空き家投資と法人設立|お得なのはどっち?〜法人の種類や運用法についても解説〜

こんにちは。一般社団法人 全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重行(おおくま
しげゆき)です。本日のテーマは「空き家投資をするうえで法人化はお得なのか?」についてです。それでは参りましょう。

法人はなんのために設立するのか?

ではまず、そもそも法人とは何なのでしょうか。

なんとなくは分かっていても、実際考えたことのある方はそれほどいないのではないでしょうか。
法人というのは、「人格」なのです。

普通は会社などの団体には、もともと人格はありません。でもそれだと会社としてモノを買えないし、売り上げも立てられません。事業を行う上で問題が生じます。

だから、法人格という形で便宜上人格を持たせているのです。よく、節税のために法人を設立するという話は聞きますよね。それは、法人は個人とは別の人格なので、かかる税金の種類が違ってくるからです。

詳しくは後ほど説明しますが、儲けが増えれば増えるほど法人の方が税金的にはお得になります。また、経費として認められる範囲も法人の方が増えます。けれども、根本的には、法人は「自分の事業を大きくしたい!」と思った時に作るものという認識が良いかと思います。

法人税と所得税の負担の違い

そもそも、空き家再生投資を含め、個人で物件を所有して賃貸するなど、事業をする場合は、個人事業主となります。個人事業主として稼いだお金は、個人の収入として扱われます。個人の収入は所得税と住民税がかかります。また、社会保険は、国民年金と国民健康保険に加入します。所得税は累進課税で、住民税一律10%と合わせると、15%~55%の税率になります。また、事業税一律5%も加算されます。

一方法人は、法人税や地方税、事業税などを合わせると、25%~35%の税率になります。

他にも、法人だけは最低毎年7万円の法人住民税均等割というものを払わないといけません。赤字でもです。儲けが数百万円を超えると、法人の方が税率が低くなる分お得になります。また、欠損金の繰越控除という、損を何年かにわたって経費として繰り越す制度も、法人の方が期間が長く、交際費なども認められやすくなります。

所有規模によって法人化すべきかどうかの境がある

さて、一定の金額を超えると法人の方がお得になると言いましたが、同じことを空き家再生投資にも当てはめてみましょう。基本的に、古家再生をして1件あたりに得られる賃料収入はそれほど多くありません。月数万円~が多いでしょう。そのため、将来的にどんどん物件規模を拡大していきたい人は法人を設立するのがお勧めです。

先ほども言いましたが、「将来的に事業を大きくしたい」人は会社を作りましょう。

個人と法人の信用度の違い

また、個人と法人で大きく異なるのが、信用度の違いです。一般的には、個人よりも法人の方が、さまざまな義務を背負っている分、運営のハードルが高いとみなされて信用度は高いとされます。信用度が高いと取引の際に比較的優位に進めることができますが、やはり最終的には経営者や事業の能力を見られますので、その点は注意しておきましょう。

合同会社か株式会社か?

また、会社の形態として、現在は大きく分けて株式会社と合同会社があります。基本的に仕組みは同じですが、合同会社は経営者と所有者が一致しているという特徴があります。

また、設立の際にかかる登録免許税は株式会社が25万円、合同会社が10万円となっており、役員の任期も株式会社はありますが、合同会社はありません。かかるコストの低さや運営の簡単さは合同会社の方が勝ります。

空き家再生投資は、基本的に合同会社が向いていると考えます。ただし、株式会社と合同会社では、信用度に差があると言われています。しかし基本的には、会社運営に影響がでるほどの差はなく、経営者や事業次第です。

融資や利用できる制度は法人のほうが有利?

不動産投資をする場合、融資を受けて物件を取得したり、国の助成制度などを利用することがあると思います。基本的に、助成制度や補助金は法人の方が有利になっていますし、融資も法人の方が、金額が大きくなればなるほど受けやすくなります。

最後に

空き家再生投資をする人であっても、場合によっては法人を設立することで様々なメリットを享受できることがお分かりいただけたかと思います。もちろんケースにもよりますが、節税以外にも信用度の向上や融資が受けやすくなるなどです。ただし法人を設立したら、個人事業主以上にさまざまな義務が課されます。法人を設立したらしっかりと運営し、メリットを得ましょう。

動画でも解説

以上説明した内容については以下動画でも解説しています。
良かったら以下よりご覧ください。

【疑問解決】空き家・古家を何軒所有したら法人化するべき?


POST: 2021.08.5