こんにちは。(一社)全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重之です。
「空き家再生って本当に儲かるの?」と疑問を持つ方は少なくありません。実際のところ、正しい手順と的確なリフォーム計画、そして需要のあるエリアを押さえて取り組めば、初心者であっても比較的リスクを抑えながら安定した収益を得られる可能性があります。
本記事では、実際に成功を収めた空き家再生の事例と、これから空き家再生投資を始めたい初心者の方が押さえておくべきポイントを詳しく解説します。特に、地方の物件活用や低予算での利回り確保といった実践的な情報を盛り込んでいますので、最後まで読んでいただくことで空き家再生投資の魅力と可能性が理解できるでしょう。空き家問題の社会貢献にもつながるこの投資戦略を、一緒に学んでいきましょう!
目次
空き家再生投資とは?基本の仕組み
空き家再生投資の概要
空き家再生投資とは、老朽化した戸建て空き家や使用されなくなった住宅を安価で購入し、必要な部分をリフォーム・リノベーションしてから賃貸や売却を行う投資手法です。放置された空き家は年々増加傾向にあり、社会問題としても大きく取り上げられていますが、その分だけ投資のチャンスが潜んでいると言えるでしょう。
一般的な不動産投資では、アパートやマンションを購入して家賃収入を得る方法が主流です。しかし、空き家再生投資には以下のような特徴があります。
初期費用を低く抑えられる
老朽化し、長期間放置された建物は市場価格よりも安く流通しているケースが多く、数百万円以下で購入できることもしばしばあります。リフォーム後の付加価値を高めやすい
古い物件でも、リフォームやリノベーションによって新たな需要を喚起しやすく、結果的に高い利回りを狙える可能性があります。需要のあるエリアを選ぶことで安定収益が期待できる
地方の空き家といっても、人口が集中する地域や交通の便が良い地域、観光地などに近い場合は、実は一定の賃貸ニーズがあるため安定した収益源になりやすいのです。
社会貢献と投資効果の両立
さらに空き家再生は、社会課題の解決と投資収益の獲得を同時に目指せる点でも注目を集めています。
- 景観改善:老朽化した家屋が放置されると地域の景観や安全性に問題を引き起こす場合がありますが、それを再生させることで街並みの美観と防犯性を向上させることができます。
- 地域活性化:空き家を住宅や店舗、民泊施設などに転用すれば、人口流出が進む地方エリアでも地域経済の活性化につながる可能性があります。
- 住宅供給の有効活用:住まいが必要な人に対して低価格の賃貸住宅として提供できるため、住宅不足への対策にもなります。
これらのメリットを活かしつつ投資としてもリターンを狙うことができるため、初心者にとっても学ぶ価値のある不動産投資といえるでしょう。
空き家再生で儲かる理由
空き家再生が「儲かる」と言われる背景には、物件価格の安さやリフォーム後の高い付加価値が大きく影響しています。ここでは、特に注目すべき3つの理由を解説します。
物件価格が安い
空き家は所有者が相続や転勤などで長らく放置しているケースが多く、固定資産税など維持費の負担を避けるために相場よりも安く売りに出されることがあります。実際に、100万円台で取得できる空き家も珍しくありません。とりわけ地方都市では、住宅地でも相場自体が都市部に比べて低いため、“超低額”で空き家を取得するチャンスが転がっているのです。
リフォームコストを抑えられる
建物の構造自体がまだしっかりしている場合や、DIYで一部の改修を行う場合は、想定より低コストでリフォーム可能な場合もあります。もちろん、建物の状態が悪ければ大規模リノベーションが必要になるかもしれませんが、あらかじめ物件の状態をしっかり調査し、必要最低限の修繕にとどめることで、投資回収期間を短縮できる可能性があります。
また、地方であれば大都市圏よりも人件費や材料費が比較的安価であることが多く、リフォーム費用を大幅に下げられる可能性があります。適切な業者選びとリフォームプランの最適化によって、費用対効果の高い改修を実現しやすいのも魅力の一つです。
高い利回りが見込める
一般的なアパート経営で期待できる表面利回りは約5〜8%程度とされています。一方、空き家再生投資では、物件取得費用の安さとリフォーム後の家賃設定によって、利回りが15%を超える事例も珍しくありません。うまくいけば表面利回り20%超えを実現するケースもあるほどです。
たとえば、地方の築古戸建てを150万円前後で購入し、100万円ほどで最低限のリフォームを行った結果、月々5万円〜7万円程度の家賃で貸し出せれば、表面利回りは20%前後になることがあります。もちろん、固定資産税や火災保険、修繕費などの実質的な経費も考慮しなければいけませんが、それでも都市部のマンション投資よりも高い利回りを狙える魅力は非常に大きいでしょう。
成功事例:地方の空き家を活用し、高利回りを実現
実際に地方の空き家を活用して高利回りを達成した事例を見てみましょう。ここでは、富山県高岡市での成功例を取り上げます。
事例:富山県の空き家を再生し、利回り20%超えを達成
- エリア:富山県高岡市
- 購入価格:150万円
- リフォーム費用:120万円
- 合計投資額:270万円
- 賃貸収入:月7万円
この物件の年間家賃収入は7万円×12ヶ月で84万円となり、総投資額270万円に対する表面利回りは約31%という驚異的な数字です。もちろん、実際には固定資産税や管理費などのコストがかかりますが、それらを差し引いても20%前後の実質利回りを確保できる可能性があります。
富山県高岡市は新幹線の駅がある富山市にもアクセスしやすく、また、賃貸需要が一定数存在するエリアです。大都市圏ほどの人口密度はないものの、通勤・通学圏や買い物環境が整っているエリアであれば、入居者を集めるのは決して難しいことではありません。
地方での成功ポイント
- 地元の不動産会社との連携
地域の賃貸需要や家賃相場を正しく把握するために、地元の不動産会社と密にコミュニケーションを図り、適切な家賃設定やリフォームの方向性を相談することが大切です。 - 最低限のリフォームで差別化
全面改装ではなく、キッチンや水回りなどの生活インフラ部分を中心にリフォームを行うだけでも、入居者にとって十分な魅力的物件になります。DIY好きな入居者向けに「一部内装を好みに合わせてカスタマイズ可能」という戦略も考えられます。 - 地域の特性を活かす
富山県のように、雪国ならではの断熱性や暖房設備を強化するといった、その地域に求められる機能を意識してリフォームすると、競合物件との差別化がしやすくなります。
初心者が失敗しないためのポイント
空き家再生投資は少額投資や高利回りが期待できる一方で、いくつかのリスクや注意点も存在します。ここでは、特に初心者が押さえておきたい3つのポイントを解説します。
物件選びを慎重に!
「安いから」という理由だけで物件を購入すると、賃貸需要がなかったり、修繕が想定以上に必要だったりと、思わぬ失敗につながる可能性があります。具体的には以下の点をチェックしましょう。
- 周辺環境:近隣にスーパーやコンビニ、病院、学校があるか。また、最寄り駅やバス停までの距離は適切か。
- 人口動向:人口が極端に減少しているエリアでは、空室リスクが高まります。市町村の人口推移データなどを調べておきましょう。
- インフラ整備:上下水道、ガス、電気などが整っているか、敷地までの引き込み状況はどうか。
過剰なリフォームは避ける
リフォームに力を入れすぎてコストが膨らみ、結果として利回りが低下する事例は意外と多いです。ピカピカに仕上げれば見た目は良くなりますが、投資効率を優先するのであれば必要最低限の修繕にとどめる選択肢も検討しましょう。入居者が求めるポイント(浴室やトイレの清潔感、キッチン設備など)を押さえつつ、費用対効果の高いリフォームを心がけるのが鉄則です。
賃貸ニーズを理解する
物件ごとに狙う入居者層が異なります。ファミリー向け物件なら駐車場の有無や部屋数が重要ですし、単身者や学生向けなら駅近・コンパクトさが重視されます。リフォームや設備導入の際にも、ターゲット層のニーズを的確に反映させることで、高い稼働率を狙いやすくなります。
空き家再生投資を始めるステップ
ここからは、実際に空き家再生投資をスタートするための具体的なステップを紹介します。初心者の方は、以下の手順を踏むことで大きな失敗を回避しやすくなるでしょう。
STEP1:エリア選定
まずは、「地方だからどこでも良い」というわけではないという点を理解しましょう。人口が極端に減り続けている地域では、入居者確保が困難になる可能性があります。一方で、地方都市の中心部やベッドタウンなど、ある程度の人口維持が期待できる地域を選ぶのがベターです。
- 富山県高岡市:成功事例でも触れたように、北陸新幹線の恩恵や商業施設の充実度から一定の賃貸需要があります。
- 石川県金沢市:観光地として知名度が高く、転勤族や学生などの需要が存在。利回りの高い物件を見つけるチャンスも。
- 岐阜県岐阜市:名古屋へのアクセスも良好で、比較的家賃相場が安定しているので、空き家を安く購入して貸し出す戦略が取りやすい。
STEP2:物件リサーチと購入
エリアが絞れたら、実際に物件を探します。
- 不動産ポータルサイトや空き家バンクを活用:地方自治体が運営する空き家バンクには、掘り出し物の情報が見つかることがあります。
- 現地見学ツアーや内覧会へ参加:写真だけではわからない建物の老朽化具合や周辺環境をチェックできるため、購入前には必ず現地を訪れましょう。
- リフォーム費用の試算:購入価格だけでなく、リフォーム費用を含めた総投資額と想定家賃収入を比較検討し、利回りや回収期間をシミュレートすることが重要です。
STEP3:リフォームと賃貸募集
購入後は、必要な範囲のリフォームを実施し、完成後に入居者募集を始めます。
- 地元の工務店やリフォーム会社の見積もり比較:複数社から見積もりを取り、同じ工事内容でも大きく差が出ないか確認しましょう。
- 差別化ポイントの導入:ペット可物件や、インターネット無料物件など、少しの工夫で入居率を高める手段があります。
- 不動産会社との協力:客付け力の強い地元の不動産会社と連携することで、空室期間を最小限に抑えられるでしょう。
空き家再生投資を成功させるための追加アドバイス
空き家再生投資をさらに安定的・効率的に行うためには、以下のようなポイントにも目を向ける必要があります。
実質利回りを意識する
投資を考えるうえで、表面利回り(家賃収入÷物件取得価格)だけに注目してしまうと、固定資産税や保険料、管理費、修繕費などの経費を見落としてしまいがちです。実際には、**家賃収入からこれらの費用を差し引いた金額をもとに算出する「実質利回り」**が投資判断で重要となります。
空き家の場合、築年数が古い物件が多いため、突発的な修繕が必要になるリスクも高いです。特に給排水管や屋根・外壁などは大きなリフォーム費用がかかりやすいため、これらを踏まえたうえで「本当に自分が目指す利回りが得られるか」を検討してください。
複数物件を並行して検討する
1つの物件だけにこだわりすぎると、買い逃しや高値掴みにつながる可能性があります。地方の空き家は数多く存在するため、複数物件を比較検討しながら、条件に合う最適なものを選ぶのが望ましいでしょう。エリアの相場観を養うためにも、多くの物件情報に触れることが大切です。
融資を活用する場合は慎重に計画を立てる
空き家再生投資は少額で始められるのがメリットですが、中には複数物件を同時取得するために融資を活用する投資家もいます。融資を受ける場合は、返済計画が成り立つかどうかを慎重にシミュレーションしましょう。特に築古物件は担保価値が低いため、金融機関から借り入れが難しい場合もあります。地方銀行や信用金庫、政策金融機関なども含めて幅広く相談してみると良いでしょう。
DIYを活用する場合の注意点
自分でリフォームを行う「DIY」もコスト削減策としては有効ですが、電気や水道などのインフラ系工事は資格が必要な場合もあります。素人施工によるトラブルが起きると、後々の修繕費がかえって高くなる可能性がありますので、DIYと業者施工のバランスをうまく取りながら進めることが重要です。
地域コミュニティとの連携
地方の物件を購入する際は、地域コミュニティとの関係性も大切です。空き家再生を通じて地域活性化に貢献できれば、自治体や近隣住民からの協力を得られることも多いです。自治体の「空き家バンク」に登録されている物件の場合は、補助金制度や税制優遇などのサポートが受けられるケースもあるため、地元の行政機関に問い合わせてみると良いでしょう。
まとめ:空き家再生で資産を築くために
本記事では、空き家再生投資の基本的な仕組みや、実際に高利回りを実現した成功事例、そして初心者が失敗を避けるためのポイントや具体的なステップを詳しく解説しました。改めて、空き家再生投資には以下のような魅力があります。
少額で始められる
空き家は物件価格が安く、比較的低資金で投資をスタートできる。リスクを抑えながら高利回りが狙える
リフォーム費用をコントロールしながら賃貸収入を得ることで、表面利回り20%超えの可能性も。社会貢献につながる
放置された空き家を再生することで、地域の景観や安全性の向上、地域経済の活性化に寄与。
とはいえ、物件選びやリフォームの範囲を誤ると、コスト超過や空室リスクなどで思うように収益が上がらない場合もあります。成功の鍵は、**「エリアの賃貸需要を見極める力」と「リフォームコストを最適化する力」**です。
初心者の方は、不動産会社やリフォーム会社との連携を重視しながら、まずは1棟から始めて経験値を積むと良いでしょう。軌道に乗れば、複数の空き家を同時に運用することも可能です。「安い物件を買って高く貸す」空き家再生投資は、うまく活用できれば確実に安定した資産形成につながります。
あなたも、空き家再生で地域に貢献しながら、しっかりとした資産づくりにチャレンジしてみませんか?
参考文献
- 【8】『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』
- 【9】『地方は宝の山!リスクを極限まで抑えて儲ける「空き家・古家」不動産投資』
POST: 2025.02.21