株で増えた資産を不動産へ|5人の実体験に学ぶ空き家・古家不動産投資「最初の1軒」の始め方

(一社)全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重之です。

「株式投資で資産が増えてきたのですが、このまま株だけに置いておいて大丈夫でしょうか」

最近、こうしたご相談が本当に増えました。相場が大きく上がったときほど、うれしさの裏側で「一つの資産に偏りすぎていないだろうか」という不安がよぎる。株は少額から始められ、いつでも換金できる優れた仕組みですが、その価格は日々動きます。上がればうれしく、下がれば資産が減ったように感じる。利益が出ても、次にいつ売るのか、どこへ資金を移すのか、新しい判断が次々と必要になります。だからこそ、株式で得た利益の一部を、現物資産である不動産へ移す方が増えているのです。

本記事では、株式投資の経験者が「最初の1軒」にたどり着くまでの道のりを、私たちの会員5名の実体験をもとに、包み隠さずお話しします。何冊の本を読み、何軒の物件を見て、どこで不安になり、どうやってその不安を越えたのか。成功した話だけでなく、迷いや苦労もそのままお伝えします。先に結論を申し上げると、5名に共通していたのはたった一つ、「最初の1軒を買う前に、必ず現物(実際の物件)を見ていた」ことでした。私たち協議会はこれまで累計2,582棟の空き家・古家を再生し、会員数は21,045名、全国37エリアで「物件を実際に見ながら学べる機会」を設けてきました。(実績数字はいずれも2025年12月31日時点)その現場で見てきた事実だけを、机上の空論を交えずにお話しします。

偉そうに聞こえたら申し訳ないのですが、私自身、2013年に空き家・古家不動産投資の世界へ飛び込んだときは、東大阪で部品塗装の町工場を営む、不動産の「ふ」の字も知らない人間でした。だからこそ、初めて物件を前にしたときの「本当にこれを買っていいのか」という不安は、痛いほど分かります。そして先にお断りしておきますが、私は株式投資を否定するつもりはまったくありません。株式と不動産は、役割の違う二つの資産です。片方を捨ててもう片方を選ぶという話ではなく、両方の良さを活かして、値動きだけに一喜一憂しない土台をつくる。その一歩として、現物資産である「戸建て賃貸」という選択肢を、今日はご紹介させてください。

株式投資だけで大丈夫?現物資産としての「戸建て賃貸」という選択肢

株式で資産を増やしてきた方から相談を受けるとき、私はまず「株をやめる必要はまったくありませんよ」とお伝えします。大切なのは、資産全体をどう組み立てるか。値動きの世界だけに資産を置いておくのか、それとも、動きの性質が違う「もう一つの土台」を持つのか。その視点を持つだけで、相場に振り回される感覚は大きく変わります。

株の値動きに一喜一憂しない「もう一つの土台」

株式投資は、少額から始められ、換金しやすい優れた仕組みです。その一方で、価格は市場や経営陣といった、自分のコントロールの外側で決まります。上がればうれしく、下がれば眠れなくなる。この心理的な負担は、経験した方ほどよく分かるはずです。

不動産投資は、性質がまったく違います。物件を持った瞬間から、あなたはオーナーであり経営者です。毎月の家賃という現金の流れが、資産形成の土台を静かに支えてくれます。株式という「攻めの資産」に、不動産という「守りの土台」を組み合わせる。この二本立てが、私が現場で数多く見てきた、堅実な資産づくりの形です。

少額から始められる空き家・古家という入口

とはいえ、初めて不動産を買う方にとって、都心のマンションや一棟アパートは数千万円単位の資金が必要で、最初の一歩としては重すぎます。「不動産はお金持ちのもの」という思い込みが、ここで足を止めてしまうのです。

そこで選択肢になるのが、物件購入とリフォームを合わせて500万〜600万円程度から始められる、空き家・古家の戸建て再生です。金額が手の届く範囲に収まるだけでなく、購入価格が低いぶん、リフォームや管理の工夫が利回りにそのまま反映されやすい。私が「地方は宝の山」と言い続けているのは、都市部では見向きもされない古い戸建てが、その地域の需要に合わせて整えれば、しっかり家賃を生む資産に生まれ変わるからです。実際、私たちの会員が実践する古家再生では平均利回り13%前後という実績も出ています(利回りはエリア・物件・工事内容によって異なり、成果を保証するものではありません)。まずは「これなら自分にも手が届く」という入口があることを知っていただきたいのです。

最初の1軒までの「正解の期間」はない

5名の話を聞いてあらためて感じたのは、1軒目を買うまでの「正解の期間」というものは存在しない、ということです。

初めて参加した空き家・古家物件見学ツアーでその場で購入を決める方もいれば、何度もツアーに参加し、約2年かけてようやく最初の1軒を買う方もいます。慎重に時間をかけたから遅いわけでも、早く決めたから軽率なわけでもありません。大切なのは、分からないまま勢いだけで買うのではなく、「自分で判断できる状態」に近づいているかどうかです。ここを外さなければ、時間のかけ方はその人のペースで構わないのです。

会員5名の実体験|「最初の1軒」にたどり着くまで

ここからは、私たちの会員5名の実体験を、包み隠さずご紹介します。年齢も、仕事も、投資経験もばらばらの5名ですが、一人ひとりの歩みには、これから最初の1軒を目指す方へのヒントが詰まっています。なお、A〜Eさんは、個人が特定されないように内容を編集した匿名の実例です。

本を50〜100冊読んでも、最後は現物を見る必要があった(Aさん)

Aさんは、不動産投資に関する本を50〜100冊ほど読み込みました。さらに、私たちが実施する古家再生投資プランナーⓇ認定講座のオンライン講座も受講されています。

初めての方のために少しだけ補足すると、ここでいう「講座」とは、空き家・古家不動産投資をこれから学ぶ方に向けた「古家再生投資プランナーⓇ認定講座」のことです。物件の探し方、収支・利回りの考え方、リフォームや賃貸運営の基礎などを、オンデマンド形式で体系的に学べます。受講後の認定課題には現地見学のレポートも含まれており、座学だけで終わらせず「実際の物件を見ること」を重視した内容になっています。独学で遠回りする前に、こうした学びの場があることも知っておいてください。

そのうえでAさんは、完成内覧会や見学ツアーに約6回参加し、実際に20軒以上の物件を見て、最初の購入までに約1年をかけました。勉強量だけを見れば十分すぎるほどです。それでも、実物の物件を前にすると、迷いはなかなか消えなかったといいます。

特に大きなハードルになったのが、売出価格が800万〜900万円の物件に対して、300万〜400万円台の買付(購入の申し込み)を入れることでした。「こんな価格を伝えて失礼にならないだろうか」――初心者にとっては、買付価格を提示すること自体が、大きな心理的なハードルになるのです。

ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。不動産の売買では、売出価格と実際に合意する価格が同じとは限りません。物件の状態、売主さんの事情、周辺の家賃相場、必要なリフォーム費用――こうした要素を踏まえて、事業として採算の合う価格を計算し、提示します。根拠のない値切りではなく、「この家賃が見込めて、この修繕費がかかるなら、この価格でなければ経営が成り立たない」という、収支から逆算した提案なのです(金額はあくまで一例で、物件やエリアによって大きく異なります)。この考え方が腑に落ちると、買付は「失礼な交渉」ではなく「経営判断」に変わります。

Aさんはその後、2軒の購入へと進みました。振り返って一番難しかったのは、実は書類の手続きではなかったそうです。手続きそのものは、想像していたほど複雑ではなかった。本当に難しかったのは、「この物件を、この金額で買う」と自分で決断することだった――そう話してくれました。

10回以上参加し、30〜40軒を見て身についた「目」(Bさん)

Bさんは、見学ツアーに10回以上参加し、30〜40軒ほどの物件を見てきました。最初から写真だけで建物の状態やリフォーム費用が分かったわけではありません。現地で古家再生士Ⓡの説明を聞き、「この傷みならどこまで直すのか」「ここは残してもよいのか」「この地域ならいくらの家賃が期待できるのか」を、一軒一軒、繰り返し確認していきました。

その経験が積み重なると、やがてインターネットの物件写真を見ただけで、ある程度の状態が想像できるようになっていったそうです。写真から状態を読めるようになるのは、知識を詰め込んだからではなく、実物を数多く見たからこそ、なのです。

Bさんが強調していたのは、「よい物件がすぐに出てくるとは限らない」ということでした。株式市場なら、買いたいと思えばその場で注文できます。しかし不動産は、一つひとつ条件が違います。自分の基準に合う物件が現れるまで、待つ力も必要だと。空き家・古家不動産投資は、短期間で大きな値上がり益を狙う投資ではありません。3年、5年、10年という時間をかけて、毎月の家賃をこつこつ積み上げていく投資だ――これがBさんの、そして私自身のとらえ方でもあります。

物件探しは「戸建て」と「価格」から始める

では、初めての方は、どうやって物件を探せばよいのでしょうか。インターネットで探し始める段階では、最初から条件を細かく設定しすぎないことが大切です。私がいつもお伝えしている、探し方の順番をご紹介します。

最初の検索条件を増やしすぎない

最初に設定する主な条件は、「戸建て」と「価格」の二つだけで十分です。売出価格の目安は、都市部で400万〜800万円、地方で200万〜600万円程度。ただし、これはエリアや物件の状態によって大きく変わりますし、この価格で必ず買えることや、利益が出ることを保証するものではありません。あくまで最初の入口の目安として使ってください。

築年数、駅からの距離、土地・建物の面積、再建築が可能かどうか――こうした条件は、候補を拾い上げた「後」に確認します。検索の入口で条件を絞りすぎると、本来なら検討できたはずの物件まで見落としてしまうからです。たとえば再建築不可の物件も、それだけで直ちに除外するのではなく、制約とリスクをきちんと理解したうえで、それに見合う購入価格と利回りになるかを、一件ずつ個別に判断します。

安い物件が出る地域を見続ける

最初から「この市で買う」とエリアを固定する必要もありません。いろいろな地域の売出物件を見比べていると、自分の予算に合う戸建てが出やすい地域が、少しずつ分かってきます。結果として、40〜50年ほど前に開発された住宅地が候補に挙がってくることもよくあります。

「エリアを決めてから物件を探す」のではなく、「価格帯の合う物件が出る場所を見続けることで、買えるエリアを見つける」。この順番の違いが、地方に眠る宝の山を掘り当てる第一歩になります。

想定家賃から購入価格を逆算する

安い物件を見つけただけでは、まだ購入の判断はできません。ここからが、机上の空論ではない、現場の作業です。

まず、周辺の賃貸募集をインターネットで調べます。間取り、築年数、立地が近い戸建てを複数見比べて、「この物件なら家賃はいくらで貸せそうか」という想定家賃を考えます。さらに確かめたいときは、その地域の賃貸仲介会社や管理会社に相談してみてください。どんな入居者が戸建てを探しているのか、家賃はいくらなら決まりやすいのか、駐車場や間取りにどんな需要があるのか。インターネットだけでは分からない、生きた情報を教えてもらえます。ただし、不動産会社さんは来店客の対応で忙しい時間帯があります。混み合う曜日や時間を避けて、相手に余裕のあるときに相談する。この気配りも、詳しい話を聞かせてもらうための大切なマナーです。

想定家賃が見えたら、必要なリフォーム費用や購入時の諸費用まで含めて収支を計算し、採算の合う購入価格を逆算します。その価格をもとに買付を入れる。これが基本の流れです。売出価格からいくら値引きするか、ではなく、「毎月いくら入るから、いくらまでなら出せるのか」から考える。この逆算こそが、Aさんの心理的ハードルを取り除いた考え方でもあります。

建物を見る力に、簡単な近道はない

初心者の方が最も不安を感じるのが、建物の状態と、リフォーム費用の見極めです。屋根、外壁、床、水回り、雨漏り、傾き、配管――確認する項目は数えきれないほどあります。しかし、投資を考え始めた段階で、これらをすべて自分一人で診断できる必要はありません。

大切なのは、たった一つ。分からないまま購入しないことです。最初は経験者や古家再生士Ⓡと一緒に現物を見て、どこを確認しているのか、なぜその修繕が必要なのか、どこまで直せば賃貸住宅として使えるのかを学んでいく。写真から状態を想像できるようになるのも、Bさんのように実物を数多く見た後のことです。知識だけで完璧に判断できるようになってから現場へ行くのではなく、現場を見ることで、知識を「使える形」に変えていく。順番はいつも、こちらなのです。

買った後に初めて分かることも多い

今回の話でとても印象的だったのが、「購入前より、購入後に初めて知ることのほうが多かった」という声でした。売買契約が終われば、すべて完了――ではありません。リフォーム内容の確認、入居者の募集、家賃の設定、管理会社との打ち合わせ。むしろここからが、経営の本番です。

築100年の町家に、募集2日で申し込みが入った(Cさん)

Cさんが購入した物件の中には、築100年を超える町家もありました。古いということは、必ずしも価値がないことを意味しません。地域や建物の個性を活かし、必要な再生を施せば、一般的な新築住宅とはひと味違う魅力が生まれます。

実際、Cさんの別の物件では、募集を始めてから比較的早い段階で入居が決まり、中には募集情報を掲載してわずか2日後に申し込みが入った例もありました。もちろん、正直にお伝えすれば、すべての物件がこんなにすぐ決まるわけではありません。立地、家賃、建物の状態、募集の時期によって結果は変わります。重要なのは、「古いから借り手がいない」と最初から決めつけず、その地域で本当に求められている住まいへと整えること。安いから買うのではなく、地域に必要とされる住まいへ再生する。これが、借主よし・地域よしにつながっていきます。

遠方の物件は「任せる仕組み」で経営する(Dさん)

Dさんは、自宅から離れた地域の物件を購入しました。遠方ですから、工事や管理のすべてを自分の目で確認することはできません。そこで鍵になったのが、古家再生士Ⓡ、工事会社、不動産会社、管理会社との連携でした。1軒目でこの流れを理解したことで、2軒目では現地へ行く回数を減らし、必要な部分は安心して専門家に任せられるようになったそうです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、遠隔での不動産経営は「何も見ずに丸投げすること」ではない、という点です。誰が何を担当するのか、どのタイミングで何を報告してもらうのかを決めたうえで任せる。これが「任せる仕組み」です。管理を管理会社に委託しても、物件経営の最終的な主導権はオーナーが握っています。家賃の入金、空室時の募集状況、修繕費、オーナーへの送金額――こうした内容は毎月の定期報告として受け取り、水漏れや設備の故障、家賃の滞納といった突発的な問題は、その都度報告してもらう。そして、初心者だからと遠慮せず、分からないことは何でも聞く。これもまた、オーナーの大切な仕事なのです。

5人に共通していたのは「現物を見ること」

5名は、年齢も仕事も投資経験も、見事にばらばらでした。それでも、たった一つ共通していたことがあります。それが、最初の1軒を買う前に、実際の物件を見ていたということです。

本や動画で知識を得ることは大切です。インターネットで相場を調べることも欠かせません。しかし、古い戸建てのにおい、部屋の明るさ、床を踏んだときの感触、周辺の道幅、その町全体の雰囲気――こうしたものは、画面の向こう側だけでは、どうしても分からないのです。

ツアーの本当の価値は、失敗と苦労の「生の話」(Eさん)

Eさんが「特に参考になった」と話してくれたのは、意外にも建物そのものではなく、ツアー後の交流で聞いた、先輩会員たちの生の話でした。うまくいった話だけでなく、実際に起きたハプニングや、そのときにどう対応したのか。失敗や苦労を含んだ話は、きれいに整理された教材とはまったく違う学びになります。私たちが成功事例だけでなく失敗事例も包み隠さず共有するのは、そこにこそ、次の一歩を支える本当の価値があるからです。

Eさんは、最初の1軒について「条件が整えば、ぜひ買ったほうがよい」と話します。もちろん、無理に買えという意味ではありません。資金、収支、物件の状態、相談できる相手――こうした条件が整ったとき、いつまでも勉強だけを続けるのではなく、実際に一歩を踏み出すことも必要だ、ということです。「勉強になるし、苦労もある。でも、それも全部ひっくるめて楽しい」。このひと言が、5名の体験のすべてを、見事に言い表していると私は感じました。

初心者が最初の1軒へ進むための5つの行動

ここまでの5名の実体験と、私からのお伝えを、最初の一歩に絞ってまとめると、次の5つの行動になります。

行動1:株式と不動産の役割を分けて考える

株をすべて売る、あるいは不動産だけに集中する、と決める必要はありません。資産全体のうち、どのくらいを「値動きの性質が異なる現物資産」へ移すのか。この配分を考えることが出発点です。株式は攻め、不動産は守り。役割を分けて考えると、判断がぐっと楽になります。

行動2:大手ポータルサイトで「戸建て」と「価格」から探す

最初から条件を増やしすぎず、複数の地域を広く見ます。都市部なら400万〜800万円、地方なら200万〜600万円程度が、最初に見る価格帯の目安です。継続して見続けることで、手頃な物件が出やすいエリアと、その地域の価格感が、自然と分かってきます。

行動3:想定家賃から買える価格を逆算する

売出価格だけで判断せず、周辺の家賃相場、リフォーム費用、購入時の諸費用から収支を試算します。「毎月いくら入るか」を起点に、採算の合う購入価格を逆算する。その価格が、買付を考えるときの基準になります。

行動4:経験者や専門家と現物を数多く見る

建物の状態とリフォーム費用の見極めは、初心者にとって最も難しい部分です。一人で結論を出そうとせず、経験者や古家再生士Ⓡと一緒に、実物を見ながら判断の根拠を学んでください。体系的に学びたい方には、これまで1,471人の認定者を輩出してきた古家再生投資プランナーⓇ認定講座もご用意しています。

行動5:条件が整ったら、最初の1軒を経験する

何十冊の本を読んでも、購入後の手続き、リフォーム、入居者募集、管理までを、机上で完全に理解することはできません。無理のない資金計画と、相談できる体制が整ったら、小さく始めて、1軒目を通じて学ぶ。その経験が、次の判断力へとつながっていきます。

まとめ|多くの人が「もっと早く始めればよかった」と振り返る理由

今回の話で最も印象的だったのは、購入した方の多くが「もっと早く始めてもよかった」と振り返っていたことです。これは、「急いで買うべきだ」という意味では決してありません。

不動産は、買った翌日に大きく増える資産ではありません。毎月の家賃を積み重ね、時間をかけて投資資金を回収し、その先の収入へとつなげていくものです。だからこそ、3年、5年、10年という時間が大切になります。迷っている時間にも、ちゃんと意味があります。勉強し、物件を見て、自分の基準をつくる。そのための大切な期間だからです。一方で、「もっと詳しくなってから」「絶対に失敗しないと分かってから」と考え続けていると、いつまでも現物を見る段階へ進めません。この二つのバランスを取ることが、最初の1軒への近道なのだと思います。

最初から物件を購入する必要はありません。まずは大手ポータルサイトで、都市部なら400万〜800万円、地方なら200万〜600万円程度の戸建てを眺めてみる。周辺の戸建て賃貸がいくらで募集されているかを調べてみる。そして、空き家・古家物件見学ツアーや完成内覧会で、実物と収支の考え方に触れてみる。その小さな一歩が、株式の値動きだけに左右されない、もう一つの資産づくりを考えるきっかけになります。

私たちが大切にしているのは、「4方よし」――買主よし・借主よし・地域よし・売主よし――の考え方です。空き家を「安いから買う」のではなく、地域で必要とされる住まいへ再生し、入居者・投資家・工事会社・地域のすべてに価値を生む。株式投資で育てた資産の一部を、地域に残る住まいと、毎月の家賃収入へと変えていく。これも、これからの資産形成の立派な選択肢の一つです。

この記事の要点整理

・株式と不動産は役割が違う。すべてを移す必要はなく、「値動きの性質が異なる現物資産」をどれだけ持つかを考える。
・物件探しは「戸建て」と「価格」から。都市部400万〜800万円、地方200万〜600万円を目安に、複数の地域を広く見続ける。
・売出価格ではなく、想定家賃・リフォーム費用・諸費用から、採算の合う購入価格を逆算する。
・建物とリフォーム費用の見極めに近道はない。経験者や古家再生士Ⓡと、現物を数多く見て学ぶ。
・「最初の1軒までの正解の期間」はない。分からないまま勢いで買わず、判断できる状態に近づくことが大切。
・不動産は3年・5年・10年で家賃を積む投資。迷う時間も基準づくりだが、現物を見る一歩だけは止めないこと。

迷いは、現物を見る一歩からほどけていく

株式の積立は、今日からでも始められます。そして、不動産への準備も、今日から始められます。私たちは全国37エリアで空き家・古家物件見学ツアーを開催しており、これまでに累計3,084回、延べ10,275名の方にご参加いただきました。体系的に学びたい方には、1,471人の認定者を輩出してきた古家再生投資プランナーⓇ認定講座もご用意しています。株式の運用を続けながら、月に一度、現場を見に来る。それくらいの軽い一歩で十分です。

本を何冊読んでも消えなかった不安が、実際の物件を一軒見た瞬間に、すっとほどけていく。5名の会員が、まさにそうでした。「話だけでも聞いてみようかな」「まずは一軒だけ見てみようかな」、そんな軽い気持ちで大丈夫です。あなたの最初の一歩を、心よりお待ちしております。

(一社)全国古家再生推進協議会
理事長 大熊 重之

※本文中のA〜Eさんは、会員5名へのインタビュー内容を、個人が特定されない形に編集した匿名の実例です。価格帯・家賃・入居までの期間・利回りは、エリア・物件・工事内容・募集条件によって異なり、特定の物件の購入や投資成果を保証するものではありません。再建築不可物件など制約のある物件は、法令・融資・修繕・売却などの条件を専門家にご確認のうえでご判断ください。

POST: 2026.07.24