相続した不動産を活用する方法と注意点を解説

相続した不動産を活用する方法と注意点を解説

こんにちは。(一社)全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重之です。

突然の相続で不動産を手にしたものの、「この土地や建物をどうすればいいのか…」と途方に暮れていませんか?固定資産税や管理の負担だけがのしかかり、大切な資産が「負」動産になってしまうのではないかと不安に感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、そんなお悩みをお持ちのあなたへ向けて、相続した不動産を「お荷物」から「宝物」に変えるための具体的な活用方法を、その道のプロとして徹底的に解説します。賃貸経営から売却、さらには意外な活用法まで、それぞれのメリット・デメリット、そして注意すべきポイントを詳しくご紹介します。

この記事を最後までお読みいただければ、あなたの状況に合った最適な不動産活用の道筋が見え、将来に向けた賢い資産形成の第一歩を踏み出すことができるはずです。

相続した不動産の活用方法とは?

相続した不動産は、そのままにしておくと税金や管理費の負担だけが増えていく可能性があります。しかし、視点を変えれば、それはあなたの将来を豊かにする可能性を秘めた貴重な資産です。ここでは、まず相続した不動産を活用することの基本的な意義と、その管理の重要性について考えていきましょう。

相続した不動産を活用する意義とは何か?

相続した不動産をただ所有し続けるのではなく、積極的に活用することには大きな意義があります。その主な理由を3つのポイントから解説します。

1. 相続した不動産の価値を最大限に引き出すため
不動産は、活用してこそ真の価値を発揮します。例えば、古い家でもリフォームを施して賃貸に出せば、新たな入居者を迎え入れ、収益を生む資産に生まれ変わります。土地であれば、駐車場やアパート経営など、その立地に合った活用法を選ぶことで、眠っていた土地のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能です。大切なのは、その不動産が持つ本来の価値を理解し、時代やニーズに合った形で有効活用することです。

2. 資産を有効活用し、安定した収益を得るため
不動産の活用は、将来にわたる安定した収入源となり得ます。特に、年金制度への不安が高まる現代において、家賃収入のような不労所得は、生活に大きな安心感をもたらしてくれるでしょう。相続不動産の活用は、まさに新たな資産運用のスタートラインです。これは、単なるお小遣い稼ぎではなく、あなたの人生設計を支える本格的な不動産投資の第一歩となり得るのです。目的を明確にし、長期的な視点で計画を立てることが成功の鍵となります。

3. 相続税対策としての活用方法を考えるため
不動産を相続すると、高額な相続税が発生する場合があります。しかし、不動産の活用方法によっては、この税負担を軽減することが可能です。例えば、更地のまま所有するよりも、その土地にアパートなどを建てて賃貸経営を始めると、土地や建物の評価額が下がり、結果として相続税が安くなるケースがあります。これは「貸家建付地」の評価減という制度によるものです。このように、不動産の活用は収益目的だけでなく、節税という観点からも非常に有効な手段です。さまざまな制度を併用しながら、自分に合った最適な方法を見つけることが重要です。

このように、相続した不動産の活用には、資産価値の向上、収益化、そして節税と、多くのメリットが見込めるのです。何から手をつけてよいか分からないという方も、まずはその不動産の可能性を信じ、どのような活用が自分に合っているかを考えることから始めてみましょう。この後の章で具体的な方法を豊富に紹介していきますので、最後までじっくりと読み進めて、あなたに合った活用法を見つけるための役立ち情報を得てください。

相続後の不動産管理はなぜこれほど重要なの?

不動産を相続した瞬間から、その管理責任はあなたに移ります。活用するにせよ、売却するにせよ、あるいはそのまま保有するにせよ、適切な管理は資産価値を守るうえで非常に重要です。管理を怠ると、どのようなリスクがあるのでしょうか。

まず、最も分かりやすい負担は、固定資産税や都市計画税といった税金です。不動産は所有しているだけで毎年コストが発生します。活用して収益が上がっていれば問題ありませんが、空き家のまま放置していると、ただ支出だけが続くことになります。

さらに、管理されていない空き家は、急速に劣化が進みます。雨漏りやシロアリ被害、庭の雑草の繁茂などが進むと、資産価値は著しく低下します。いざ売却しよう、活用しようと思ったときには、大規模な修繕が必要になり、多額の費用負担が発生するケースも少なくありません。

また、近年社会問題化しているのが「特定空き家」の問題です。倒壊の危険性がある、衛生上有害である、景観を損なっているなどと自治体に判断された場合、「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。これは税負担が最大で6倍にも跳ね上がることを意味し、経済的に非常に大きな負担となります。さらに、行政からの助言・指導、勧告、命令に従わない場合、最終的には行政代執行によって強制的に解体され、その費用が請求される可能性もあるのです。

トラブルは物理的なものだけではありません。相続人が複数いる場合、管理方法や費用負担をめぐって意見が対立し、親族間のトラブルに発展することも少なくありません。誰が管理を行うのか、費用は誰がどの割合で負担するのか、といった点を事前にしっかり話し合い、ルールを決めておくことが、円満な相続のためには不可欠です。

では、具体的にどのように管理すればよいのでしょうか。選択肢は主に「自主管理」と「管理会社への委託」の2つです。

●自主管理
自身で定期的に物件を訪れ、清掃や換気、簡単な修繕を行う方法です。コストを抑えられるメリットがありますが、時間と手間がかかります。特に遠方に住んでいる場合は、現実的に難しいでしょう。
●管理会社への委託
専門の不動産管理会社に管理を任せる方法です。費用はかかりますが、定期的な巡回報告やトラブル対応などを代行してくれるため、手間を大幅に削減できます。専門家の視点で適切な管理を行ってくれるため、資産価値の維持にも繋がります。

どちらの方法を選ぶにせよ、相続した不動産の状態を正確に把握し、計画的に管理を行うことが重要です。相続という大きな節目を乗り越えた後だからこそ、気を抜かずにしっかりとした管理体制を築くことが、将来の安心に繋がるのです。

相続した不動産の種類と特徴は?

一口に「不動産」といっても、その種類はさまざまです。相続した不動産が「土地」なのか「建物」なのか、またその状態によって、活用方法や注意すべきポイントは大きく異なります。ここでは、代表的な不動産の種類とその特徴について見ていきましょう。

土地を相続した場合の特徴とは?

土地を相続するケースは非常に多いですが、その価値や活用方法は立地や形状、法的な規制によって大きく変わってきます。

まず、土地の価値を左右する最大の要因は「立地」です。駅からの距離、周辺の商業施設や公共施設の充実度、住環境などによって評価額は大きく変動します。同じ面積の土地でも、都心の一等地と郊外の山林とでは、その価値は天と地ほどの差があります。

次に、土地の状態も重要です。建物が何もない「更地」は、活用の自由度が高いという特徴があります。一方で、固定資産税の評価額が高くなる傾向があるため、放置すると税負担が重くのしかかります。

土地の活用プランを考える上で欠かせないのが「用途地域」の確認です。都市計画法に基づき、それぞれのエリアは「第一種低層住居専用地域」「商業地域」といったように13種類の用途地域に分けられています。これにより、建てられる建物の種類や高さ、面積などが制限されます。例えば、閑静な住宅街では高いビルは建てられませんし、商業地域では住宅以外の店舗や事務所も建築可能です。相続した土地がどの用途地域に属するかを把握することが、有効活用の第一歩となります。

相続税の計算においても、土地の評価は非常に重要です。土地の評価方法は主に「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあり、国税庁が定める路線価や固定資産税評価額を基に計算されます。土地の形状が不整形であったり、接道状況が悪かったりする場合には評価額が減額されることもあります。

土地の活用方法は多岐にわたります。アパートやマンションを建てる、駐車場として貸し出す、トランクルームを設置する、あるいは売却して現金化するなど、さまざまな選択肢が考えられます。相続人が複数いる場合は、土地を分筆してそれぞれが所有する(現物分割)という方法もありますが、土地の価値が均等に分けられないことも多く、トラブルの原因になりがちです。

このように、土地の相続は、その土地が持つ特徴や法的な制約を十分に理解することから始まります。どのようなプランが最適か、専門家の意見も聞きながら慎重に検討することが、後悔しない土地活用に繋がります。

建物を相続した場合の特徴とは?

建物を相続した場合、その価値や活用方法は、建物の種類(一戸建て、マンション、ビルなど)や築年数、そして何よりもその「状態」に大きく影響を受けます。

●建物の状態が価値に直結する
中古住宅である相続物件の価値は、築年数だけでなく、これまでどのように維持管理されてきたかによって大きく左右されます。定期的なメンテナンスが行われ、基礎や構造部分がしっかりしている建物であれば、築年数が古くても価値は維持されやすいです。逆に、管理がずさんで雨漏りやシロアリ被害などを放置してきた物件は、資産価値が大きく下落している可能性があります。

●維持管理の重要性
建物を相続したら、まずはその状態を専門家(ホームインスペクターなど)に診断してもらうことをお勧めします。どこに問題があるのか、どの程度の修繕が必要かを把握することが、今後の活用プランを立てる上での基礎となります。特に、古い一戸建て(古家)の場合、見た目は悪くても、適切なリフォームやリノベーションを施すことで、魅力的な賃貸物件として再生できる可能性を秘めています。このような古家の再生には専門的な知識とノウハウが必要ですが、これこそが我々(一社)全国古家再生推進協議会が得意とする分野です。

●賃貸収入の可能性
相続した建物が居住可能な状態であれば、賃貸に出して家賃収入を得るという活用方法が一般的です。特に、相続の場合は物件の購入費用がかからないため、リフォーム費用だけで賃貸経営をスタートできます。これにより、一般的な不動産投資よりも高い利回りを実現できる可能性があります。オーナーとして賃貸経営を行う流れとしては、リフォーム、入居者募集、賃貸借契約、入居後の管理といったステップがあります。これらを自己で行うことも可能ですが、専門の不動産会社や管理会社に対応を依頼することで、手間を省き、安定した経営を目指すことができます。

●相続人が複数いる場合の注意点
建物は土地と異なり物理的に分けることが難しいため、相続人が複数いる場合は所有権の取り扱いで揉めるケースが少なくありません。代表者一人が所有者となり他の相続人には代償金を支払う「代償分割」や、売却して現金を分ける「換価分割」などの方法が考えられます。どのような方法を取るにせよ、相続人全員の合意形成が不可欠です。

建物の相続は、その物件の状態を見極め、適切な対応を取ることが成功の鍵となります。一見すると負の遺産に見える古い建物も、専門家の知恵を借りれば、収益を生む金の卵に変わるかもしれないのです。

相続不動産の具体的な活用方法には何がある?

相続した不動産を「資産」として活かすためには、具体的な活用方法を知ることが重要です。ここでは、代表的な3つの活用方法について、それぞれのメリット・デメリットを交えながら詳しく解説します。

賃貸経営のメリットとデメリットとは?

相続不動産の活用法として最もポピュラーなのが、賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得る「賃貸経営」です。

【メリット】

1.安定した収入源の確保
賃貸経営の最大の魅力は、入居者がいる限り毎月安定した家賃収入(インカムゲイン)が得られることです。これは年金や給与以外の収入の柱となり、将来の生活設計に大きな安心感をもたらします。

2. 相続税の節税効果
更地や自宅として利用していた土地に賃貸住宅(アパートや貸家)を建てると、その土地は「貸家建付地」として扱われ、相続税評価額が約2割軽減されます。建物自体も「貸家」として評価され、評価額が3割減額されます。これにより、大きな節税効果が期待できます。

3. 初期投資を抑えられる
相続物件の場合、土地や建物の購入費用がかかりません。そのため、一般的な不動産投資のように多額のローンを組む必要がなく、リフォーム費用などの初期投資を抑えてスタートできる点は大きなアドバンテージです。

【デメリット】

1. 空室リスク
賃貸経営で最も懸念されるのが空室リスクです。入居者が見つからなければ家賃収入はゼロになり、ローンの返済や経費の支払いだけが残ります。立地や物件の魅力、適正な賃料設定、効果的な入居者募集など、空室対策は常に考えておく必要があります。

2. 管理やメンテナンスの手間
家賃の集金、入居者からのクレーム対応、退去時の手続き、建物の修繕など、賃貸経営にはさまざまな管理業務が発生します。自主管理は手間がかかるため、管理会社に委託するのが一般的ですが、その場合は管理委託費用がかかります。

3. 家賃滞納や入居者トラブルのリスク
入居者によっては家賃を滞納したり、騒音問題やゴミ出しのルール違反など、近隣トラブルを起こしたりする可能性があります。こうしたトラブルへの対応もオーナーの仕事です。借地借家法では入居者の権利が強く保護されているため、問題のあるテナントに退去してもらうのは簡単ではありません。

最近では、一般的な賃貸住宅だけでなく、短期滞在者向けの「民泊」として活用するケースも増えています。収益性が高い一方で、運営の手間や規制が厳しいという側面もあります。

賃貸経営は、安定収入という大きな魅力がある一方で、さまざまなリスクや手間も伴います。成功のためには、これらのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

リフォーム・リノベーションにはどんな可能性がある?

相続した建物が古い場合、「どうせ価値がないだろう」と諦めてしまうのは早計です。適切なリフォームやリノベーションを施すことで、物件の価値を劇的に向上させ、新たな可能性を引き出すことができます。

●物件の価値を向上させる
リフォームは老朽化した部分を修繕して元の状態に戻すことを指し、リノベーションは既存の建物に新たな付加価値を加える大規模な改修を指します。例えば、古い間取りを現代のライフスタイルに合ったものに変更したり、デザイン性の高い内装にしたりすることで、物件の魅力は格段にアップします。これにより、周辺の競合物件と差別化でき、より高い家賃での賃貸や、高値での売却が可能になります。

●市場ニーズに応じた改修が重要
ただお金をかけてきれいにすれば良いというわけではありません。重要なのは、そのエリアの賃貸市場や購入希望者が何を求めているか(市場ニーズ)を的確に捉えることです。例えば、単身者向けエリアならワンルームや1Kに、ファミリー層が多いエリアなら広いリビングを持つ2LDKや3LDKに改修するなど、ターゲットに合わせた計画が成功の鍵となります。この市場ニーズの分析こそ、専門的な知識が問われる部分です。

●初期投資と計画の重要性
もちろん、リフォームやリノベーションには初期投資が発生します。修繕費や改修費用は、その内容や規模によって数十万円から数千万円と大きな幅があります。そのため、事前にしっかりと予算計画を立て、投資額に対してどの程度のリターン(収益性)が見込めるのか、綿密なシミュレーションを行うことが不可欠です。

ここで、「古家再生投資プランナー®︎」の知識が非常に役立ちます。古家再生投資プランナー®︎は、どの部分にどの程度のリフォームを施せば費用対効果が最大化するのか、というノウハウを持っています。無駄なコストをかけずに、物件の魅力を最大限に引き出すリフォーム計画を立てる専門家なのです。相続した古い家の扱いに困っている方こそ、このような専門知識を学ぶことで、新たな不動産活用の道が開ける可能性があります。

このコラムや記事を参考に、まずは自分の物件がリフォームによってどのようなイメージに生まれ変わるか、考えてみるのもよいでしょう。相続した不動産は、あなたのアイデアと計画次第で、大きな可能性を秘めた魅力的な資産に生まれ変わるのです。

トランクルームや駐車場の運営は有効か?

建物がない土地や、老朽化して解体した後の土地の活用法として、トランクルームや駐車場の運営は比較的気軽に始められる選択肢です。

●初期投資が比較的少ない
アパートやマンションを建てる場合に比べ、トランクルームや駐車場の運営は初期投資を大幅に抑えられるのが最大のメリットです。駐車場であれば、土地を整地してラインを引き、精算機などの設備を設置するだけでスタートできます。トランクルームも、コンテナを設置するタイプであれば、大規模な建築工事は不要です。

●需要が高い地域での運営が有利
これらの事業が成功するかどうかは、その場所の「需要」にかかっています。
駐車場: 駅前や商業施設の周辺、オフィス街など、駐車ニーズの高いエリアで有利です。時間貸しのコインパーキングにするか、月極駐車場にするかは、周辺の利用者の属性(買い物客が多いか、近隣住民や通勤者が多いか)によって判断します。
トランクルーム: 住宅密集地やマンションが多いエリアで需要が見込めます。自宅の収納スペース(部屋)が手狭になった家庭や、季節用品・レジャー用品を保管したいというニーズに応えることができます。

●運営管理がシンプル
賃貸住宅経営に比べ、運営管理がシンプルな点も魅力です。入居者トラブルのような心配はほとんどなく、定期的な清掃や設備のメンテナンスが主な管理業務となります。最近では、駐車場の運営会社に土地を貸し、運営のすべてを委託する方式も人気です。この場合、オーナーは手間をかけることなく、毎月安定した賃料収入を得ることができます。

注意点
ただし、デメリットもあります。賃貸住宅経営に比べて収益性は低くなる傾向があります。また、土地にかかる固定資産税の軽減措置は適用されないため、税負担は更地と同じです。

トランクルームや駐車場経営は、大きなリスクを取らずに土地活用をスタートしたい方や、本格的な建物を建てるまでの「つなぎ」として土地を遊ばせておきたくない、という場合に有効な選択肢と言えるでしょう。トラブルが少なく、運営会社に委託すれば手間もかからないため、不動産活用の初心者でも始めやすい方法です。

相続した土地の活用方法には何がある?

相続財産が建物を含まない「土地」のみ、あるいは建物を解体して更地にした場合、その活用方法は多岐にわたります。ここでは、代表的な土地の活用方法を3つご紹介します。

新たに建物を建てるという選択肢はどうか?

相続した土地に新たに建物を建てて活用するのは、最も積極的で、大きなリターンが期待できる方法の一つです。

●土地の用途を確認する
まず大前提として、その土地にどのような建物を建てられるかを確認する必要があります。前述の通り、都市計画法上の「用途地域」によって、建てられる建物の種類(戸建て住宅、アパート、店舗など)や規模(建ぺい率・容積率)が厳しく定められています。市役所などで用途地域を確認し、どのような建築が可能かを把握することから始めましょう。

●建築計画を立てる
次に、具体的な建築計画を立てます。
アパート・マンション経営: 複数の部屋を貸し出すことで、高い収益性が期待できます。ただし、建築費用は高額になり、多額のローンを組むのが一般的です。空室リスクや管理の手間も考慮する必要があります。
戸建て賃貸: ファミリー層を中心に安定した需要があります。アパートに比べて入居期間が長くなる傾向があり、管理も比較的楽です。建築費用はアパート一棟よりは抑えられます。
賃貸併用住宅建物の同じフロアや階の一部を自宅、残りを賃貸部分とする方法です。家賃収入で住宅ローンの返済を賄える可能性があり、マイホームの夢と不動産投資を両立できる魅力的な選択肢です。

●地域の需要を調査する
どこに、どのような建物を建てるにせよ、最も重要なのは「地域の需要」です。学生街なら単身者向けアパート、郊外の住宅地ならファミリー向け戸建て賃貸など、そのエリアに住みたい人が求める物件を建築しなければ、成功はおぼつきません。ハウスメーカーや工務店に相談する際には、デザインや価格だけでなく、その地域の賃貸需要に詳しいかどうかも重要な判断基準となります。

建物を新たに建てるのは、大きな投資であり、失敗した場合のリスクも小さくありません。しかし、相続した土地というアドバンテージを活かし、綿密な計画を立てて実行すれば、長期にわたって安定した資産を築くことが可能です。これから何十年とかかる大きなプロジェクトになるため、後悔しない選択をするためにも、専門家と二人三脚で進めることが賢明です。

太陽光発電を導入するメリットは?

広い土地や日当たりの良い土地を相続した場合、太陽光発電システムの設置も有効な活用法の一つです。

設置可能なスペースを確認する
太陽光発電は、太陽光パネルを設置するための広いスペースが必要です。また、日照時間が収益に直結するため、周囲に高い建物がなく、一日を通して日光が当たる土地が適しています。まずは、相続した土地が太陽光発電に適しているか、専門業者に調査を依頼しましょう。

●補助金や助成金を調査する
太陽光発電システムの導入には、高額な初期費用が発生します。しかし、国や地方自治体が補助金や助成金制度を設けている場合があります。これらの制度をうまく活用することで、導入コストを大幅に抑えることが可能です。制度の内容は年度によって変更されるため、最新の情報を確認することが重要です。

●収益性を計算する
太陽光発電の収益は、発電した電気を電力会社に売る「売電収入」によって得られます。売電価格は国のFIT(固定価格買取制度)によって一定期間保証されますが、この価格は年々低下傾向にあります。2025年以降の制度変更なども見据え、導入費用に対してどの程度の収益が見込めるのか、長期的な視点で収益性をしっかり計算(シミュレーション)する必要があります。
また、発電効率を維持するためのメンテナンス費用や、パワーコンディショナーなどの設備の交換費用も考慮に入れなければなりません。

●注意点
メリットばかりではありません。周辺住民から景観を損なう、パネルの反射光が眩しいといったクレームや、パワーコンディショナーから発生する騒音に関するトラブルも報告されています。事業を始める前には、近隣への説明を丁寧に行うことが大切です。

太陽光発電は、土地管理の手間が少なく、安定した収入が期待できる一方で、初期投資の大きさや制度変更のリスクも伴います。成功のためには、信頼できる専門業者を選び、綿密な事業計画を立てることが不可欠です。

資材置き場や貸地として活用できるか?

建物を建てるほどの資金はない、あるいは暫定的に土地を活用したいという場合に、資材置き場や貸地として第三者に貸し出す方法があります。

●需要のある業種をリサーチする
この活用法が成り立つかどうかは、周辺に土地を借りたいという需要があるかにかかっています。
資材置き場: 周辺で建設工事が頻繁に行われているエリアであれば、建設会社が工事期間中、資材や車両を置くための用地として借りたいという需要が見込めます。
貸し農園(市民農園): 郊外や住宅地であれば、農業を楽しみたいという市民向けの貸し農園として活用できる可能性があります。
イベント用地: 駅前や幹線道路沿いの広い土地であれば、イベント会社が期間限定の催し物のために一時的に借りたいというケースもあります。

●契約内容を明確にする
土地を貸す際は、必ず賃貸借契約書を作成しましょう。賃料、契約期間、使用用途、原状回復義務など、契約内容を明確に定めておくことが、後のトラブルを避けるために非常に重要です。特に、借地借家法が適用されるかどうかは、契約内容によって異なり、一度貸すと簡単には返してもらえなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

●地域の法律や規制を確認する
土地の用途によっては、自治体の条例などで規制がある場合があります。例えば、農地を農地以外の目的で利用(転用)する場合は、農業委員会の許可が必要です。事前に市役所などで、予定している活用方法が法的に問題ないかを確認しておきましょう。

資材置き場や貸地としての活用は、初期投資がほとんどかからず、土地を放置して固定資産税だけを払い続ける状況を回避できる手軽な方法です。ただし、収益性は他の活用法に比べて低い傾向があります。あくまで一時的な活用法と割り切るか、安定した借り手が見つかる立地であれば、長期的な選択肢としても検討の価値はあるでしょう。

相続不動産を活用する際の注意点は?

相続した不動産の活用は、夢のある話ばかりではありません。思わぬ落とし穴にはまらないよう、事前に確認しておくべき重要な注意点がいくつかあります。ここでは、特に注意したい2つのポイントを解説します。

どのような法律や規制を確認すべきか?

不動産の活用は、さまざまな法律や規制と密接に関わっています。これらを無視して計画を進めると、後で大きな問題に発展しかねません。

1. 相続税や贈与税の理解
不動産を相続した場合、最も直接的に関わるのが相続税です。相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税を済ませる必要があります。この手続きを怠ると、延滞税などのペナルティが課されます。また、相続した不動産を他の親族に分け与える場合は贈与税の対象となる可能性もあります。どのような税金が、いつ、どの程度かかるのかを正確に把握するためにも、税理士などの専門家への早めの相談が不可欠です。

2. 土地利用に関する法律の把握
土地を活用する際には、「都市計画法」と「建築基準法」が大きな壁となります。
都市計画法: 前述の通り、土地は「用途地域」によって建てられる建物の種類や用途が制限されています。自分の土地がどの地域に属し、どのような活用が可能なのか、必ず確認しましょう。
建築基準法: 建物を建てる際のルールを定めた法律です。例えば、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという「接道義務」があります。これを満たさない土地には、原則として建物を新築したり、建て替えたりすることはできません。

これらの法律は非常に専門的で複雑です。自己判断で「できるだろう」と進めてしまうのは大変危険です。計画の初期段階で、不動産会社や建築士、行政書士といった専門家に相談し、法的な条件をクリアできるかを確認する手続きを行いましょう。個人情報の取り扱いなどプライバシーポリシーにも注意し、信頼できる専門家へ依頼することが重要です。

なぜ周辺環境のリサーチが重要なのか?

不動産の価値は、そのもの自体の良し悪しだけでなく、周辺の環境によって大きく左右されます。どんなに素晴らしい建物を建てても、ニーズのない場所であれば誰も借りてくれません。

1. 交通アクセスの確認
最寄り駅からの距離、バス便の有無や本数、主要な道路へのアクセスなどを確認します。通勤・通学の利便性は、賃貸物件を探す人にとって最も重要な条件の一つです。単に距離が近いだけでなく、実際に歩いてみて、道のりの安全性(街灯の有無、歩道の広さなど)や坂の多さなども体感しておくことが大切です。

2. 周辺施設の調査
スーパーマーケット、コンビニ、病院、学校、公園など、生活に必要な施設が周辺に揃っているかは、住みやすさを決める重要な要素です。ターゲットとする入居者層(単身者、ファミリー、高齢者など)によって、重視される施設は異なります。例えば、ファミリー層向けなら小中学校や公園の近さが、単身者向けならコンビニや飲食店の充実度が魅力となります。

3. 地域の将来性の評価
現在の状況だけでなく、その地域が将来どう変わっていくかを見極める視点も重要です。近くに新しい駅や商業施設ができる再開発計画はないか、逆に、工場や大学の移転で人口が減少するリスクはないか、といった情報を収集します。自治体が公表している都市計画や、地域の不動産会社からの情報を参考に、長期的な視点で地域の将来性を評価しましょう。

これらの周辺環境リサーチは、インターネットの検索や地図上で行うだけでなく、実際に現地を何度も訪れ、自分の目で見て、肌で感じることが何よりも重要です。時間帯や曜日を変えて訪れることで、地域の本当の姿が見えてきます。こうした地道なリサーチが、不動産活用の成功確率を格段に高めるのです。

相続不動産の活用で得られるメリットは?

相続した不動産の活用には、税金や管理の手間といった負担も伴いますが、それを上回る大きなメリットがあります。ここでは、経済的な側面に焦点を当てて、2つの主要なメリットを解説します。

どのように収入確保と資産維持を実現するのか?

相続した不動産をうまく活用することで、安定した収入を確保し、大切な資産を維持・向上させることが可能です。

●賃貸物件としての活用を検討する
最も代表的なのが、賃貸経営による家賃収入です。相続物件は、土地や建物の購入費用がかからないため、一般的な不動産投資に比べて少ない初期費用(リフォーム費用など)で事業をスタートできるのが最大の強みです。これにより、高い収益性を実現しやすくなります。
得られた家賃収入は、ローンの返済(リフォームローンなど)や固定資産税などの支払い、将来の修繕費用のための備えに充てることができます。そして残った部分が、あなたの生活を支える安定した収入(キャッシュフロー)となります。これは、給与や年金にプラスされる「第二の収入源」として、長期的な経済的安心に繋がります。

●空き家を売却して現金化する
活用が難しい立地であったり、管理の手間をかけたくない場合は、売却して現金化するのも一つの賢明な選択です。不動産という「現物資産」を「現金」という流動性の高い資産に変えることで、納税資金に充てたり、他の投資の資金にしたり、あるいは生活費として利用したりと、自由な使い道が可能になります。維持費の支払いから解放されるという精神的なメリットも大きいでしょう。

●不動産管理会社に委託する
賃貸経営を行う場合、自主管理は手間がかかり、専門知識も必要です。そこで有効なのが、プロである不動産管理会社に運営を委託することです。管理手数料という費用はかかりますが、入居者募集から家賃集金、クレーム対応、退去手続きまで、煩雑な業務のほとんどを代行してくれます。これにより、あなたはオーナーとして手間をかけることなく、安定した収支を得る経営に集中できます。適切な管理は物件の価値を維持し、長期的な資産保全にも繋がります。

このように、相続不動産は活用次第で、単なる「持っているだけのもの」から、お金を生み出す「事業」へと生まれ変わります。そのためには、「消費者」から「投資者」へと考え方を変え、収支計画をしっかり立てて経営に臨む視点が不可欠です。

相続税対策としてどのような効果があるのか?

相続不動産の活用は、将来の収入を得るだけでなく、相続税の負担を軽減するという面でも大きな効果を発揮します。

●不動産の評価額を把握する
相続税は、相続した財産の総額(評価額)に基づいて計算されます。現金や預貯金は額面がそのまま評価額になりますが、不動産の評価額は、現金よりも低く計算されるのが一般的です。
土地: 時価(実際の取引価格)の8割程度とされる「路線価」を基に評価されます。
建物: 時価の5〜7割程度とされる「固定資産税評価額」がそのまま評価額となります。

つまり、現金で1億円を相続するよりも、時価1億円の不動産を相続した方が、相続税評価額は低くなり、結果として相続税の負担が軽くなるのです。

●活用方法によるさらなる軽減効果
さらに、不動産の活用方法によって、この評価額を下げることができます。
貸家建付地の評価減: 自宅として使っていた土地にアパートなどを建てて他人に貸すと、その土地は「貸家建付地」となり、更地の場合に比べて評価額が15%〜21%程度減額されます。
貸家の評価減: 賃貸用の建物は「貸家」として、自分で使用している建物に比べて評価額が30%減額されます。
小規模宅地等の特例: 賃貸経営を行っていた土地については、200㎡までの部分について評価額が50%減額される「小規模宅地等の特例」が適用できる場合があります。

これらの制度をうまく活用することで、相続税額を大幅に圧縮できる可能性があります。例えば、評価額1億円の更地に賃貸アパートを建てた場合、これらの特例を適用することで評価額が数千万円単位で下がり、納税額がゼロになるケースも少なくありません。

●専門家への相談が不可欠
ただし、これらの節税効果を最大限に引き出すためには、専門的な知識が不可欠です。どの特例が適用できるか、どのような活用法が最も節税に繋がり、かつ収益性も見込めるのか、といった判断は非常に複雑です。

相続税対策を考えるなら、必ず税理士や、不動産活用に詳しい専門家(私たちのような古家再生のプロを含む)に相談してください。あなたの状況に合った最適のプランを提案してくれるはずです。相続不動産の活用は、目先の収益だけでなく、税金という大きな負担を軽減するための有効な手段でもあるのです。

相続不動産の売却も選択肢に

相続した不動産の活用方法は、賃貸経営や土地活用だけではありません。状況によっては「売却」が最も賢明な選択となるケースもあります。ここでは、売却のメリット・デメリットと、売却を検討すべき具体的なケースについて解説します。

売却のメリットとデメリットは何か?

不動産の売却には、光と影の両側面があります。決断する前に、双方をしっかりと比較検討することが重要です。

【メリット】

1. まとまった資金を現金化できる
売却の最大のメリットは、不動産という資産を現金化できることです。これにより、相続税の納税資金を確保したり、他の相続人との遺産分割をスムーズに進めたり(換価分割)することができます。また、その資金を元手に、より収益性の高い別の投資を行ったり、自身の事業資金に充てたりと、活用の幅が広がります。

2. 維持管理の手間と費用から解放される
不動産を所有し続ける限り、固定資産税や都市計画税、火災保険料、修繕費といった維持費が永久にかかります。また、定期的な清掃や管理の手間も必要です。売却すれば、これらの物理的・経済的・精神的な負担から完全に解放されます。

3. 相続トラブルのリスクを減らせる
不動産は簡単に分割できないため、複数の相続人間で所有権をめぐるトラブルに発展しやすい資産です。売却して現金に換え、公平に分割することで、将来にわたる争いの種を摘むことができます。

【デメリット】

1.資産を手放すことになる
一度売却してしまえば、当然ながらその不動産から将来得られたであろう家賃収入(インカムゲイン)や、値上がりによる利益(キャピタルゲイン)を得る機会は失われます。特に、立地の良い不動産の場合、長期的に見れば売却がマイナスになる可能性も考慮する必要があります。

2. 譲渡所得税がかかる場合がある
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税(合わせて譲渡所得税)が課税されます。税率は所有期間によって異なり、比較的高い税負担となる可能性があります。ただし、一定の条件を満たせば利用できる特例(3,000万円の特別控除など)もあります。

3. 希望価格で売れるとは限らない
不動産の価格は、景気や金利、市場の需要と供給のバランスによって常に変動します。売りに出しても、すぐに買い手が見つかるとは限りませんし、希望する価格よりも低い金額でしか売却できない可能性もあります。

売却は、問題を一挙に解決できるシンプルで分かりやすい方法ですが、同時に将来の可能性を失うことにもなります。メリットとデメリットを天秤にかけ、慎重に判断することが求められます。

どのようなケースで売却を検討すべきか?

では、具体的にどのような状況であれば、売却を積極的に検討すべきなのでしょうか。いくつかの代表的なケースを挙げます。

1. 不動産の維持管理が困難なケース
相続した不動産が、現在住んでいる場所から遠く離れている場合、物理的に管理するのは非常に困難です。また、建物が老朽化しすぎており、リフォームや活用に多額の費用がかかる割に収益が見込めない場合も、売却が賢明な判断となることがあります。

2. まとまった資金が必要な状況
相続税の納税期限が迫っているにもかかわらず、手元に現金がない場合、不動産を売却して納税資金を確保する必要があります。また、事業資金や子供の教育資金など、ライフイベントで急にまとまったお金が必要になった際にも、売却は有効な手段となります。

3. 市場価値(価格)が高い時期
不動産市場が活況で、周辺の物件が高値で取引されている時期は、絶好の売却タイミングと言えます。将来的に人口減少や再開発計画の頓挫などで資産価値が下がるリスクがある地域なら、価値が高いうちに売却して利益を確定させるという判断も重要です。

4. 相続人間で意見がまとまらないケース
複数の相続人で不動産を共有している(共有名義)ものの、活用方法や管理方針について意見がまとまらず、膠着状態に陥っている場合です。このままでは、誰もが不幸になる「負動産」になりかねません。このような場合は、全員の合意のもとで売却し、現金で公平に分割するのが最も円満な解決策となることが多いです。

売却を検討する際は、まず「いくらで売れるのか」を把握するために、複数の不動産会社に査定を依頼することから始めましょう。査定額や担当者の提案内容を比較し、信頼できるパートナーを見つけることが、成功の第一歩となります。売却もまた、大切な不動産を「活用」する上での、力強い選択肢の一つなのです。

相続不動産の活用はどこに相談すべきか?

相続した不動産の活用は、法律、税金、建築、市場動向など、多岐にわたる専門知識が必要です。一人で悩み、判断するのは非常に難しく、リスクも伴います。適切な専門家に相談し、サポートを受けながら進めることが成功への近道です。

不動産会社をどう活用すればよいか?

不動産活用において、最も身近なパートナーとなるのが不動産会社です。しかし、どの会社でも良いというわけではありません。賢く活用するためのポイントをご紹介します。

地域に密着した不動産会社を選ぶ
不動産の価値や賃貸需要は、地域性が非常に高いです。全国展開している大手企業も安心感がありますが、その地域の市場動向、賃貸ニーズ、土地の歴史などを熟知しているのは、やはり地元に根差した不動産会社です。特に賃貸経営を考えるなら、そのエリアで客付け(入居者募集)の実績が豊富な会社を選ぶことが重要です。

複数の会社に相談して比較する
一つの会社だけの意見を鵜呑みにするのは危険です。最低でも2〜3社の不動産会社に相談し、活用方法の提案や、売却する場合の査定額、担当者の対応などを比較検討しましょう。各社の強みや得意分野(賃貸に強い、売買に強い、土地活用に強いなど)も異なります。複数の視点からアドバイスを受けることで、より客観的で納得のいく判断ができます。

専門の担当者に具体的なニーズを伝える
相談する際には、「どうしたらいいか分かりません」と丸投げするのではなく、自分の状況や希望を具体的に伝えることが大切です。
 「安定した収入が欲しい」
「管理の手間はできるだけかけたくない」
「将来的に自分が住む可能性も残したい」
 「相続税の納税資金として、〇〇円程度を確保したい」
こうした具体的なニーズを伝えることで、不動産会社もより的確な提案をしやすくなります。良い不動産会社は、あなたの良きビジネスパートナーです。信頼関係を築ける、誠実な業者を見つけましょう。

専門家への相談はなぜ重要なのか?

不動産会社だけでなく、より専門的な分野のプロフェッショナルに相談することも、トラブルを未然に防ぎ、資産を最大化するために不可欠です。

●税理士や弁護士に相談するメリット
税理士: 相続税の申告・納税手続きはもちろん、最も効果的な節税対策についてアドバイスしてくれます。不動産活用による所得税(不動産所得)の確定申告など、長期的な税務サポートも受けられます。
弁護士: 相続人間で遺産分割協議がまとまらない、権利関係が複雑であるといった法律問題が発生した場合に頼りになります。契約書のリーガルチェックなど、法的なトラブルを未然に防ぐ役割も担います。
司法書士: 相続登記(不動産の名義変更)手続きの専門家です。相続が発生したら、まず司法書士に相談して名義変更を済ませることが、すべての活用のスタートラインとなります。

●長期的な視点での資産運用を考える
これらの専門家は、それぞれ異なる視点からあなたの大切な資産を守り、育てるためのアドバイスをくれます。難しい法律や税金の話も、分かりやすく解説してくれるでしょう。

そして、私たち(一社)全国古家再生推進協議会が認定する「古家再生投資プランナー®︎」もまた、頼れる専門家の一人です。特に、相続した家が古い「古家」である場合に、その価値を最大限に引き出すための知識とノウハウを持っています。どの程度の予算で、どのようなリフォームをすれば、高い利回りで貸し出すことができるのか。市場調査からリフォームプランの策定、収支シミュレーションまで、実践的な不動産投資の視点から具体的なサポートを行います。

自分自身でこうした知識を学び、賢い判断ができるようになりたい、という方は、「古家再生投資プランナー®︎」の資格取得を目指すのも一つの素晴らしい選択肢です。

相続という大きな問題に直面したとき、一人で抱え込む必要はありません。それぞれの分野のプロフェッショナルで構成された「チーム」を作り、皆で知恵を出し合いながら、最適な解決策を見つけていく。その視点を持つことが、何よりも重要です。

まとめ:相続した不動産を賢く活用するには?

これまで、相続した不動産のさまざまな活用方法とその注意点について詳しく解説してきました。最後に、あなたがこれから取るべきアクションを整理し、賢い選択をするための心構えをお伝えします。

活用方法の選択肢をどう整理すればよいか?

情報が多すぎて混乱してしまったかもしれません。まずは、ご自身の状況に合わせて、思考を整理することから始めましょう。以下の3つのステップで、選択肢を絞り込んでいくのがおすすめです。

1. 不動産の種類を把握する
まず、あなたが相続した不動産は何かを明確にします。「土地」なのか、「建物(一戸建て、マンション)」なのか。土地なら「更地」なのか、建物なら「築年数や状態」はどうなのか。この不動産の物理的な特徴が、活用の方向性を決める最初の分かれ道です。

2. 利用目的を明確にする
次に、あなた自身がその不動産をどうしたいのか、目的をはっきりさせましょう。
収益化: 安定収入を得たい(賃貸経営、駐車場など)
現金化: 管理の手間から解放され、まとまった資金が欲しい(売却)
自己利用: いずれ自分が住みたい、事業で使いたい(リフォーム、建て替え)
節税: 相続税の負担を軽減したい(賃貸住宅建築など)
複数の目的がある場合は、どれを最も優先したいか順位をつけてみましょう。

3.経済的なメリット・デメリットを考慮する
目的が明確になったら、それぞれの選択肢の経済的な側面を比較します。どの方法が最も収益性が高いか(運用)、初期投資はいくらかかるか、リスクはどの程度か、税金はどうなるか。この段階では、専門家の助けを借りて、具体的なシミュレーションを行うことが有効です。

これらのステップを踏むことで、数多くある活用方法の中から、あなたにとって現実的で、かつ最適な選択肢が見えてくるはずです。一括査定サイトなどを利用して、複数のプランを比較検討するのも良いでしょう。難しく考えず、パズルのピースを一つひとつ当てはめていくような感覚で、自分に合った活用法を選び抜いてください。

なぜ専門家の意見を参考にすべきなのか?

ここまで何度も繰り返してきましたが、相続不動産の活用において、自己判断は最も避けるべきことです。その理由は明確です。

●不動産業者への相談
地域のプロである不動産業者は、あなたの知らない地域の賃貸需要や売買相場、将来性といった生きた情報を持っています。彼らの客観的な評価や提案は、あなたの計画の精度を格段に高めてくれます。

●税理士への相談
相続税や譲渡所得税など、不動産には複雑な税金がつきものです。税理士に相談すれば、知らずに損をすることを防ぎ、利用できる特例を最大限に活用して、手元に残るお金を増やすことができます。税金のかかり方一つで、数百万、数千万円単位の違いが出ることも珍しくありません。

●法律家への相談
相続登記や遺産分割協議、契約書の作成など、法律が関わる手続きは専門家である司法書士や弁護士に任せるのが安全です。権利関係を事前にしっかりと整理しておくことが、将来のあらゆるトラブルを防ぐための土台となります。

これらの専門家は、あなたが不動産という慣れない山を登るための、経験豊富なガイドです。彼らの意見を参考にし、それぞれの専門知識を借りることで、あなたは安心して、そしてより高く、目的地へとたどり着くことができるのです。一人で決めるのではなく、信頼できるプロのチームを組んで臨むこと。それが、相続した不動産を賢く活用するための、最も確実な方法と言えるでしょう。

最後に…

この記事を通して、相続した不動産の活用がいかに多様で、奥深い世界であるかを感じていただけたのではないでしょうか。

相続は、多くの方にとって突然訪れる出来事です。大切な方を失った悲しみの中で、複雑な手続きや慣れない不動産の扱いに向き合わなければならないそのご心労は、察するに余りあります。しかし、故人が遺してくれた大切な資産を、ただの「お荷物」や「悩みの種」で終わらせてはいけません。

それは、あなたの未来を支え、人生をより豊かにするための「可能性の種」なのです。賃貸に出して安定収入を得る道、売却して新たな一歩を踏み出す資金にする道、リフォームして快適な住まいを手に入れる道。どの道を選ぶかは、あなた次第です。

重要なのは、思考停止に陥らず、行動を起こすことです。「消費者」としてただ税金や維持費を払い続けるのではなく、「投資者」として自らの資産をどう活かすかという視点を持つこと。そのマインドセットの転換が、あなたの未来を大きく変えます。

もし、あなたが相続した不動産、特に古い「古家」の扱いに悩み、その可能性を最大限に引き出したいと本気で考えるなら、ぜひ「古家再生投資プランナー®︎」という道も検討してみてください。この資格を取得する過程で学ぶ知識は、不動産活用の羅針盤となり、あなたを成功へと導く力強い武器となるでしょう。専門知識を身につけ、自らの手で資産を築き、経済的な自由を手に入れる。それは決して夢物語ではありません。

私たち全国古家再生推進協議会は、そんなあなたの挑戦を全力でサポートします。さあ、一歩を踏み出しましょう。あなたの相続不動産活用の物語は、今、ここから始まるのです。

POST: 2025.07.24