税優遇の取り消しが引き起こす新たな空き家投資のチャンスとは?

こんにちは。一般社団法人 全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重行(おおくま
しげゆき)です。本日のテーマは「税優遇の取り消しが引き起こす新たな空き家投資のチャンス」についてです。それでは参りましょう。

世の中には様々な税優遇がある

今、世の中には様々な税優遇があります。税優遇とは、国や地方自治体などが、公のためにもなる経済活動について、積極的にやってもらうために存在する制度全般のことを指します。

例えば企業が賃金を上げれば税金が優遇される賃上げ税制や、研究開発にお金を使えば税金が優遇されるものもあります。また、中小企業は年間800万円まで交際費を損金に出来ますが、これも地域の飲食店などにとっては非常に重要です。細かいものを挙げていけばキリがありませんね。

また、あえて税優遇を取り消すパターンもありますね。それは、主にその活動を促すことで、社会的にプラスよりもマイナスが増えてきたケースが出てくるからです。もちろん住宅や土地にもこの概念はあって、地方税法だと、土地をそのままで持つより家が建っていた方が、固定資産税が軽くなる仕様になっているわけです。ただし、空き家という観点から言うと、これは逆効果になるわけです。

神戸から始まった空き家の税優遇の積極的な取り消し

例えば、これを空き家にも同じように適用すると、空き家をそのままに放置していた方が、取り壊して更地にするよりも税金が安くなってしまうわけです。これでは本末転倒ですよね。そこで、自治体も対策に乗り出したわけです。

平成27年、「空き家等対策推進に関する特別措置法」が成立しました。これは、特定空き家、つまり明らかに人が住む住宅として体をなしてないだろうというものを指定して、固定資産税に関する特例から除外するものであるわけです。これを厳格に適用することで空き家問題を解決しようとしているのが、神戸市です。神戸市では、2021年度に、税優遇の取り消しを決めた空き家が60軒にも及びました。この選定基準を市独自に厳しく適用することで、空き家を適切に管理したり、解体を促したりと、しっかりと利用させようと言うのです。2020年度は20軒でしたので、1年で約3倍に増えたことが分かります。こうした自治体ベースでのルール改定が起こっているのです。

京都では空き家税を導入へ

固定資産税の優遇措置の取り消しを積極的にやるだけではなく、空き家そのものに独自に課税しようという自治体も出てきています。その一つが京都市です。新型コロナで経済が悪化して財政が厳しくなる中で、税収を増やす効果と空き家問題の解決を同時にやることを狙って、「京都市の新たな財源を検討する有識者委員会」が、日常的に使われていない住宅に対して、「空き家・別荘税」を課税することを検討しており、京都市長にも答申したのです。想定される税収増は最大20億円ですから、そのインパクトがお分かりいただけるかと思います。

こうした、空き家に対しても独自で課税する仕組みについては日本で初めてのことです。京都市内では子育て世代が住宅を買えないといったことが起きていて、それを防ぐために空き家を活用したい思惑もありました。こうした問題は全国各地で起こっていますから、同じような課税は全国の自治体に広まるかもしれません。別荘税というものは、もともと熱海市で導入されていたものでした。なので空き家課税が全国で一般化してもおかしくありません。

健全な空き家の流通のためには必要

こうした空き家課税・税優遇取り消し問題は、今後さらに進展していくと考えられます。そうなると、空き家保有者は何か手を打つとなれば、取り壊すか、空き家を活用したり売りに出したりすることになります。一見すると弊害もありそうなこの制度ですが、実は構造的に空き家が出回りづらいこと、取引されないことが空き家解決にとっても市場にとっても問題があり、それを根本的に解決できるとすればこうした取り組みなのも間違いありません。

そして、こうした動きは投資家の皆さんにとっても良いものになります。これまで買うことが出来なかった物件が手に入ること、市場の流動性が高まることで、チャンスはこれまで以上に増えるのです。

しかし一方で、出回る空き家物件が増えたからといって、空き家自体が玉石混交であることに変わりはありませんし、リフォームから賃貸経営までしっかりやらなければ利益が出ないことに変わりはありません。そして、そのノウハウを持つのが我々全古協です。

まとめ

さて、ここまで空き家に対して税優遇の取り消しや新規課税の動きがあること、それによって空き家市場が活性化する可能性について触れてきました。空き家再生投資というのは、もちろん大きな市場の流れにも左右されますので、これは追い風となります。しかし、同時に空き家再生投資は買い付け・リフォームから貸し出しまで緻密な計画と実務能力が欠かせません。全古協ではこれからの波に上手く乗れるようサポートしていきます。

以上説明した内容については以下動画でも解説しています。

良かったら以下よりご覧ください。
https://zenko-kyo.or.jp/youtube/3-10/


POST: 2021.11.25

関連情報