りの場合、タイルを塗装したり、パネルを貼ったりするだけで、ユニットバスに交換する費用の数分の一で再生可能です。トイレだけは、入居者が最も気にする場所なので、温水洗浄便座(ウォシュレット)付きの新品に交換することを推奨していますが、これも便器全体を替えるのではなく、便座だけの交換で済む場合もあります。
内装(壁紙・床)は「一点豪華主義」で差別化を図る
全ての部屋を高級な壁紙にする必要はありません。安価な量産型の白い壁紙をベースにしつつ、各部屋の一面だけを「アクセントクロス」としてオシャレな色や柄の壁紙にする。これだけで、物件の印象は劇的に変わります。
床も、高価なフローリングに張り替えるのではなく、クッションフロア(CF)を活用しましょう。最近のCFは木目や石目の再現度が高く、耐久性も十分です。何より、施工費が安く、将来のメンテナンスも容易というメリットがあります。
4. 【コツ3】「多能工」の活用と分離発注の考え方
リフォーム費用が高くなる大きな原因の一つが、中間マージンと職人の手間賃です。これを解消するキーワードが「多能工」です。
大手リフォーム会社の中間マージンをカットする仕組み
大手ハウスメーカーやリフォーム会社に依頼すると、実際に工事をする職人との間に、何層もの業者が介在します。それぞれの会社が利益を乗せるため、最終的な見積もりは驚くほど高くなります。
一方、私たちは直接職人や、職人を抱える小規模な再生士とやり取りをします。これにより、30%〜50%ものコストカットが可能になることも珍しくありません。投資家自身が現場監督のように振る舞う「分離発注」も一つの手法ですが、これには高度な知識と時間が必要です。
協議会が提携する「古家再生士」がなぜ安くて高品質なのか
私たち全古協には、全国に「古家再生士」という認定を受けたプロの職人・工務店ネットワークがあります。彼らは、単なる建築のプロではなく「古家を賃貸物件として再生する投資効率のプロ」です。
彼らの最大の特徴は、一人の職人が大工、電気、水道、塗装など複数の工程をこなす「多能工」であることです。通常の現場では、それぞれの工程ごとに別の職人が来るため、交通費や待機時間が無駄に発生しますが、多能工であれば一人で一気に進められます。この効率性が、圧倒的な低コストとスピード感を実現しているのです。
全国の職人ネットワークを活用したコストダウンの成功事例
例えば、ある地方の物件では、一般の見積もりで400万円と言われたリフォームが、私たちの提携する古家再生士の手によって180万円で完了しました。
これは、彼らが「古家再生専用の建材」を一括で仕入れたり、古家の特徴に合わせた効率的な施工手順をマニュアル化したりしているからです。職人と投資家が同じ目的(=高利回りでの再生)を共有しているからこそできる、究極のコストダウンです。
5. 【コツ4】DIYの「罠」にハマらない!プロに任せるべき領域
「リフォーム費用を抑えるためにDIYを頑張ります!」という初心者大家さんは非常に多いです。しかし、戦略なきDIYは、投資としては「失敗」に終わるリスクが高いことを知っておいてください。
初心者がDIYで失敗する「時間」と「仕上がり」のコスト
投資において最も貴重な資源は「時間」です。 例えば、あなたが週末を使って3ヶ月かけてDIYをしたとしましょう。その間の3ヶ月分の家賃収入(月5万円なら15万円)は、本来得られたはずの利益です。また、DIYに費やした膨大な時間を自分の本業や次の物件探しに充てていれば、もっと大きな利益を生んでいたかもしれません。
さらに、仕上がりの問題もあります。素人が塗ったペンキや、端が浮いた壁紙は、内見に来た人の印象を悪くします。「この大家さんはケチって自分で直したんだな」と思われてしまうと、家賃交渉の隙を与えたり、成約を逃したりする原因になります。
自分でやるべきは「清掃」と「庭木の手入れ」程度で十分
私が推奨するDIYは、専門スキルが不要で、かつ印象を大きく左右する部分に限定することです。具体的には、 ・残置物の撤去(リフォーム会社に頼むと高額です) ・庭の草むしりや枝の剪定 ・徹底的な清掃(ハウスクリーニング代を浮かせる) ・簡単な網戸の張り替え この程度で十分です。これだけでも数万円から十数万円のコストカットになります。
餅は餅屋。早期入居を実現するための「スピード感」の重要性
不動産投資の成功は、いかに早く入居者を付け、家賃回収を始めるかにかかっています。プロに任せれば1ヶ月で終わるリフォームが、DIYで3ヶ月かかるなら、その2ヶ月分の家賃ロスがリフォーム費用の節約分を上回ってしまうことが多々あります。
「自分の時給はいくらか?」を常に考え、プロに任せるべきところは潔く任せる。これが、真の投資家としての姿勢です。
6. 【コツ5】「賃貸需要」に直結するポイントだけに資金を集中させる
限られた予算をどこに投下するか。その答えは「入居者の内見時に目に留まる場所」です。これを私たちは「差別化リフォーム」と呼んでいます。
入居者が一目惚れする「アクセントクロス」の効果的活用
前述したアクセントクロスは、コストパフォーマンス最強のアイテムです。特に、リビングや寝室の壁一面を濃いネイビーやグレー、あるいは温かみのある木目調にするだけで、部屋全体がデザイナーズ物件のような雰囲気に変わります。
壁紙の価格自体は通常の白とほとんど変わりません。変わるのは「センス」だけです。この「ひと手間」を惜しまないことで、周辺の似たような古い戸建て物件との競合に勝つことができます。
古い物件の「趣(あじわい)」を活かしたビンテージ戦略
古さを隠すのではなく、あえて活かすという考え方もあります。例えば、古い建具(ドアや引き戸)をそのまま使い、枠だけを黒く塗装してアイアン風に見せる。あるいは、古い梁(はり)を露出させて塗装し、ビンテージ感を演出する。
こうした手法は、新しい建材を使うよりも安く済み、かつ「この家ならではの個性」として入居者にアピールできます。特に最近の若者や感度の高い入居者は、画一的なアパートよりも、こうした趣のある家を好む傾向があります。
清潔感を演出するライティングと小物のディスプレイ術
リフォームが完了した後の「仕上げ」も重要です。古いシーリングライトを、オシャレなペンダントライトやダウンライトに変更する。これだけで部屋の雰囲気は一変します。
また、内見時には100円ショップなどで揃えた小物を使って「ステージング」をしましょう。トイレに小さな観葉植物を置く、キッチンにオシャレな調味料入れを並べる。これらは数百円の投資ですが、内見者の「ここで暮らしたい」という感情を強力にプッシュします。
7. 実録!リフォーム費用を抑えて成功した全国の古家再生事例
ここで、実際にリフォーム費用を賢く抑えて成功した、私たちの仲間の事例をご紹介します。これらはすべて、私の著書『地方は宝の山!』などでも紹介している、再現性の高いモデルです。
【事例A】地方のボロボロ戸建てを300万円以下で再生したAさんの話
ある地方都市の築45年の戸建て。外壁は剥がれ、室内は雨漏りの跡がある悲惨な状態でした。多くの人が「解体するしかない」と見捨てた物件を、Aさんは50万円で購入しました。
通常なら500万円はかかるようなリフォームでしたが、Aさんは全古協の古家再生士と相談し、「180万円」という予算を死守しました。 ・雨漏りは屋根全体を葺き替えるのではなく、ピンポイントの補修と防水塗装で対応。 ・お風呂は塗装とパネル貼りで再生。 ・キッチンは既存のものを活用し、シート貼りと水栓交換。 結果、投資総額は諸経費込みで約280万円。家賃は相場より少し安い4.5万円で即成約。利回りは驚異の19.2%です。
【事例B】予算配分を変えるだけで入居が即決したBさんの話
Bさんは、150万円という限られた予算の使い道を工夫しました。当初、床の全面張り替えを検討していましたが、状態が悪くなかったため、クッションフロアの重ね貼りに変更。そこで浮いた50万円を「キッチンの入れ替え」と「エアコン全室設置」に充てました。
「古いけど設備が充実していて清潔感がある家」というコンセプトが当たり、内見開始からわずか3日で入居が決定。Bさんは「もし床の張り替えにこだわっていたら、一番喜ばれるエアコンやキッチンを妥協するところだった」と語っています。
著書でも紹介した「地方は宝の山」を体現する再生モデル
これらの事例に共通しているのは、物件のポテンシャルを信じ、優先順位を間違えずに投資したことです。地方の空き家は、都市部に比べて物件価格が圧倒的に安いため、リフォーム費用を適正にコントロールできれば、20%を超える利回りも決して夢ではありません。
私の著書でも詳しく書いていますが、地方の空き家を再生することは、単なる金儲けではありません。荒れ果てた家が綺麗になり、そこに新しい住人がやってくる。それによって街に灯りがともり、地域が活性化する。この喜びこそが、古家再生投資の真醍醐味なのです。
8. まとめ:賢いリフォームが日本の空き家問題を解決する
リフォーム費用を抑えるコツについて、これまで私の経験と実績に基づいたエッセンスをお伝えしてきました。
「家賃」から逆算して、上限予算を絶対に守る。
「構造」にはお金をかけ、「設備・内装」は知恵で抑える。
「多能工」の力を借りて、中間マージンを排除する。
DIYは時間対効果を考えて、最小限にする。
「アクセントクロス」などの差別化ポイントに資金を集中させる。
これらのステップを踏むことで、あなたはリスクを最小限に抑えながら、安定した家賃収入を得る「本物の大家さん」への道を歩み出すことができます。
リフォーム費用を抑えることは、安価な住まいを提供すること
私たちがリフォーム費用を抑える努力をするのは、単に利回りを上げるためだけではありません。コストを抑えて再生できれば、入居者様に「安くて、綺麗で、広い一戸建て」を提供できるからです。
これは、住居費に悩む子育て世代や、ペットと一緒に暮らしたい家族にとって、大きな救いになります。私たちの活動が「4方よし」と言われる理由はここにあります。
体系的に学びたい方のための「古家再生投資プランナー®️認定オンライン講座」
この記事で紹介したノウハウは、私たちが提供している膨大な知見のほんの一部です。「もっと具体的に見積もりの見方を知りたい」「信頼できる職人と出会いたい」「失敗しない物件の選び方を学びたい」という方は、ぜひ「古家再生投資プランナー®️認定オンライン講座」の受講を検討してみてください。
すでに1,429人(2025年10月20日時点)の認定プランナーが誕生し、全国で活躍しています。
1人で悩まず、20,280名の仲間の知恵を借りよう
不動産投資は、孤独な戦いではありません。全古協には、あなたと同じ志を持つ20,280名の会員がいます。私たちのコミュニティでは、日々成功事例や失敗事例が共有され、仲間同士で助け合う文化が根付いています。
空き家問題という大きな社会課題を、あなたの投資という行動で解決に変えていきましょう。現場でお会いできる日を楽しみにしています。
一緒に、日本の未来を明るくしていきましょう!
POST: 2026.01.21




