【座談会レポート】古家再生投資プランナー、先輩たちが語るリアルな現場!~物件購入、融資、再建築不可、そして心の支え~

(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。

早速ですが、最近、古家再生投資プランナーを志す方々を対象にオンライン座談会を開催しました。古家再生投資プランナー(以降、プランナー)としての第一歩を踏み出したばかりの方や、これから物件購入を検討されている方の疑問に答える場として企画。

今回は、その座談会で飛び交った生の経験談や具体的なアドバイスをご紹介します。

物件購入への第一歩:空き家・古家物件見学ツアー参加と買い付けの壁

最適なタイミングをつかむまでの道のり

Kさん(プランナー歴4年、保有物件10棟)は、「初めての空き家・古家物件見学ツアー参加から購入まで、実に5~6ヶ月かかった」と振り返ります。

最初の買い付けは「覚悟を決めて飛び込む気持ち」で臨んだものの、成約に至るのは3〜4回に1度という厳しさ。買い付け→結果待ち→再挑戦を繰り返し、約4回目で初めて契約書にサインしたそうです。

一方、プランナー歴1年未満の方は、3回目のツアー参加で即決購入。物件を見極めるコツが早めにつかめたとのこと。Sさん(同1年、保有2棟)は「3回目でようやく目利きの視点が分かり、『これはいける』と確信できた」といいます。

Tさんは、プランナー資格取得前に金沢ツアーに参加した経験を生かし、12月のツアーで1件目を購入。重要事項説明書を隅々まで読み込んだ上で、「一周してみないと分からないことがある」と覚悟を固め、「清水の舞台から飛び降りる」気持ちで買い付けを入れたそうです。

古家再生士フィルターの安心感

座談会では「買い付けは運次第」という意見が大勢を占める一方で、「全国古家再生推進協議会によるフィルターを通した物件」であることへの安心感も多く挙がりました。

Sさんは「重要事項説明書を見て不安になることもあったが、金沢の再生士から『大きなリスクがあるものは除外しています』と聞き、信頼度がグンと上がった」と語ります。

物件選定段階で再生士の丁寧な事前調査が行われているからこそ、「100%安全ではないが、ハズレ物件の確率は低い」との声が多数。初めての投資でも、一歩踏み出しやすい環境が整っていることが、プランナーたちが口を揃える魅力です。

不安を乗り越える:融資と再建築不可物件への向き合い方

融資取得の実際と銀行選びのポイント

「古い家は融資が難しい」と聞く中で、WさんはK銀行からリフォーム代の融資を数棟目で獲得。「K銀行は当協議会の活動に共感しており、法人3棟目でも快く応じてくれた」とのこと。H信用金庫やS銀行も、全国対応や地域支店で積極的に取り組む担当者がいるため、複数行に当たるのが成功のコツだそうです。

Kさんは「現金購入を前提にしつつ、後から融資を申請する」のが基本戦略と説明。買い付け時に『自己資金で買える』ことを示す資料を銀行に提出し、物件購入費は現金、リフォーム代は融資という組み合わせで進めるケースが増えています。

再建築不可物件の収支シミュレーション

築40〜50年の再建築不可物件について、Aさんからは「出口戦略が描きにくい」との悩みが。その意見に対し、Kさんは「再建築可物件だけで絞ると案件数が限られるので、利回りを高めに設定して検討している」と回答。近年は火災保険料が従来の2.5倍〜3倍に高騰しているため、その分も利回りに上乗せしなければ採算が合わないとの現実的なアドバイスが飛びました。

さらに「接道条件や法改正の可能性を詳しく調べると、隠れた価値を発見できることがある」と、再建築不可物件の“宝探し”視点も共有。リスクだけでなく、将来的にプラスに働く可能性を見逃さない柔軟な思考が重視されました。

物件運用:水回り、家賃設定、ペット対応のリアル

水回りトラブルは本当に怖い?

Kさんによると、10棟所有物件のうち大きな排水トラブルは「ほぼゼロ」。ただし「社員寮だった元物件で入居者がラードを下水に流し、配管に詰まりかけた」という特殊事例があったため、事前の水流検査と説明が不可欠とのこと。座長も「配管トラブルは物件によるので、実際に使ってみないと分からない」としつつ、軽微な工事で対応できるケースが大半と述べました。

家賃設定の試行錯誤

データ数は地域相場やリフォーム状況をもとに家賃を決めるも、問い合わせ数の少なさに頭を抱える場面が。しかしKさんは次のアプローチを推奨しました。

1. AI家賃予測アプリ「サマステ」で相場を把握
2. SUUMOなどのポータルサイトで同条件物件を比較
3. 地元の不動産会社に足を運び、実需をヒアリング
4. 反響を見て柔軟に家賃を上下調整

「エコーズに出しても決まるとは限らないが、反響の有無はひとつの指標になる」との座長の言葉にも頷きが広がりました。

ペット可の付加価値

「古家だからこそ犬猫OKにすると大きな強みになる」とKさん。1匹目は家賃込み、2匹目以降は+3,000円の追加設定で柔軟に対応し、入居者とのコミュニケーションを重視するスタイルです。座長からは「以前、大きな蛇を飼いたいという問い合わせがあった」とユニークなエピソードも飛び出し、笑いと驚きに包まれました。

不動産投資がもたらすもの:心の支えとしての家賃収入

座談会の感動的な締めくくりは、Kさんが語ったご自身の体験談。約1年前にがんが見つかり、生死の危機と治療費、家族への不安に苛まれた時期があったそうです。そんな中、「既に所有する物件から毎月安定した家賃収入が入ること」が大きな支えになり、「家族の生活は大丈夫」という心強い気持ちをもたらしたと語ってくれました。

まとめ:経験に学び、勇気を持って一歩を踏み出そう

今回の座談会から浮き彫りになったのは、教科書にはない“現場のリアル”です。

「買ってみないと分からないことがある」
「フィルター済み物件の安心感」
「複数の収入源が心の支えになる」

これから古家再生投資に挑戦する皆さんは、ぜひ物件ツアーに積極的に参加し、信頼できる再生士や仲間と出会ってください。

そして、先輩たちのアドバイスを胸に、勇気を持って第一歩を踏み出しましょう。成功へのカギは、行動と経験の積み重ねにあります。

P.S.
次回のプランナー1年生座談会を期待してください。最近プランナーになった方はもちろんのこと伝えたいことのある先輩プランナーさんの参加をお待ちしております。

POST: 2025.05.17