(一社)全国古家再生推進協議会 理事長 大熊重之です。
空き家を所有している方にとって、その活用方法は大きなテーマです。放置してしまえば、老朽化が進み資産価値が低下し、倒壊や火災といったリスクも高まります。
しかし、適切に手を入れて賃貸に出すことで、安定した収入源となり、資産の維持・向上にもつながります。本記事では、空き家を賃貸に出す際の具体的なメリットとデメリット、準備から契約までの流れ、トラブルへの対応方法、さらには「古家再生投資プランナー」としての可能性についても詳しく解説します。
空き家の利活用を真剣に検討している皆さまにとって、実践的かつ有益な情報となれば幸いです。
空き家を賃貸に出すメリット
安定収入を確保できる
空き家を賃貸に出す最大のメリットは、毎月定期的に家賃収入が得られることです。特に年金だけでは将来が不安という方にとって、安定収入の柱となる不動産収入は非常に心強い存在です。都市部であれば単身者やファミリー層の需要が高く、地方でもリモートワークの浸透により移住希望者の増加が見られます。空き家の立地やリフォーム内容によっては、家賃10万円を超えるケースも珍しくありません。
地域の課題解決に貢献
建物は使わなければ劣化が早まります。人が住むことで通風が良くなり、雨漏りや湿気などのリスクも低減されます。また、定期的な清掃や点検が行われることで資産価値が維持され、将来的な売却時にも好条件が期待できます(出典:『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』)。
資産価値を維持・向上できる
建物は使わなければ劣化が早まります。人が住むことで通風が良くなり、雨漏りや湿気などのリスクも低減されます。また、定期的な清掃や点検が行われることで資産価値が維持され、将来的な売却時にも好条件が期待できます。
相続や税金対策として有効
空き家を賃貸用不動産として運用すると、相続時の評価額が減額される可能性があります。小規模宅地等の特例や不動産収入に関する青色申告特別控除の適用など、節税効果を得ることも可能です。
空き家を賃貸に出すデメリット
管理に手間とコストがかかる
賃貸物件には、定期的なメンテナンスや入居者からの問い合わせ対応、家賃回収などの管理業務が発生します。自主管理で対応する場合は時間と労力が必要になり、副業としての余裕がない方には負担になるかもしれません。一方で、管理会社に委託する選択肢もありますが、その分の手数料(家賃の3~5%程度)が発生します(出典:『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』)。
初期費用がかかる
築年数が古い空き家の場合、水回りや電気設備の更新、外壁塗装、断熱性の強化などが求められます。一般的にリフォーム費用は100万円~300万円程度が目安ですが、大規模修繕になると500万円以上になることもあります(出典:『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』)。自己資金に余裕がない場合、ローンや助成金の活用も検討すべきです。
空室リスクと収支の不安定さ
賃貸物件は常に入居者がいるとは限りません。退去後に空室が続けば、その間の家賃収入はゼロになります。特に地方都市では賃貸需要が限定的であるため、入居者が決まりにくいリスクもあります(出典:『地方は宝の山!空き家・古家不動産投資』)。家賃設定の見直しや、募集広告の工夫、ペット可・家具付きなどの差別化戦略が求められます。
入居者トラブルや契約リスク
家賃滞納、近隣トラブル、設備の破損、無断転貸など、入居者との間でさまざまな問題が起こることがあります。これらを防ぐためには、契約時に保証会社の利用や連帯保証人の設定、契約条件の明確化などを行い、事前のトラブル対策を徹底することが不可欠です(出典:『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』)。
空き家を賃貸にする際の流れ
不動産会社への相談
まずは、地域の不動産会社に相談してみましょう。賃貸市場に詳しい不動産会社ならば、物件の査定や賃料設定、ターゲットとなる入居者層の分析など、専門的なアドバイスを受けることができます。複数の不動産会社に相談し、対応の丁寧さや提案力を比較するのも良い方法です。信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵となります。
入居者募集の方法
入居者募集には、不動産会社のネットワークのほか、空き家バンクの活用、地域の掲示板やSNSの活用も有効です。空き家バンクは自治体が運営しており、地域に移住希望のある方とのマッチングが行われます。SNSを利用する場合は、写真や間取り図を添えて魅力を発信すると効果的です。
賃貸借契約の締結
入居希望者が決まったら、賃貸借契約を締結します。契約内容は、家賃や敷金、契約期間、更新条件などを明記し、曖昧な表現は避けましょう。また、契約後の管理方法についてもあらかじめ決めておくと、入居者とのトラブルを未然に防げます。契約には専門家の確認を受けることをおすすめします。
空き家をリフォームして賃貸に出す
リフォームのポイント
空き家を魅力的な賃貸物件にするためには、ターゲット層を意識したリフォームが必要です。たとえば、単身者を対象にするならば、コンパクトで機能的な間取りやWi-Fi環境の整備が求められます。ファミリー向けならば、収納の多さや防犯設備などが重視されます。地域の需要をリサーチしたうえで、機能性とデザインを両立させるリフォームを行いましょう。
リフォーム費用の目安
リフォーム費用は、工事内容によって大きく異なります。内装の張り替え程度であれば数十万円ですが、水回りの全面改修や断熱工事などを含むと100万円以上かかることもあります。都道府県別の相場や過去の事例を参考にして、予算を明確に設定し、必要な部分に重点的に投資しましょう。
成功事例の紹介
たとえば、地方都市にあった築45年の古家を300万円で購入し、150万円のリフォームを施して家賃5万円で賃貸したケースがあります。入居者は子育て中のファミリーで、住環境の良さから長期入居となり、約10年で投資を回収できた成功事例です。こうした実例から学ぶことは非常に多く、自分の投資計画に活かすことができます。
空き家賃貸のトラブルとその対策
入居者トラブルの事例
空き家を賃貸する際には、入居者とのトラブルも想定しておく必要があります。たとえば、家賃の滞納や夜間の騒音、無断での模様替えなどが挙げられます。こうした事例は、契約内容が不明確であったり、事前の説明が不十分であった場合に起こりがちです。
トラブルを避けるための契約内容
トラブルを未然に防ぐには、契約書の内容を詳細に設定し、双方の責任範囲を明確にしておくことが大切です。家賃支払日や更新時の手続き、設備故障時の対応などを具体的に記載することで、曖昧さがなくなります。また、利用規約や生活ルールを別紙にして添付するのも良い方法です。
古家再生投資プランナーになるという選択肢
古家再生投資プランナーとは?
古家再生投資プランナーは、(一社)全国古家再生推進協議会が認定する資格です。古家や空き家を活用して収益化を目指す投資家に必要な知識や実務を体系的に学べる内容になっており、初心者にもわかりやすいカリキュラムが特徴です。
資格取得の流れ
オンライン講座で20章にわたるカリキュラムを学習し、修了後に認定料を支払うことで資格が取得できます。講座内容には、物件選定の基準、リフォームの知識、賃貸管理の実践、出口戦略などが含まれており、即戦力として活かせる内容が盛り込まれています。
資格取得のメリット
資格を取得すると、協議会が推薦する再生物件の購入権利を得ることができます。また、同じ志を持つ仲間とのネットワークや、セミナー・イベントへの優先参加も可能になります。不動産投資をより深く学び、実践したい方には最適な資格といえるでしょう。
まとめ
空き家を賃貸に出すという選択肢は、単に収益を得るだけでなく、地域社会への貢献や資産価値の維持、そして自身の成長にもつながる大きな可能性を秘めています。準備や手続き、リフォーム、契約など多くのステップがありますが、それぞれを丁寧に進めることで、着実な成果を上げることができます。
さらに、古家再生投資プランナーとしての学びを通じて、より専門的かつ持続可能な不動産活用を目指すことも可能です。
空き家をお持ちの皆さまにとって、本記事が次なる一歩となれば幸いです。
POST: 2025.06.21