【解説】工事費の高騰がもたらす空き家再生投資への影響とは?

こんにちは。一般社団法人 全国古家再生推進協議会 理事長の大熊重行(おおくま
しげゆき)です。本日のテーマは「工事費の高騰がもたらす空き家再生投資への影響」についてです。それでは参りましょう。

はじめに

空き家再生投資に限ったことではありませんが、不動産投資をする上で重要なのが利回りです。少しでも利回りを高めるためには、家賃をより高くとる付加価値の部分ももちろん大事でしょう。しかし、基本的には家賃は相場におおよそ合わせる形で決まることが多く、難しい部分もあります。そうなると、なるべく投資額を抑えて利回りを上げることになります。おそらく空き家再生投資をする方たちは、なるべく少ない投資で大きな利回りを出すのを目的としている方が多いでしょう。
その初期にかかる投資額は、空き家の購入にかかる金額に加えて、空き家をリフォームするのにかかる工事費が挙げられます。空き家を安く購入できても、このリフォーム代が意外とかかってくるので、それは利回りにも大きく影響することになるのですが、今現在、特に起こっているのが工事費の増加なのです。

工事費の高騰は長期的なトレンド

リフォーム代は工事費に影響されますが、工事費と一口に言っても、それを構成するのはさまざまな要素があります。大きく分けると、工事をするためには当然人手が必要ですから人件費がかかります。そして工事をするためには材料費もかかります。この人件費と材料費の2つが、工事費を構成する大きな要素です。

工事費の変動は当然あるのですが、それぞれの要素で構成され、様々な条件によって動くということです。こうした価格変動を示す指標もあります。材料費と人件費のさまざまな指標を組み合わせることで、価格指数のような形で数値化して見える化したものになります。それが、国土交通省の発表している「建築工事費デフレータ」というものです。

そして今現在、我々が直面しているのが、工事費を構成する要素のインフレ方向への圧力です。例えば材料費ひとつ取っても最近話題になった木材価格の急騰を示す「ウッドショック」などが挙げられます。ウッドショックはコロナによる住宅需要の増加に加え、ロックダウンや失業保険による復職の遅れなどの、サプライチェーンの目詰まりなど、複数の要因が影響したものです。こうした世界的な価格高騰は、当然国内の材料費にも影響してくることになります。

更には、日本国内においても人件費の高騰は無視できないレベルにあります。背景にあるのは少子高齢化による人手不足です。こうした要因が重なれば、当然工事費は値上がり傾向にあるのはお分かり頂けると思います。

世界的なインフレ傾向と利回りへの影響

そして、こうした個別の物価だけではありません。さまざまな財・サービスの価格の推移を示す一般物価も世界的に上昇傾向にあります。日本ではまだまだデフレという感がありますが、世界的な物価上昇は国内にも影響を及ぼします。

コロナ後の世界の需要回復と供給の遅れによってインフレが続けば、それはモロに工事費に影響します。そしてそれは、初期投資の増加をもたらします。これは利回りの低下を意味します。

やるべきことは変わらない

そうなると当然、賃貸経営としては少しでも利回りを高めることになりますから、なるべく初期投資を抑える、すなわち安く空き家物件を取得するか、リフォーム代を安く抑えるしかなくなります。当然リフォーム代を安く抑えることも大事なのですが、あまりにも無理やり削ろうとすると必要な修復ができなかったりして、入居者が入りづらくなったりするかもしれません。多少利回りが下がってしまうとしても、必要なところはしっかりリフォームして、あくまでも商売として成り立つように、愚直にコツコツやる必要があります。

まとめ

さて今回は、工事費の高騰が空き家再生投資にもたらす影響と、投資家が考えるべきことについてお話ししてきました。まず空き家投資で利回りに影響を及ぼす要素としてリフォーム代が挙げられ、工事費は基本的にインフレ圧力が強まっています。

そうした中で、必要な部分は残しつつなるべく利回りを高めるには賃貸経営を真面目にやっていくしかありません。コツコツやった積み重ねで投資は大きくなっていくものです。

以上説明した内容については以下動画でも解説しています。
良かったら以下よりご覧ください。
https://zenko-kyo.or.jp/youtube/7238-2/


POST: 2022.08.25