
(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
築古物件の投資において、避けては通れないのがリフォーム費用の問題です。せっかく安く物件を手に入れても、リフォーム代が膨らんでしまっては「負け」に直結します。私たちが運営する協議会には20,280名の会員がおり、累計2,467棟(2025年10月時点)もの再生実績がありますが、その膨大なデータから導き出された「費用を抑えつつ入居者に喜ばれる鉄則」が存在します。この記事を最後まで読めば、無駄なコストを削ぎ落とし、利回り20%超えを実現するための具体的な術が分かります。
目次
なぜ築古投資でリフォーム費用を抑える必要があるのか?
築古物件、いわゆる古家再生投資において、リフォーム費用を管理することは単なる節約ではありません。それは投資家としての「生命線」です。
利回り計算の核心は「リフォーム代」にある
不動産投資の成功は「安く買って高く貸す」ことに尽きますが、築古戸建ての場合、購入価格と同じか、時にはそれ以上のリフォーム代がかかることも珍しくありません 。例えば、212戸の再生実績データでは、平均購入額318万円に対し、リフォーム代は平均279万円となっています 。このリフォーム代を10万円、20万円と抑えることができれば、そのまま利回りの向上に直結します。
4方よしの精神:無理なコストカットは入居者の不利益になる
ただし、単に「安かろう悪かろう」ではいけません。私たちの協議会が大切にしているのは「4方よし(大家・入居者・工事業者・地域社会)」の精神です 。大家だけが儲けるために必要な修繕を怠れば、入居者は不快な思いをし、すぐに退去してしまいます 。空室期間が長引けば、それは最大のコスト(チャンスロス)となります 。
累計2,582棟のデータが証明する「適正価格」の重要性
協議会の実績から言えるのは、リフォーム代には「適正価格」があるということです。平均的には200万円から350万円程度が目安となります 。これを超えて、例えば大手メーカーが提案するような1,000万円規模の工事をしてしまえば、投資としては成立しません 。
【鉄則1】「直す場所」と「直さない場所」を明確に分ける
リフォーム費用は「天井知らず」です 。だからこそ、投資家はリフォーム箇所を厳選しなければなりません。
入居決定の決め手となる「3大ポイント」への集中投資
入居希望者が内見時に最も気にするのは「玄関」「水回り」「リビング」です。特に玄関は建物の顔であり、一歩足を踏み入れた瞬間の印象が成約を左右します 。また、キッチンやトイレ、浴室といった水回りの清潔感は、現代の入居者にとって妥協できないポイントです 。
構造に関わらない「見た目」の古さはデザインでカバーする
一方で、古い天井や柱などは、あえて直さずに塗装や演出でカバーすることが可能です 。例えば、砂壁や綿壁はクロスを貼るのではなく、塗装を施すことで、安価かつ「和モダン」なおしゃれさを演出できます 。
著書から引用:プロが見る「修繕必須」のチェックリスト
最低限やらなければならないのは、インフラと安全性に関わる部分です 。
電気: アンペア容量が足りているか(古い家は不足しがちです)
畳: 汚れが目立つ場合は表替え、損傷が激しい場合は新品へ
ベランダ: 雨漏りの原因になりやすいため、防水塗装はマスト
床: 緩みがある場合は張り替えが必要です
【鉄則2】素材と工法の選択でコストを3割削減する
高価な素材を使わなくても、見せ方次第で物件の価値は劇的に上がります。
高価な建材を使わずに「高級感」を出す色のマジック
例えば、床材に本物の無垢材を使えば多額の費用がかかりますが、質感の良いクッションフロアを選べば、コストを抑えつつ高級感を出すことができます 。また、部屋の壁一面だけ色を変える「アクセントクロス」やペイントは、数百円から数千円の差額で、他物件との圧倒的な差別化を生みます 。
クッションフロアや壁紙の選び方ひとつで施工費は変わる
リフォーム費用の多くは「人件費」です 。複雑な工法を避け、職人の手間(工数)を減らすような素材選びが重要です。例えば、既存の床の上に重ね貼りできる素材を選ぶだけで、解体・処分の手間と費用を大幅に削減できます。
古家再生士®が実践する、廃材を出さない環境に優しいリフォーム
私たちは、使えるものは徹底的に磨いて使います。ステンレスの浴槽などは、プロが磨けば新品同様の輝きを取り戻します 。これはコスト削減になるだけでなく、ゴミを出さない「環境よし」にもつながります。
【鉄則3】多能工・専門業者とのパートナーシップ構築
誰に工事を頼むかで、リフォーム費用は1.5倍から2倍も変わります。
大手リフォーム会社ではなく、なぜ「職人直結」が強いのか
大手会社は広告費や中間マージンを上乗せするため、どうしても見積もりが高くなります 。私たちが推奨するのは、1人で大工・塗装・内装など複数をこなせる「多能工」の職人です 。複数の職人を手配する手間とマージンが消えるため、劇的に安く、かつスピーディーに工事が終わります 。
見積書の「一式」に騙されない!細部まで確認する力
「リフォーム一式」という大まかな見積もりを出す業者は危険です。協議会の「古家再生士®」は、家賃相場から逆算して「この家賃ならリフォーム代はここまで」という根拠を持って見積もりを出します 。
協議会が認定する「古家再生士®」の役割と信頼性
彼らは単なる工事業者ではありません。大家業・賃貸不動産業・工事業の3つを熟知した専門家集団です 。投資家の立場に立ち、「どこを直し、どこを残すか」を的確にアドバイスしてくれるパートナーなのです 。
【鉄則4】セルフリフォームの罠と正しい「DIY」の境界線
最近はDIYに挑戦する大家さんも増えていますが、私は初心者にはあまりお勧めしていません。
時間を買うか、手を動かすか。投資家としての時給を考える
DIYは材料費だけで済むように見えますが、あなたの「時間」という貴重な資源を消費します 。素人が慣れない作業をして3ヶ月かかるところを、プロなら2週間で終わらせます。この差である2.5ヶ月分の家賃が入ってこないことは、大きな損失です 。
初心者が絶対に手を出してはいけない「電気・水道・ガス」
これらは命や近隣トラブルに関わるインフラです。未熟な知識で蛇口を交換して噴水を起こしたり、配線をいじって火災を起こしたりすれば、投資どころではなくなります 。これらの重要箇所は、必ずプロに任せるべきです 。
成功事例:DIYを効果的に組み合わせてコストを下げた大家さんの声
一方で、ハウスクリーニングや庭の除草、あるいは仕上げの小物の設置などは、大家さん自身が楽しみながら行うことで、確実にコストを下げ、物件に愛着を持つことができます 。
【鉄則5】「空き家・古家」特有の補助金と税制をフル活用
リフォーム費用を直接抑えるだけでなく、公的な支援を賢く使うのも投資家の知恵です。
自治体の「空き家改修補助金」を見逃さない方法
現在、多くの自治体が空き家問題解決のために、改修費用の補助金制度を設けています。数十万円単位の補助が出ることもありますので、購入前に必ず物件所在地の役所に問い合わせましょう 。
リフォーム費用を正しく経費計上し、節税効果を最大化する
リフォーム費用には「修繕費(一括経費)」として落とせるものと、「資本的支出(減価償却)」として資産計上するものがあります。これを戦略的に分けることで、確定申告時の節税額が変わり、実質的なコストを抑えることができます 。
【実践編】費用を抑えて利回り20%を達成した再生事例公開
机上の空論ではなく、実際の成功事例を見てみましょう。
【事例1】ボロボロの平屋が、最小限の投資で人気物件に
大阪府枚方市の事例では、2年間空室だった物件を5万円かけてリフォームし、家賃4万円から5万円へアップさせて即入居が決まりました 。余分な解体をせず、塗装とデザインだけで「住みたい」と思わせる空間に変えたのです 。
【事例2】予算オーバーを防ぐための「追加工事」対策
想定外のシロアリ被害や雨漏りが見つかることもあります。ある兵庫県の物件では、工事中に漏水が発覚しましたが、ペット可にして家賃を5,000円アップさせることで、当初の予定通りの高利回りを維持しました 。
まとめ:リフォームを制する者が古家再生投資を制する
築古リフォームの費用を抑える極意は、ケチることではなく「価値を最大化する場所を見極め、一点突破すること」にあります。
入居者目線で、玄関や水回りなどの重要ポイントに予算を投じる
多能工の職人や、全古協の古家再生士®を味方につけ、中間マージンを削る
DIYはリスクと時間を天秤にかけ、賢く活用する
実は、私たちが提供している古家再生投資プランナー®︎認定オンライン講座では、こうした現場の知見をより体系的に学ぶことができます。一人で悩む必要はありません。全国2万人を超える仲間、そして2,582棟以上の実績を支えてきたプロたちが、あなたの挑戦をサポートします。
日本の空き家問題を解決し、自立した投資家として成功への一歩を踏み出しましょう。皆さんと現場でお会いできるのを楽しみにしています。
POST: 2026.03.27




