
(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
もしあなたが今、「不動産投資に興味はあるが、数千万円もの大金は用意できない…」「本業で忙しく、手間や時間はかけたくない」と考えているなら、不動産クラウドファンディング(以下、クラファン)は魅力的な選択肢に見えるでしょう。スマートフォン一つで少額から始められ、高い利回りを謳う案件が並んでいます。
しかし、私はあえて警鐘を鳴らします。
「手軽さ」という言葉の裏には、必ず「リスク」が隠れています。
私の協会が累計2,467棟もの古家再生を手がけ、20,280名の会員コミュニティを率いてきた実績から言えるのは、投資の世界で「簡単」なものほど、本質的なリスクヘッジが疎かになりがちだということです。特にクラファンは、物件の目利きや管理を運営会社に委ねる「依存型投資」です。知識や経験が不足していると、見抜けないリスクに晒されてしまいます。
この記事では、クラファンという投資手法を否定するのではなく、「失敗しない」ために、私の「リスクを極限まで抑える」哲学に基づいた4つの比較基準を伝授します。
この記事を最後まで読み込めば、あなたは高利回りの謳い文句に惑わされることなく、本当に安全で確実なサービスを見極めるプロの目線を手に入れられるでしょう。
目次
なぜ「手軽な投資」に潜むリスクを見抜くべきなのか?
クラウドファンディングが初心者を引き付ける理由(手軽さ)
クラファンが多くの不動産投資初心者、特にサラリーマンや会社員層 を惹きつけるのは、その「手軽さ」に尽きます。
資金のハードルが低い: 最低投資額が1万円からと、古家再生投資のような実物不動産投資(数百万円単位)に比べて圧倒的に少ない資金で始められます。
手間がかからない(知識不要論): 物件の調査、リフォーム、入居者募集、賃貸管理といった煩雑なプロセスをすべて運営会社が代行します。投資家は案件を選んで出資するだけです。
短期回収サイクル: 案件によっては運用期間が数ヶ月と短く、すぐに資金を回収して次の案件に再投資しやすいというメリットがあります。
しかし、私はいつも言います。「知識や経験がなければ、不動産業者や管理会社の言いなりになってしまう」と。手軽さの裏にあるのは、あなたの投資に対する能動性の放棄です。
「満期償還」と「高利回り」という二つの言葉の裏側
クラファン案件の多くは、運用期間が終了すると出資金が戻ってくる「満期償還」が前提です。また、中には利回り10%を超える高利回り案件も存在します。
しかし、これらの言葉を鵜呑みにしてはいけません。
・「満期償還」の裏側(元本割れリスク):
満期になっても、元本が全額戻る保証はありません。不動産の売却価格が下落したり、物件の賃貸収入が予想を下回ったりすれば、元本割れの可能性が生じます。特に「優先劣後出資方式」が導入されていない案件は危険です。
・「高利回り」の裏側(運営会社の体質):
利回りが異常に高い案件は、高いリスクを内包しているか、運営会社が無理なビジネスモデルで収益を上げようとしている可能性があります。私の哲学では、「高い利回りは、すなわち誰かが泣いている」ということです。売主が安く買い叩かれたり、入居者に不利益を強いている可能性があるため、WIN-WIN(4方よし)の関係を構築できません。
私が推奨する「借金のない空き家投資」との決定的な違い
私が提唱する古家再生投資は、クラファンとは真逆の「能動的な経営」です。
クラファンは「投資」ですが、古家投資は「経営」です。真の資産形成を目指すなら、金融機関に依存せず、自分でコントロールできる実物資産を持つべきだと断言します。
失敗しないための大熊流!不動産クラファン比較の「4つの基準」
クラファンで失敗を回避するために、私が実物不動産で培った「リスク回避の哲学」に基づき、サービスの裏側を見抜く4つの比較基準を提示します。
基準1:リスクヘッジの「仕組み」を見抜け(優先劣後方式の深掘り)
クラファン案件で最も重要なリスクヘッジの仕組みが、優先劣後出資方式です。この方式がなければ、私はその案件への投資を見送ります。
優先劣後方式とは: 投資家を「優先出資者」、運営会社を「劣後出資者」とし、万が一、不動産価値が下落し損失が出た場合、まず運営会社(劣後出資者)の出資分から損失を負担する仕組みです。
劣後出資割合の確認: 重要なのはその割合です。例えば、劣後出資割合が20%であれば、不動産価値が20%まで下落しても、投資家の元本は守られる計算になります。この割合が高いほど、投資家の安全性は増します。
マスターリース契約(賃料保証): 賃貸物件が対象の場合、運営会社が一括で物件を借り上げ、空室の有無にかかわらず賃料を保証する契約です。これにより、空室リスクが大幅に軽減されます。CREALなどが採用している仕組みです。
基準2:リターンの「確実性」を問い直せ(運営会社の保証有無)
高すぎる想定利回りに飛びつく前に、そのリターンが**「賃料保証」によるものか、「売却益の上振れ期待」**によるものかを確認すべきです。
インカムゲイン vs. キャピタルゲイン: 確実性を求めるなら、賃料収入(インカムゲイン)による安定配当を重視すべきです。売却益(キャピタルゲイン)は、市況や景気動向に左右されるため、確実性に欠けます。
利回りが15%を超える案件への警戒: 私たちの古家投資の適正利回りは、**12%〜15%**です。これを超える高利回りは、何らかの無理な要素(高い売却益の予測、運営会社の利益圧縮など)を含んでいる可能性を疑いましょう。
ファンド設計の複雑さ: 複雑な仕組みや分かりにくいスキームを採用している案件は、投資家に不利な条件が隠されている可能性があるため、避けるのが賢明です。シンプルな案件ほど、リスクとリターンが明確です。
基準3:運営会社の「実績と透明性」を評価せよ(上場・倒産履歴)
クラファンでは運営会社にすべてを委ねるため、運営会社が倒産すれば、最悪の場合、元本割れや資金凍結につながります。
上場企業運営の優位性: 上場企業(例:CREAL)は、金融庁や証券取引所による厳しい監視と情報開示義務があります。これにより、経営状況の透明性が担保され、投資家保護の意識が高い傾向にあります。
累計調達額と運営実績: 累計調達額(例:COZUCHIやCREALは大手)や、運営会社の設立からの年数も重要です。実績が多いほど、不動産市況の変化に対応できるノウハウがあると言えます。
過去の元本割れ・遅延の有無: 過去のファンドで元本割れや配当遅延がないかを徹底的に調査すべきです。私の推奨する古家投資では、賃料保証会社を利用することで家賃滞納リスクを回避できますが、クラファンでは運営会社の実績が頼りです。
基準4:資金の「流動性」を理解せよ(途中解約と換金性)
クラファンは、原則として運用期間中の途中解約はできません。これは、実物不動産投資との大きな違いであり、最大のデメリットの一つです。
途中解約の原則: 案件募集時に「途中解約不可」と明記されていることがほとんどです。急な資金が必要になった場合でも、資金が拘束されてしまいます。
COZUCHIの特異性: 大手COZUCHIは、運営会社や第三者が買い取る方式で「途中解約対応可」としている案件があります。これは非常に特異であり、流動性を重視するならこの仕組みを持つ案件を選ぶべきでしょう。
換金性の低さへの備え: 期間が終了するまで資金が戻らないことを前提に、投資額を生活防衛資金とは完全に切り離す必要があります。この点は、株式投資の「換金性の高さ」とは真逆であることを理解してください。
【実践比較】大手3社の「安全性」と「投資案件」を徹底比較
前述の4つの基準に基づき、特に認知度が高く、個性的な案件を扱う主要サービスを具体的に比較します。
COZUCHI:ハイリスク・ハイリターンの構造と実績
COZUCHIは、都心一等地を中心とした高額案件を扱い、累計調達額が大きい大手の一つです。
リスクヘッジ: 優先劣後出資方式を採用しており、元本割れリスクを軽減しています。
リターンの特徴: 想定利回りは4〜10%と幅広いですが、キャピタルゲイン(売却益)の上振れを投資家に分配する設計が最大の特徴です。つまり、大きなリターンを目指せる反面、売却が失敗すればリターンが伸びない可能性もあります。
流動性: 一部のファンドで途中解約に対応している点は、他のクラファンサービスには見られない大きな利点です。
大熊の視点: 「上振れ期待」は魅力的ですが、それは運の要素も絡みます。確実にリターンを得たいのであれば、想定利回り内で満足すべきです。
CREAL:上場企業運営の「安全性重視」モデル
CREALは、不動産クラファン専業で初めて上場した企業が運営しているため、信頼性と透明性が極めて高いサービスです。
リスクヘッジ: 優先劣後出資方式を採用し、さらに案件によってはマスターリース契約(賃料保証)を導入しています。これにより、空室リスクと賃料収入の不安定さを回避できます。
リターンの特徴: 想定利回りは3%程度と、他のサービスに比べて控えめですが、その分安全性を重視した設計と言えます。
案件の特徴: 物件用途が「データセンター」「介護施設」など多岐にわたり、社会のトレンドに合わせた案件が多いのが特徴です。
大熊の視点:「安心感」を重視するなら、CREALは有力候補です。上場企業としての情報開示の厳しさや、堅実な賃料保証は、リスク回避を優先する投資哲学に合致します。
FANTAS funding:空き家・古家再生に特化した特異な案件
FANTAS fundingは、他のサービスとは異なり、空き家・古家再生を対象とした案件を積極的に扱っています。
リスクヘッジ: 優先劣後出資方式を採用しており、一般的な安全性は確保しています。
案件の特徴: 東京23区内の空き家物件を再生し、賃貸に出すプロジェクトを扱っており、私たちが取り組む社会貢献型投資に極めて近いビジネスモデルです。
大熊の視点: クラファンを通じて空き家問題解決という社会貢献に間接的に関われる点は評価できます。しかし、クラファンとして投資するのではなく、自分で古家再生投資を始めたほうが、リターンも経験値も圧倒的に大きいことは忘れないでください。
クラウドファンディングで満足できない人が最後にたどり着く場所
クラファンは手軽な投資として優秀ですが、いつかあなたはこう思うでしょう。
「私はただの資金提供者で、事業をコントロールできていない」と。
クラファンで満足できない人が最後にたどり着く場所、それが「能動的な大家業」、すなわち私たちが推進する空き家・古家再生投資です。
なぜ「能動的な大家業」だけが安定した未来を創るのか
クラファンは、運用期間が終了すれば投資は終わります。しかし、大家業は違います。
知識と経験が資産になる: 物件の目利き、リフォームのコスト削減、入居者のニーズ把握(客付け)といった一つ一つのステップが、すべてあなたの「経営ノウハウ」として蓄積されます。
自分でリスクをコントロール: 融資に頼らず、手持ちの資金内で物件を取得・再生すれば、景気変動や金利上昇といった外的要因による破綻リスクを極限まで抑えられます。
実物資産の力: どんな金融危機が来ても、土地と建物という実物資産は残ります。これがあなたの「心の安定」、そして「企業からの自立」の強力なエネルギーとなるのです。
私が実践する「リスクを極限まで抑えた」古家投資の構造
私たちの古家再生投資は、単にボロ家を安く買うことではありません。
家賃からの逆算: 販売価格ではなく、「想定される家賃」から逆算して、許容できる「物件購入価格」と「リフォーム費用」を導き出します。これにより、高値掴みを完全に回避します。
リフォームの適正化: 豪華なリフォームはせず、入居者が「この家賃なら住みたい」と思える最低限かつ差別化されたリフォームに絞り込み、コストを削減します。
利回り12%〜15%の確保: この適正利回りを確保することで、無理なく投資を回収し、次の物件に再投資できる高い再現性を実現しています。
社会貢献と収益を両立する「4方よしモデル」の真価
クラファン投資では得られない、最も価値あるリターンが、地域からの感謝です。
私たちが推進する「4方よしモデル」は、空き家投資を単なる金儲けの手段にしないための哲学です。
投資家(大家)よし: 低予算で高利回り、安定した資産形成。
入居者よし: 狭いアパートと同程度の家賃で、広くて住みやすい戸建てに住める。
地域よし: 放置された空き家が減り、街の景観・治安が改善する。
売主よし: 相続などで処分に困っていた物件が生まれ変わり、地域に貢献できる。
社会の課題を解決しながら収益を生む。これこそが、これからの時代、誰もが目指すべき持続可能な投資ではないでしょうか。
まとめ
本日は「手軽な投資」である不動産クラウドファンディングについて、私、大熊重之がプロの目線から失敗しないための比較基準をお伝えしました。
リスクヘッジの仕組み(安全性): 優先劣後出資方式の割合とマスターリース契約(賃料保証)の有無で比較せよ。
リターンの「確実性」: 15%を超える高利回りはリスクが高いと警戒せよ。インカムゲインを重視すべきです。
運営会社の信頼性: 上場企業運営や過去の元本割れ・遅延履歴を必ずチェックせよ。
資金の流動性: 途中解約は原則不可。投資した資金が長期間拘束されることを覚悟せよ。
クラファンは、投資の「入口」としては優秀です。しかし、もしあなたが「手軽な投資」の先に、「経済的自立」という真のゴールを見据えているなら、立ち止まって考えるべきです。
知識と経験こそが最大のリスクヘッジです。
その知識と経験を、累計2,467棟の再生実績を持つコミュニティで、私たちと一緒にゼロから学びませんか?
私たちが提供する古家再生投資プランナー®️認定オンライン講座では、机上の空論ではなく、現場で使える実践的なノウハウを体系的に学ぶことができます。
あなたの人生を変える一歩を、今すぐ踏み出してください。
あなたの能動的な参加を、心よりお待ちしております。
POST: 2025.11.19




